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感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン9」第20話(最終回)「真実 Part2」

X-ファイル シーズン9 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン9 http://dlife.disney.co.jp/program/drama/xfile_s9.html
放送 Dlife。全20話。

【※以下ネタバレ】
 
※シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら→「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ
 

第20話(最終回) 真実 Part2 THE TRUTH II

 

あらすじ

 お題は「政府の陰謀、異星人の地球侵略」。


 第19話「真実 Part1」の続編。


 スキナーは証人として、ギブソン少年、ドゲット、レイエスを召喚するが、彼らの証言も裁判の流れを変えることはできなかった。スカリーたちは、手に入れた「ノエル・ローラーの遺体」を検死し、それが別人だと突き止めて、ノエル殺しについて裁くこの裁判は意味がないと訴えるが、カーシュに無視される。そしてモルダーに下された判決は、薬物による死刑だった。

 スキナーたちは協力してモルダーを脱獄させ、何故か現れたカーシュもそれを手助けした。カーシュはモルダーに、カナダ経由で別の大陸に逃げるように指示するが、何故かモルダーはスカリーを連れ南に向かう。翌日、X-ファイル課の部屋から何者かによって無断で全ての資料が運び出されていた。

 モルダーとスカリーは、ニューメキシコ州の、先住民族アナサジ族の砦の廃墟にたどり着く。そこにはモルダーの秘密施設への侵入を手助けした「賢者」が隠れていた。ところがその賢者の正体とは、スモーキング・マンだった。そしてモルダーが秘密施設で知った「真実」とは、西暦2012年12月22日(このエピソードの放送は2002年5月)に、異星人による地球乗っ取りが完了する、というマヤ族の予言だった。その日「影の政府」はマウントウェザーの秘密施設に逃げこみ身の安全を図るのだった。そしてスモーキング・マンは、この一帯は、異星人を唯一殺せる隕石経由のマグネタイトで守られているため、自分の身は大丈夫だという。

 やがて、モルダーたちを追って、ドゲットとレイエス、さらにノエル・ローラーが出現した。ノエルはマグネタイトのために死に、モルダーたちはすぐさま砦から逃げ去った。直後、砦は飛来した軍用ヘリの攻撃で爆破され、スモーキング・マンは死んだ。

 モルダーとスカリーは、人類の絶望的未来を知っても、なお戦うことをあきらめないと誓うのだった。<完結>


監督 キム・マナーズ
脚本 クリス・カーター


感想

 評価は△。

 9シーズン10年間にわたって放送された大長編ドラマの最終エピソードという事で、シーズン1から展開してきた「政府の陰謀&異星人の侵略」テーマ、いわゆる「神話」に納得のいく決着がつくのだろうと期待していたら、決着どころか解決を諦めたような結末だったため、もう唖然としてしまった。


 今回ついモルダーが手にした「真実」とは、「2012年12月22日に異星人の地球侵略が完了する」という情報で、マヤ文明の「予言」が根拠になっているという物だった。さて、このマヤ文明の「人類滅亡の予言」とは、番組のオリジナル設定ではなく、オカルト好きの間では広く知られている話の一つである。

 マヤ文明の使っていたカレンダーの一つ「長期歴」は2012年末で終わりになっている事から、オカルトマニアたちが「これは2012年の人類滅亡を意味している」という飛躍した結論をひねり出して、色々楽しんでいたわけで、X-ファイルもそのネタを取り入れたわけである。もっとも、現実にはマヤ文明は別に2012年の人類滅亡を予言したわけではなく、単にこの年から新しい暦のサイクルが始まるだけ、というのが現実的な解釈である。

 今回秘密基地に潜入したモルダーが突き止めて衝撃を受け、終盤にスモーキング・マンがもったいぶってスカリーに語った「真実」とは、このうさん臭い予言ただ一つだった訳で、明かされた内容よりもこんな薄っぺらいネタを最後に持ってきたのかと思うと、その方が衝撃的だった。

 そもそも、この情報はあくまで「当たるかどうかわからない未来予想」であって「真実」でもなんでもない、と思うのだがどうだろうか。この日付だけを元に、モルダーが「これが求めていた真実だった。もう負けた……」とか打ちひしがれているのを見ても、どうにも納得がいかなかった。


