【映画】感想:映画「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年:アメリカ)

ポセイドン・アドベンチャー [Blu-ray]

BS-TBS 映画 http://www.bs-tbs.co.jp/movie/
放送 BS-TBS。2017年5月30日(火)

【※以下ネタバレ】
 

タワーリング・インフェルノ」の先駆けとなったパニック映画の最高峰をBS-TBSオリジナル吹替新録版で!


ニューイヤーズ・イブの夜、米国豪華客船ポセイドン号は、様々な人々の人生を乗せてアテネに向かっていた。しかし、その時海底地震が発生し、数分後船は大津波にのまれて転覆、一瞬のうちに数百名の生命を奪う大惨事となった……!

 

あらすじ

 豪華客船ポセイドン号が地中海を航行中、近くの海底で地震が発生した。ポセイドン号は、発生した津波に直撃され、あっという間に転覆して上下逆さまになってしまう。

 丁度船内は年越しのパーティーが行われており、先客の多くが大ホールに集まっていた。生き残った人間たちのうち、パーサーはこのまま動かずに救助を待つように呼び掛けるが、牧師のスコットはこのままでは助からないと考え、今は上となっている船底へ向けて登っていくべきだと主張する。船尾にある機関室のスクリューシャフト周辺は船で最も鉄板が薄くなっていると解り、スコットは機関室を目指すと宣言し、警官のロゴを始めとする少人数だけが彼に従うことを決める。スコットたちが部屋を脱出した直後、部屋に大量の水がなだれ込み、残った人間は全滅した。

 スコット一行は、次々と犠牲者を出しながらも、なんとか機関室にたどり着く。そしてスコット自身も他の人間を助けるために自ら命をささげることになった。残ったロゴたちはスクリューシャフトの部屋に到着するものの、そこで行き止まりとなる。絶望するロゴたちだったが、外部には救助隊が到着しており、彼らが船底に穴を開けたことで、ロゴたちは救助されるのだった。


感想

 評価は○。

 パニック映画の超有名作品。リメイク版の「ポセイドン」(2006年)は視聴済でしたが、オリジナルたるこちらは初見。BS-TBSは、今回の放送にあたり他局のバージョンをそのまま流用するのではなく、改めて新規に吹き替えし直したものを放送するなど気合が入っていましたが、内容は……、うーん、もう少しだったかな。


 津波で船がひっくり返り、床と天井が逆転して乗客たちが転がり落ちていくシーンの描写は物凄い迫力がありましたが、それ以降が妙に淡々としているというか、あまり盛り上がらなかったという印象でした。まあ火が前方をふさいだり、梯子を上ったり、息を止めて水中を進むところが有ったり、と色々障害はあるのですが、手に汗握るというほどでもなく、簡単にクリアしてしまってさほど興奮しなかった、というところです。アスレチックの障害をこなしているというイメージでしょうか。

 そのため、いざ機関室に到着したあたりで、「え? もうついてしまったの?」と拍子抜け感に襲われてしまい、中身の薄さが強烈に印象に残ってしまいました。まあ、最後に一波乱と言うか、まさかの展開で主人公のスコットを殺して多少は盛り上げましたが、結局そこまで、船底を中から叩いたらあっさり上から助けてもらえて、そのままエンド、という流れは竜頭蛇尾感が物凄かった……


 結局のところ、思っていたほどの映画ではなかった、というのが正直な気持ちですね。制作者のアーウィン・アレンが3年後に作った、やはりパニック超大作の「タワーリング・インフェルノ」は、2017年に見ても傑作に思えたのですが、こちらはもろに古さを感じました。


 しかし、1970年代の映画でCGとかが存在しないので、役者はみんな体を張っています。津波のシーンで窓から飛び込んできた大量の水に直撃されたり、本物の火が燃えているセットの中を歩かされたり、CGでごまかしていないと思うと、その事には感服しましたね。


一言メモ

・スコット牧師役ジーン・ハックマンの声は、ベテラン声優の石塚運昇氏。この人の声はカッコいいおじさん役でお馴染みなのですが、ジーン・ハックマンの声を当てるのは、なにか違うなぁという違和感が……

