感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第48話(シーズン2 第20話)「ざんげに至る病」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第48話 ざんげに至る病 The Counterfeiter (シーズン2・第20話)

 

あらすじ

病院を経営する一方で、死に至る偽造薬を製造しているレイモンド。IMFチームは彼を病気だと思い込ませ、偽造薬を投与を迫る。


病院を経営する一方、裏で医療薬の模造品を製造、巨万の富を得ているレイモンド。この薬のせいで死者も出ており、IMFチームにはレイモンドを逮捕させ、ニセ薬製造を止めさせるよう指令が出る。ただニセ薬製造で処罰しても軽微な刑にしかならず、彼に罪を自白させ、脱税罪でも逮捕させる必要があった。そこでIMFはレイモンドを病気だと思い込ませ、偽造薬の投与を迫る作戦に出る。

※DVD版のタイトルは「毒には毒をもて!」。


【今回の指令】
 レイモンド・ホールダーは、病院グループの経営者であると同時に、偽薬製造組織を率いて巨万の富を得ている。彼らの作る薬は効果が無いばかりか時には人体に有害ですらある。ガント製薬(Gant Pharmaceuticals)は、自社が開発した卒中の特効薬デラトリン(Dilatrin)がホールダーの偽薬のせいで本来の効力を発揮できないため、商品を刷新しての販売を計画している。IMFはホールダーたちがこの新しいデラトリンの偽薬を作る前に、組織の活動を停止させなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:医者(氏名不明で「先生」とだけ呼ばれている)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 ホールダーを偽薬製造で逮捕しても微罪にしかならないため、フェルプスは脱税で追い込むことを計画する。

 ホールダーの偽薬製造工場に、フェルプスは薬務局局員、ローランは刑事、に扮して乗り込み、組織のメンバーを逮捕するが、ホールダーは薬を買いに来ただけで無関係だと言って逃げ出す。しかしフェルプスとローランは、悪徳役人のふりをしてホールダーの元に押しかけ、悪い評判を立てられたくなかったら賄賂をよこせと要求する。

 その一方でIMFはホールダーの眼鏡を度がきついものに変えて頭痛を起こさせたり、超音波を照射してめまいを誘発したりして、病気であるかのように思い込ませる。

 ホールダーは、ガント製薬の社員(シナモン)から新しいデラトリンの情報を得るため、悪徳刑事のローランに仕事を依頼する。ローランはシナモンを(でっち上げの)麻薬所持で逮捕すると脅し、ホールダーがローランに袖の下を渡してシナモンを見逃してもらう、という小芝居を打つ。そしてホールダーはシナモンに恩を売り、代わりにデラトリンの新パッケージや錠剤のデザインについて教えろと強要し、いち早く偽薬を作ろうとする。しかしホールダーは、IMFの度重なる工作により、ついに自分が脳卒中になったと思い込み、病院に向かう。

 病院ではIMFがホールダーを初期の脳卒中だと診断し、治療薬だと言ってデラトリンを渡す。ホールダーは、それは自分が作って売った偽薬で効き目が無いので、本物をガント製薬から入手してほしいと懇願する。そこにフェルプスたちが現れ、今の言葉は全て録音していたと明かす。ホールダーは開き直り、偽薬製造なら罰金500ドルか懲役3か月でしかない、と言うが、フェルプスたちは所得隠しのため脱税で懲役20年だ、と言い返す。


監督: リー・H・カッツィン
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 IMFチームが偽薬を製造する犯罪組織を潰すというエピソード。組織のボスを病気だと思い込ませて自業自得的なオチに追い込む展開がなかなか面白かった。


 今回のミッションは国内の犯罪者相手のため、普通に官憲に任せておけば良いという感じもあるが、そのようなごくまっとうな意見を封じるためか、あらかじめメンバーにずばりその手の質問をさせておき、フェルプスに「偽薬製造ではなく、脱税で追い込みをかける」と言わせて質問を封じている。

 IMFはホールダーを自分が脳卒中だと思い込ませるため、手を変え品を変えての細工を行うが、それが「超音波をパラボラアンテナで照射し、めまいを起こさせる」というハイテクな方法から、「愛用の眼鏡を度の合わない物にすり替えて頭痛を起こさせる」「血圧計に細工をして高い数値しか出ないようにする」という超ローテクな方法まで、新旧入り混じっているのが面白い。また、血圧計に細工するとき、バーニーが車の底から穴を開け、そこから手を入れて車内のカバンをまさぐり、血圧計をいじってまた元に戻す、というシーンなど、ある意味滑稽で苦笑してしまった。

 ところで、IMFがホールダーのこめかみにレーザーを照射し、青い血管を浮きだたせて卒中だと確信させる、という手を使うのだが、そのシーンで髪の毛にも青い色が付着してしまって「青い塗料を塗った」ことが見え見えなところが実に雑な仕事だった。週一のテレビシリーズの撮影では、あんまり細かいことにかまっていられないのだろうか。

 最後、ホールダーが偽薬の製造では微罪だ、というと、フェルプスたちが脱税だから重罪だ、というシーンで〆となる。日本人的な感覚からすると、人の生死にかかわる偽薬製造販売のほうが、脱税よりよほど罪が重いような気がするのだが、アメリカでは真反対の様である。連邦政府に収めるべき金をごまかす方が、人命を損なうよりよほど重罪、というのがアメリカンな感覚なのだろうか。


 ちなみに、今回ガント製薬という会社名が出て来るが、今回のプロデューサーは「ジョセフ・ガントマン(Joseph Gantman)」という人物である。この人の名前のパロディなのかもしれないと思ってしまったが、真相はどうなのだろうか。ちょっと気になるところであった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園を歩いて行って、火災報告用の電話ボックス(棒の上に赤い木箱が付いており、中に電話が入っている)の蓋を開けると、中には大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。(※第33話(シーズン2の第5話)「人身売買の闇を葬れ!(前編)」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。レイモンド・ホールダーは、一連の病院を経営するかたわら、わが国きっての薬品模造グループをも取り仕切っている。薬は効かぬばかりか時には有害で、人命を奪う模造薬を売りさばいては巨万の利益を上げているのだ。たとえば最近では、ガント製薬が開発した卒中の特効薬デラトリンも、ホールダーがいち早くその模造品を市場に流したため本来の効果を発揮できないでいる。またそのためガント製薬では偽物を閉め出すべく新しい販売形式を考案中である。

 そこで君の使命だが、この新しいデラトリンが市場に出回らぬうちに、ホールダーを押さえることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。


シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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