感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第61話(シーズン3 第8話)「美しき外交官夫人」

スパイ大作戦 シーズン3<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第61話 美しき外交官夫人 The Diplomat (シーズン3 第8話)

 

あらすじ

合衆国ミサイル基地の所在地情報が敵国に渡ってしまう。IMFチームはこの裏付けをとるため活動するスパイをはめるべく大統領顧問夫人の協力を取りつけると共に、フェルプス(ピーター・グレイブス)がスパイに扮して敵国大使館員に接触する。


合衆国ミサイル基地の所在地情報が敵国の手に渡ってしまった!IMFチームは、敵国スパイがこの裏付けをとるため動きだすのを察知。大統領顧問夫人に、おとり役としての命がけの危険な任務の協力を取りつけると共に、フェルプス(ピーター・グレイブス)がアメリカ潜入中のスパイに扮して敵国大使館員に接触する。

※DVD版のタイトルは「二重スパイをでっちあげろ!」。


【今回の指令】
 一昨日、アメリカのミサイルコントロールセンター四か所の位置を示した機密書類が、敵国の諜報員バレット少佐に盗まれてしまった。バレットは逮捕されたが、書類はバレットの上司ヤトコフ大佐の手に渡り、ヤトコフは、この情報が本物か確証を得るため、部下のロジャー・トランドに裏付けを取るように命じた。このままでは、アメリカは敵国のミサイル攻撃に裸同然となってしまう。IMFはそのような事態を防がなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:スーザン・ブキャナン(大統領顧問夫人)、医師(本名不明)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 IMFは大統領顧問ブキャナンの夫人スーザンに作戦への協力を依頼する。スーザンはローラン演じる悪徳カメラマンに浮気の場面を撮影されて強請られているというふりをして、トランドに弱音を吐く。トランドはローランを脅して写真とネガを奪い取り、スーザンに渡して恩を売る。そして、スーザンを上手く誘導して金庫を開けさせ、金庫内の秘密書類を撮影し、スーザンには睡眠薬を致死量飲ませ、殺したと思って立ち去る。スーザンはすぐにIMFによって助けられる。

 一方フェルプスは、逮捕されたバレットの部下のふりをしてヤトコフと接触する。ヤトコフは本国にフェルプスの身分照会を行い、IMFは身分証明書類を、一見本物だが実は捏造と分かるようにしてすり替える。ヤトコフは書類が偽造だと気が付き、フェルプスはアメリカのスパイだと確信するが、アメリカ側の動きを見るためあえて気が付かないふりをする。

 やがてトランドが手に入れたミサイル基地の場所の情報を持ち帰り、それは最初にバレットが入手した情報と同じだった。ところが直後、フェルプスもミサイル基地の情報を持ってくるが、それもまたやはりバレットやトランドの情報と同じだった。

 ヤトコフは、アメリカのスパイが持ってきた情報が本物のはずがないので、つまり最初にバレットが手に入れた情報はそもそもニセ情報だったのだと結論付ける。さらにトランドも二重スパイだったのだと疑って射殺してしまう。フェルプスはその銃撃の音を聞きながら大使館を出ていき、最後にIMFの四人が車で立ち去るシーンで〆。


監督: ドン・リチャードソン
脚本: ジェリー・ルドウィグ


感想

 評価は○。

 今回は敵側に流出してしまった機密情報を、敵方に嘘情報だと思わせて自ら破棄させる、という無理難題を遂行する。確かにこれはIMF(Impossible Missions Force)が担当すべき「不可能任務」である。もっとも話はちょっと微妙ではあったが……

 今回は何故か作戦にシナモンが呼ばれておらず、大統領顧問夫人でつまり素人のスーザンがミッションで重要な役割を命がけで遂行する羽目になってしまっている。緻密な作戦が売りのIMFだが、今回はいきなり人選の段階でかなり無理があるとしか言いようがない。そして今回は、なじみのないスーザンとトランドの会話シーンがかなり多いため、あまりスパイ大作戦という感じがしなくてイマイチだった。ちなみにスーザンを演じたのはリー・グラントで、のちに「刑事コロンボ」では「死者の身代金」に出演して、犯人役を演じている。どこかで聞いた名前だと思った。

 今回の作戦は最後まで方向がつかめず、最後の最後にヤトコフ大佐に丁寧に説明してもらって、ようやくIMFの計略の意味が解った。理解してみれば、結構巧妙な作戦ではあったが、やや面白みに欠けるオチではあった。

 ところでヤトコフ大佐は、トランドを裏切り者扱いしてさっさと射殺してしまったが、視聴者の感覚としては、せいぜいトランドは無能という程度で殺すまでも無かった、という気がする。もっとも東側某国は、大戦中敗れた将軍はさっさと射殺してしまっていたそうなので、「失敗=死」という掟が1968年(放送年)でも健在だったのかもしれない。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園の中にある火災報告用の電話ボックス(棒の上に赤い木箱が付いており、中に電話が入っている)の蓋を開けると、中には大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこの録音テープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。一昨日、アメリカ合衆国のミサイルコントロールセンター四ヶ所の所在を示す機密書類が盗まれ、それに関係した敵国の駐米諜報官バレット少佐たちは逮捕されたが、そのときは既に遅く、書類はこの男、ワシントンにあるその国の大使館付武官ヤトコフの手に渡った後であった。有力な情報を入手した時の常として、それが本物であることを裏書きする確証が必要であり、ヤトコフはその仕事を部下のトップスパイ、ロジャー・トランドに命じたが、このままにしておけば、やがて我が国は敵のミサイル先制攻撃の前に裸同然とならざるをえない。

 そこで君の使命だが、そのような事態を未然に防ぐことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音テープは自動的に消滅する。成功を祈る。


シーズン3(54~78話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