感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第40話(シーズン2 第12話)「黒の壊滅命令(後編)」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第40話 黒の壊滅命令(後編) The Council Part 2 (シーズン2・第12話)

 

あらすじ

組織へ潜入したローラン(マーティン・ランドー)だが、当局の捜査を恐れた側近たちから海外逃亡を促される。ローランを整形すべく呼ばれたシナモン(バーバラ・ベイン)が、側近たちの見守る中で手術を開始する。


アメリカ経済に甚大な損失を与えるまでに成長した犯罪シンジケートを、破滅させるよう指令されたIMFチーム。まずは上院調査委員長となったフェルプス(ピーター・グレイブス)が彼らの前に現れ、ボスのフランク・ウエインを挑発する。次に組織の金を横領し、死の制裁として生き埋めされたジミーを救出、ウエインに変装するローラン(マーティン・ランドー)にアドバイスさせる。
その後、フェルプスがジミー殺しの容疑でウエインを逮捕、仲間が救出しにきたところを入れ替わってローランが組織に潜入する。当局の捜査を恐れた側近たちから海外逃亡を促されたローラン扮するウエインは、整形するためといってシナモン(バーバラ・ベイン)を呼び出し、側近たちの見守る中で整形手術を開始する――。

 第39話「黒の壊滅命令(前編)」の続編。

 ウェイン(ローラン)は、部下たちに国外逃亡の必要はないと言って、シナモン演じる整形外科医のところに出向き、整形手術を依頼する。シナモンはウェインの部下たちが見守る中、手術をするふりをしてローランの変装マスクをはがし、ローランを素顔にして整形したと信じ込ませる。

 ローランは、部下の殺し屋ジョニーに、目障りな上院調査委員長(フェルプス)を殺せと命じ、ジョニーは委員長の車に爆弾を仕掛ける。それを見通していたフェルプスは車が爆破されて死んだふりをして姿を消す。またローランは金庫から機密書類を取り出して、内容を撮影する。

 やがてウェインの部下たちが、ウェインが独断で委員長殺害を指示した事をなじり、幹部会を招集した。幹部会メンバーは全員一致でウェインの処分を決め、ウェイン(ローラン)は慌てて逃げ出したふりをしてエレベータに飛び込む。実はエレベーターは二台が同期して動き、両方を行き来できるように細工がしてあった。ローランは途中で別の箱に移り、元の箱にはローランそっくりに整形したウェインが残される。殺し屋ジョニーは本物のウェインを射殺するが、そこにシナモンが呼び寄せていた警官が到着し、ジョニーは射殺される。警官たちが次々と到着する中、IMFメンバーは車で悠々と逃走する。


監督: ポール・スタンレイ
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 第39話「黒の壊滅命令(前編)」の続編。前編はかなりかったるい出来だったが、後編はそこそこ盛り返して、わりと面白かった。


 今回は冒頭にウェイン(実はローランの変装)が整形手術を受けるのだが、その手術シーンがもうおかしかった。シナモンがそれらしく、皮膚下にシリコンを注入したり、髪を植え付けるふりをして、実は変装マスクをバリバリはがしているだけで、最後にシナモンが「新しい顔になった」と言って得意げに披露するのがローランの素顔、という展開にはもう笑ってしまった。しかし、こういうちょっと笑ってしまうくらいの計略の方か、スパイ大作戦らしくて面白いと言える。ところで、手術だというのに、シナモンはマスクもしていないし、さらに観客(?)が手術台の周囲を取り囲んでいる、という状況は不潔ではなかろうか。それとも整形手術は別に除菌とかの必要はないのだろうか。

 中盤、殺し屋ジョニーがフェルプス演じる上院調査委員長の車に爆弾を仕掛け爆発しようとするが、フェルプスたちは車の底に隠しドアを作り、さらにその直下のマンボールの扉もワンタッチで開くようにしておいて、簡単に脱出する。しかしこれもよく考えると変な話で、ジョニーが爆殺を狙うと最初からわかっていなければこんな手は打てない。ジョニーが狙撃とか、とにかく爆殺以外の手を取っていたらフェルプスは助からなかったはずで、これはIMFにとって都合のよすぎる展開、というか、かなり雑なシナリオだと言える。

 終盤の展開もやはりご都合主義で、ローラン演じるウェインがうまく一人でエレベーターに飛び込めなければ作戦は完全に失敗してしまうところであった。作戦が上手くいったのはただの偶然というか幸運のためだったことを思うと、今回のIMFの計略はやたら運任せの部分ばかりだったと言わざるを得ない。巨大シンジケートの幹部を相手にするなら、もう少し緻密な計画を立ててもらいたかったところである。

 しかしジョニーが本物のウェインを射殺したところに、丁度狙ったように警察が登場してジョニーを射殺し、IMFがそれを見届けてから、いつもの様に格好いいテーマ曲が流れる中、悠々と車で逃げ出すシーンを見せられると「終わり良ければ総て良し」という感じで、なかなかの満足度だった。


 ちなみにこの前後編は、1969年に「スパイ大作戦 薔薇の秘密指令」というタイトルで劇場映画として公開されています。本国ではそんなにウケが良かったのでしょうか。


シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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1969年映画パンフレット スパイ大作戦 薔薇の秘密指令 ピーター・グレイブス マーティン・ランドー