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感想:NHK番組「4人のモナリザ “謎の微笑” モデルの真実」

レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ Mona Lisa アートポスター

4人のモナリザ~「謎の微笑」モデルの真実~ http://www4.nhk.or.jp/P4481/
放送 NHK BSプレミアム。2017年5月17日(水) 21:00~22:30。

【※以下ネタバレ】
 

世界一有名な絵画「モナリザ」のモデルはいったい誰なのか?美術史上最大の秘密が最先端科学によってついに暴かれる。モナリザの下で眠っていたのは塗り重ねられた3人の肖像画。“モナリザは4人いたのだ”。ルーヴル美術館からの信頼も厚く、絵画の画像解析の世界的スペシャリスト、フランス、パスカル・コット氏の全面協力をもとに独自取材。謎の微笑の真実に迫る。モナリザをめぐるアートサイエンスミステリー。


【出演】川口覚

 
 

内容


モナリザは四人いた

 フランスの絵画分析の専門家パスカル・コット氏は、モナリザの絵を二億四千万画素という超高性能のデジタルカメラ「マルチスペクトルカメラ」で撮影した。これは異なる波長の光をとらえることで、絵の下に埋もれた、人間の目ではとらえることのできない画像を見ることが出来るカメラである。これにより、モナリザには、おなじみのあの絵の下に異なる三人の女性が描かれていたことが判明した。



●一人目のモナリザ

 最下層のモナリザで、ダ・ヴィンチのデッサンの痕跡。顔が今のモナリザよりやや上に描かれていることがうかがえる。また右手の指が4本しか描かれておらず、どうやらダ・ヴィンチがデッサンの途中で止めてしまったものらしい。



●二人目のモナリザ

 下から二番目の絵。二人目というより人物の頭の部分に何かを描いて、そのあと削り取った痕跡、がある。どうやらこれは当時の女性の髪飾りで、この手の髪飾りは、当時の絵でよく聖母マリアが身につけているところが描かれている。ダ・ヴィンチ聖母マリアを描こうとしていて、途中で止めたのかもしれない。



●三人目のモナリザ

 下から三番目の絵。モナリザが正面を向いているのと異なり、この女性はやや左を向いている。またフィレンツェ風の服を着ている。この女性が誰か、については、番組は16世紀のフィレンツェの豪商フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻リザではないか、と推測している。

 そもそもモナリザとは「モナ(私の愛しい人)・リザ」という意味。そしてダ・ヴィンチのあの絵が「モナリザ」と呼ばれるのは、美術の研究者ジョルジョ・ヴァザーが、ダ・ヴィンチがジョコンドの依頼でリザの肖像画を描いた、と記述していたからである。もっともヴァザーはダ・ヴィンチから数十年後の人で、伝聞でそう書いているにすぎず、信ぴょう性は怪しいものがあった。

 しかし、ジョコンドとダ・ヴィンチ父親が知り合いだったこと、1503年時点でダ・ヴィンチがリザの肖像画を描いている途中である、という知人のメモが見つかった事、絵の女性の服装が1500~1505年頃の物であること、が判明しており、この三人目のモナリザこそまさにリザではないか、と番組は推測している。



●四人目のモナリザ

 一般に知られているあのモナリザは、記録によれば16世紀のローマの超大物ジュリアーノ・デ・メディチ公がダ・ヴィンチに注文したことになっている。ということは、この女性はジュリアーノの身近の人物だと推測されるが、少なくとも彼の妻でないことは確実である。

 実はジュリアーノはプレイボーイで多くの女性と付き合ったので、その中の誰かと考えられるが、番組内では恋人の中でただ一人ジュリアーノの子供を産んだパチフィカという女性だと推測している。バチフィカは一人で男の子を生んだ後にすぐ死に、ジュリアーノはその子イッポーリトを養子として引き取っている。

 ジュリアーノは幼い息子に母親の姿を見せるため、ダ・ヴィンチに理想的な母親の絵を依頼したのではないか。そしてダ・ヴィンチは、注文に素早くこたえるため、手元に有ったリザの肖像画をベースに描き直しを行ったのでは? 顔は子供を見つめるために正面向きに変え、服はフィレンツェ風の物から死者を暗示する喪服に変えた、それが現在のモナリザではないか?

 もちろん、この推測には何の確証も無い。結局モナリザのモデルが誰なのかは謎のままである。


感想

 いやー面白かった。昔見た「ダ・ヴィンチ・コード」という映画が美術品とかを手掛かりに歴史上の謎に迫っていく、という内容でしたが、今回の番組はそれのリアル版という感じでした。モナリザの絵の下に隠されていた絵が三つもあり、それぞれの手掛かりをまとめてイタリアのあっちこっちを訪ねて回る、という展開は、良く出来たドラマみたいですごく堪能できましたね。

 まあ、もう当事者は全員死んでいるので、明確な真相が明かされることはありませんでしたが、「こうなんじゃないか?」という空想がいろいろできて、実に面白い番組でした。

http://www4.nhk.or.jp/P4481/21/
【どんな番組ですか?】
画家レオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作「モナリザ」…フランスの科学者パスカル・コット氏が独自に開発した2億4千万画素のマルチスペクトルカメラで「モナリザ」を撮影。分析の結果、なんと我々の知るモナリザの下から3つの全く異なる女性像が出てきました。
この驚きの発見を起点にモナリザの謎に迫る旅をするのは、蜷川幸雄演出の「ハムレット」で脚光を浴びた俳優・川口覚さん。果たして「モナリザ」の下から現れた3人の女性たちは誰なのか?そして我々の知る「モナリザ」とは誰か?美術界最大の謎と言われる、モナリザのモデルの謎に迫りました。



【番組の見どころは?】
最先端の科学技術を用い、肉眼では見えない「モナリザ」の下にある様々な痕跡をあぶり出していく様は、圧巻です。さらに、番組ではフィレンツェ、ローマ、そしてパリを巡り、研究者たちの証言を元に、「モナリザ」にまつわる知られざる事実、モデルの謎を解く手がかりを探していきます。番組を見終わるころ、世界中知らない者のない名画「モナリザ」の見え方が変わるかもしれません。



【心に残った言葉は?】
驚愕の発表をした科学者パスカル・コットさん
「『モナリザ』は、愛のメッセージであり、優しさのメッセージでもあります。だからこそ彼女のまなざしは、見ている者を魅了するのです」



【この番組を取材するなかで新しい発見や、驚いたことはありましたか?】
モナリザモナリザじゃなかった!…です。どういうことかは、番組を見てのお楽しみ。



【見てくださる方に一言】
モナリザに魅せられ、その謎を探求し続けている人々と接していると、なぜこの絵が人々を惹きつけるのか、その理由がわかる気がします。そんなところも感じて頂けると嬉しいです。ぜひご覧下さい!
(番組ディレクター) 木村竜太 (ドキュメンタリージャパン