感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第59話(シーズン3 第6話)「汚された修道院」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第59話 汚された修道院 The Cardinal (シーズン3 第6話)

 

あらすじ

某国の実力者である将軍が来るべき選挙で勝利し、国家の独裁を目論んでいた。そのためこれに反対する枢機卿を幽閉し、替え玉に協力させるという手段に出る。IMFチームは本物を救出し、将軍の野望を阻止できるか!?


某国の実力者である将軍が来たるべき選挙で勝利し、国家の独裁を目論んでいた。そのため、将軍に反対する枢機卿を幽閉。替え玉に整形手術を施し、将軍の支持を表明させるという手段に出る。この会見が済めば、今のところは生かしている枢機卿も確実に殺されてしまう。IMFチームは、捕らわれている本物を修道院から救出し、将軍の野望を阻止することができるか!?

※DVD版のタイトルは「酸素テントの中」。


【今回の指令】
 某国では、ゼプキー将軍(General Casimir Zepke)という男が次の選挙に出馬して独裁者になろうと目論んでいる。同国の枢機卿(すうきけい)スタニラス・スーチェック(Stanislaus Cardinal Souchek)は、その行動に唯一反対を唱えていたが、ゼブキーによって修道院に監禁されてしまった。ゼプキーはスーチェックそっくりの替え玉を用意して選挙を万全に進めようとしている。IMFはゼプキーの陰謀を粉砕しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 某国


【作戦】
 ゼプキー将軍は、俳優のナゴスキーをスーチェックそっくりに整形させており、当日夜のテレビ放送で「枢機卿」として自分に有利な発言をさせる予定だった。

 バーニーたちはナゴスキーの部屋に病気を持った蚊の大群を放ち、刺されたナゴスキーは高熱で倒れる。ゼプキーは慌てて病院に電話し往診を頼むが、フェルプスは電話回線に細工し、病院のふりをして「町でペストが発生したので往診している暇はない」と返事する。直後、フェルプスとシナモンは医者と看護婦としてパンクした車で修道院に乗り付け、助けを求める。ゼプキーはフェルプスに強引にナゴスキーの治療を依頼する。

 しばらく後、ローランが、スーチェックの友人の枢機卿として修道院に現れる。ローランは病気の「スーチェック(実はナゴスキー)」に会うが、すぐに偽者だと騒ぎだし、ゼプキーたちは口封じのためローランを地下室の石棺の中に押し込む。しかしローランはあらかじめ用意していたジャッキを用いて石棺を抜け出し、外で待機していたバーニーとウィリーを呼び込む。

 フェルプスは治療のためと言って、ナゴスキーのベッドを酸素テントで覆って目隠し状態にする。同じころ、ローランたちはスーチェックが監禁されている、ナゴスキーの部屋の隣室に入り、ベッドの頭辺りの壁に穴を開ける。そして本物のスーチェックとナゴスキーを入れ替える。

 ゼプキーは、本物のスーチェックをナゴスキーだと思い込み、ベッドから引っ張り出して、修道院前に集まっていたマスコミの前に連れていく。そして自分はスーチェックと和解したと前置きしてスーチェックに話させると、本物のスーチェックは、ゼプキーは偽善者の人殺しだとののしって、そのまま車で立ち去ってしまう。呆然とするゼプキーをしり目にIMFメンバーも車で逃走して〆。


監督: スットン・ロレイ
脚本: ジョン・T・デュガン


感想

 評価は○。

 お馴染みの、IMFが外国の政治問題に介入するエピソード。まあ荒唐無稽といえるエピソードだったが、それゆえに結構面白かった。


 クライマックスの大仕掛け、修道院の部屋の壁に大穴を開けて偽物と本物の枢機卿を入れ替える、というシチュエーションはもう傑作の一言だった。壁を構成している一辺が数十センチもある石をウィリーが軽々と引っ張り出してしまう時点で無理があるし、またそもそも、この作戦はニセ枢機卿のナゴスキーが壁際のベッドに寝かされていないと成立しないが、どう見てもそこは運任せだった。また、入れ替えをごまかすため、酸素テントでベッドを覆っていたが、上半身の辺りしか隠せていないので、偽物を引きずり出した時点でベッドから足が消えてしまい、ゼブキー将軍は一目で気が付いたに違いない。などなど、もうツッコミどころ満載の作戦なのだが、結果が痛快なので、もうそのあたりはあまり気にならなかった。やはりIMFの作戦は、地道で筋が通っているより、今回のような派手で笑ってしまうような作戦の方が楽しい。

 あと、中盤に、ローランが地下室で石棺に閉じ込められた際、十字架に偽装したジャッキで蓋を持ち上げてから、小さな金属棒を蓋と棺の間に差し込む。見ているほうとしては、これは単なる空気確保用に隙間を開けただけだと思っていたのだが、そのあと、ローランはこの棒をコロ代わりにしてするすると蓋をスライドさせて脱出してしまう。いくら何でもそれは無理だろうと言いたくなったが、話の流れを重視して、気にしないことにした方が良いみたいである。

 終盤、ローランが持ち込んだ変装マスクでスーチェックそっくりに変装する。これにより、修道院の中には一時的にだが、「本物のスーチェック」「スーチェックそっくりに整形したナゴスキー」「スーチェックに変装したローラン」という、同じ顔をした人間が三人いたことになり、その状況が面白かった。また珍しいことに、この回は特殊撮影で、本物のスーチェックと同じ顔をしたローランが顔を合わせるというシチュエーションが実現している。

 仕事を終えたローラン、バーニー、ウィリーが背広に着替えだし、どうやってこの姿で修道院を脱出するのかと思っていたら、その時間にマスコミが修道院に来ることになっていて、その集まりに紛れ込んでしまう、という展開はちょっとおおっと感心した。

 最後、得意満面のゼブキー将軍が、ナゴスキー(と思っているが実は本物のスーチェック枢機卿)にコメントをさせると、自分を絶賛すると思っていたのに反対に徹底的に悪口を言われてしまい、何が何だかわからなくて呆然となるシーンが痛快に尽きた。多少話に粗があっても、こういう楽しいシーンで締めくくると、全体としての印象はとても良い。今回はそういう最後の爽快感が上手く効いた話だった。


 ちなみに原題「The Cardinal」とは「枢機卿」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが(多分)図書館の中にある鍵のかかった戸棚を開くと、中には大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。その男はゼプキー将軍といって、来るべき選挙で独裁者の地位を確保しようと計画中である。それに真っ向から反対を唱えるものはただ一人、あくまで自由国家としての存続を願う枢機卿(すうきけい)スタニラス・スーチェックだけである。ゼプキー将軍は、一月前、修行のためゾルナー修道院に入った枢機卿を監禁、枢機卿に似た替え玉を後釜に据えて選挙に万全を期し、一挙に独裁権を手中に収めようという腹である。

 そこで君の使命だが、枢機卿スーチェックを救い出し、ゼプキー将軍の意図を粉砕することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

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