感想:アニメ「キャプテンフューチャー」第26話「吼える大氷流」


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東映チャンネル | キャプテンフューチャー http://www.toeich.jp/program/1T0000010881/201705
放送 CS放送東映チャンネル。全52話。1978年~1979年作品。

【※以下ネタバレ】
 

第26話 吼える大氷流 (「暗黒星大接近」より)

 

あらすじ

 「暗黒星大接近!」編・第2回(全4回)

 キャプテンフューチャージョーン、カンス・ケーン博士の三人は、ライフカプセルで「宇宙のサルガッソー」に流れ着いてしまった。やがてフューチャーたちは全く未知の文明の宇宙船を発見し、内部に乗り込んでみると、乗員たちは冷凍睡眠状態だった。フューチャーは目覚めた異星人たちとコンタクトし、彼らは宇宙船の動力には問題がないものの、食料となる血液が尽きてしまったため、ここで眠って獲物がかかるのを待っていたことが解る。フューチャーは、異星人のために血液を合成してやり、その代わりにサルガッソーから連れ出してもらった。

 一方、コメット号のサイモンたちは、オットーが見つけた猿人が白鳥座61番星の住人だと知り、早速向かっていた。そこにフューチャーたちの乗る異星人の宇宙船が現れ、フューチャーたちはコメット号に乗り換えて白鳥座61番星を目指した。

 白鳥座61番星の三つの惑星のうち、ケルベルスは荒野しかない刑務所惑星、スティクスは水に覆われた未開惑星、ケイロンは氷惑星で、猿人はケイロンの住人だった。早速フューチャーたちは猿人の村に向かうが、ザロ博士の手下たちの攻撃でコスモライナーが撃墜されてしまい、仕方なく川を流れる巨大な氷を船代わりにして村を目指すことにした。

 一方、ケイロンの天文台で暗黒星を調査していたケーン博士とサイモンだったが、そこにザロ博士たちが現れ、サイモンを連れ去ってしまった。


脚本:辻真先


感想

 キャプテンフューチャーは、原作小説は太陽系内が舞台となっていて(つまり地球以外の火星や金星や冥王星やその他の星に知的生物がすんでいて文明がある)、それをアニメでは無理やり(?)恒星間レベルに引き伸ばしているので、色々おかしなことになっていますが、今回もそれが随所に出てきました。

 まず、カーティスたちが宇宙のサルガッソーをさまよう際、出て来る船は全部「地球製」で、そのため異星人の船を見つけると驚く、という展開になります。しかしアニメでは、酒場とかそのあたりで見たことも無いような異星人がうろうろしている事が描写されており、ことさら「地球製じゃない宇宙船がある!!」とか驚くことがおかしいんですよね。

 また、後半サイモンたちは白鳥座61番星の惑星ケイロンから、太陽系に近づいている暗黒星を観測しますが、12光年も離れているのに見えるわけないだろ! これも原作ではケイロンは「冥王星の衛星」ということになっているのを改変したための破綻です。冥王星の衛星から太陽系に迫る暗黒星を観測するなら何の矛盾も無いんですけどね。

 と、あちこちの破たんを頭の中で無理やり納得させつつ見ないといけないので、ちょっと精神的に厳しい回でした。


 ちなみに、今回ジョーンは異星人の超光速航法が地球人の使うワープ航法とは違うことに気が付き「私たちのワープとは違うようね」と言うと、フューチャーは「一口にワープといっても、リープ、バーゲンホルム、マンシェン・ドライブと、いろいろあるからなあ」としれっと解説します。

 リープというのは色々とあって特定できませんが、残りの二つは

バーゲンホルム=E・E・スミスの「レンズマン」シリーズの超光速航法
マンシェン・ドライブ=チャンドラーの「銀河辺境シリーズ」の超光速航法

と、他作品の設定を何の解説も無く突っ込んできています。約40年前に見た時は全く意味不明でしたが、2010年代ではネットの力で簡単に解決できました。それにしても脚本の辻真先先生のお遊びが凄いですな。
 
 

キャプテンフューチャー」の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下からどうぞ

アニメ「キャプテンフューチャー」あらすじ・感想まとめ
 
 
恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)