・その他の吹き替え陣は、勝生真沙子野島昭生堀内賢雄浪川大輔といった洋画でお馴染みの面々も出て来るのですが、その一方で坂本真綾とか潘めぐみとか三瓶由布子といったアニメの仕事の方がメインといった人たちも出て来るのが今風です。潘めぐみも洋画の吹き替えとかをするほどのキャリアになったのか……

・序盤だけ出て来る(多分転覆した時に速攻で死んだと思われる)船長役がなんとレスリー・ニールセン。この人は大馬鹿映画「裸の銃を持つ男」シリーズのバカ刑事フランク・ドレビン役で大当たりをとったため、シリアス映画に出ていると、エッと思ってしまいますね。


ポセイドン・アドベンチャーBS-TBSオリジナル吹替新録版】
2017/5/30(火)よる9:00~11:24



キャスト
スコット牧師:ジーン・ハックマン石塚運昇
マイク・ロゴ:アーネスト・ボーグナイン辻親八
リンダ・ロゴ:ステラ・スティーヴンス(勝生真沙子
ジェームズ・マーティン:レッド・バトンズ(多田野曜平)
ベル・ローゼン:シェリー・ウィンタース(堀越真己
マニー・ローゼン:ジャック・アルバートソン(中博史
ノニー・パリー:キャロル・リンレイ坂本真綾
スーザン・シェルビー:パメラ・スー・マーティン(潘めぐみ
ロビン・シェルビー:エリック・シーア(三瓶由布子
エイカーズ:ロディ・マクドウォール浪川大輔
ハリソン船長:レスリー・ニールセン野島昭生
看護師:シーラ・アレン(寺依沙織)
リナーコス:フレッド・サトフ(堀内賢雄
その他声:田村真、増元拓也、こばたけまさふみ、米倉希代子、村井雄治、上住谷崇



スタッフ
1972年 アメリカ
監督:ロナルド・ニーム
製作:アーウィン・アレン
脚本:スターリング・シリファント/ウェンデル・メイズ
特殊視覚効果:L・B・アボット



番組内容
1972年に全米で公開され、パニック・ムービーの先駆けとなった伝説の映画「ポセイドン・アドベンチャー」。今回BS-TBSでは、新規に録音した「BS-TBSオリジナル吹替新録版」で「ポセイドン・アドベンチャー」を放送!BS-TBSでオリジナルの吹替を新録するのは今回が初。


ポセイドン・アドベンチャー」は、これまでに数々の吹替版が制作され、主役のスコット牧師を演じるジーン・ハックマンの吹替は、1976年TBS「月曜ロードショー」版では小林昭二、1983年日本テレビ水曜ロードショー」版では小林勝彦、1991年テレビ朝日日曜洋画劇場」版では磯部勉、そしてレーザーディスク版では内海賢二と、錚々たる俳優・声優陣が担当してきた。


今回のBS-TBSオリジナル新録版で主役・ジーン・ハックマンの吹替を担当するのは声優・俳優の石塚運昇。アニメでは「ポケットモンスター」のオーキド博士役をはじめ数々の作品に出演。洋画でも「96時間」シリーズのリーアム・ニーソン、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のケヴィン・スペイシーなど、多数の作品で吹替を担当している。


ほかキャストには、辻親八勝生真沙子、多田野曜平、野島昭生ら、洋画吹替ではお馴染みのベテラン人気声優から、浪川大輔坂本真綾潘めぐみをはじめとする、数々のアニメ作品で活躍するスター声優らが参加。1976年に放送された月曜ロードショー版から数えると、なんと40年!2016年版にふさわしい吹替キャストが揃った。


近年、テレビ局独自で新録することがめっきり減った洋画の吹き替え。新たな吹き替えによって、再び生まれ変わる名作映画の魅力を、BS-TBSでぜひお楽しみください。



▽作品解説
1969年に発表されたポール・ギャリコの小説を1972年に映画化。豪華客船が大晦日の航海の途中、巨大な津波で転覆。パニック状態に陥る乗客たちの中で、乗り合わせていた牧師が生き残った数少ない乗客たちを脱出へと導いていくその苦難と悲劇の物語。公開当時オールスターキャストで話題となり、日本でも大ヒットを記録。大津波や「タイタニック」の原点となった客船転覆のスペクタクルに加え、大脱出劇のスリルとサスペンスが堪能できる、パニック映画の最高峰。1972年度アカデミー賞2部門受賞(歌曲賞/特別業績賞[視覚効果])

 

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