 ということで、ほとんど意味のない「真実」が語られた代わりに、色々な設定が説明も無く無視されたまま終わってしまった。例をあげれば

・スカリーの息子ウィリアムは、異星人たちにとって何故重要だったのか?
・ウィリアムが救世主にも異星人の先導役にもなる可能性がある、という話は何だったのか?
・モルダーも救世主になるというあの話はどこへ行ったのか?
・異星人の宇宙船の外壁に聖書やコーランが刻まれていたというあの話の意味は?
・ウィリアムと宇宙船の破片「遺物」との関係は?
・第2話「リターン・トゥ・ウォーター Part2」に出てきたシャノン・マクマホンは、何故同じ無敵兵士のノエル・ローラーと対立していたのか?
・第10話「神託  Part2」で、UFOカルトのリーダーに呼びかけた声とは何者だったのか?

 といった話がもう謎のまま永遠に封印されてしまった訳である。がっかりにも程がある。


 まあ、今回明確な説明はなかったにしても、切れ切れに提供された情報から推測できることもあり、

・「無敵兵士」と呼ばれる不死身人間たちは、やはり政府のバイオ戦士ではなく、人間そっくりの異星人だった(シーズン8で「代替人間」と呼ばれていたものとイコールの存在)
・異星人(無敵兵士)たちは政府内で新たな勢力を作りつつある。つまりアメリカ政府は異星人に乗っ取られ中
・無敵兵士がマグネタイトに弱いのは、それが隕石経由の物質だから

 などが解った。「無敵兵士」という説明は、彼らの不死身を説明するための現実に寄せた偽装設定、というところだと思われる。まあ確かに「人間そっくりに化けた異星人」より「アメリカ軍が何十年もかけて完成させたバイオ戦士」という説明の方がまだしも信じられやすいとは言える。しかし、どっちにしろマグネタイト磁鉄鉱)に近づくと何故あんなに派手に死んでしまうのかの回答は得られないままだった。


 さて、この「真実」二部作は、シリーズの懐かしのキャラたちの同窓会の様相を呈しているが、今回遂に真打とも言えるスモーキング・マンがシーズン7の最終回(第22話)「レクイエム」から2年ぶりに帰ってきてくれて、ちょっと嬉しかった。容姿はすっかりしなびてしまってはいたが、あの一々人を揶揄するような話し方は変わってはいなかったのが良かった。もっとも、せっかく出てくれたというのに、役目は特別出演というかのポジションで、ほとんど物語には関わっておらず、終盤登場したと思ったらすぐさまミサイルで吹き飛ばされてあの世送りになってしまう。かつては番組のラスボス的な地位にいたわりには、あまりともいえる最期だった。

 それにしてもなぜ異星人たちはスモーキング・マンを殺したのか理由が解らない。スモーキング・マンは、立場的に言えば異星人の味方側にいる「影の政府」の一員だと思うのだが……、単にモルダーを殺そうとした巻き添えを食っただけだとしたら、それはそれであんまりな犬死であるが、真相はどんなものなのだろうか。

 同窓会展開としては、第15話「英雄に捧ぐ」で勇敢に散ったローン・ガンメン三人組も、幽霊としてモルダーの前に現れて、視聴者を喜ばせてくれた。三人とモルダーの絡みが最後に用意されていたのは嬉しいサプライズだった。


 今回、物語の謎解きというかがいい加減に済まされたのと同様、モルダー&スカリー以外のキャラクターたちの扱いもぞんざいなまま終わってしまった。シーズン9の主役だったドゲット&レイエスはニューメキシコ州の荒野で別れておしまいだし、スキナーとカーシュというFBI首脳陣は政府内の謎の勢力に正面から反抗したのだからもう消されても仕方ないところだが、その運命はついに語られずに終わる。終盤カーシュがモルダー救出に手を貸した理由も見えなかったし、投げっぱなしの印象ばかりが残る締めくくりだった。


 最後、モルダーが「ずっと追いかけていた真実がこれだった」云々と言ってがっかくりうなだれていたが、視聴者としても9シーズンも見続け来た作品の結末がこれだったので、心底うなだれたくなった。せめて、もうちょっと「見て良かった」と思えるラストにしてほしかった、というのが正直な感想である。

シーズン9の他のエピソードのあらすじ・感想はこちら

「X-ファイル シーズン9」あらすじ・感想まとめ