感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第65話(シーズン3 第12話)「捕らわれた女スパイ」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第65話 捕らわれた女スパイ The Exchange (シーズン3 第12話)

 

あらすじ

任務遂行中に敵の手に落ちたシナモン(バーバラ・ベイン)。早く助け出さないと、スパイ組織について自白させられた上、殺されてしまう。彼女を救い出す唯一の方法としてフェルプス(ピーター・グレイブス)が選んだのは、東側のトップスパイとの人質交換作戦だった…。

※DVD版のタイトルは「スパイ交換作戦」。


【登場メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【舞台】
 敵側某国


【展開】
 IMFは某国で機密情報を盗み出す作戦を実行していたが、情報奪取には成功したものの、シナモンが捕まってしまった。フェルプスは、正面からの救出は不可能と判断し、西側に捕まっている大物スパイのルドルフ・クルツをシナモンと交換することを決意する。

 フェルプスは交渉役という設定で、シナモンを捕まえているストロム大佐と面会し、200万ドルで釈放してほしいと要求するが、ストロム大佐は拒絶する。すかさずフェルプスは、ならばクルツと身柄を交換しようと持ち掛け、クルツを取り戻したいストロム大佐は承知し、翌日の朝に交換という事に決まる。

 ストロム大佐はそれまでにシナモンから情報を得ようとし、シナモンが閉所恐怖症であることを見抜いて、狭い所に閉じ込め精神的に苦しめる。耐え切れなくなったシナモンは朦朧となり、仲間がジムという名前であることを口にしてしまう。

 一方、ローランは某国の役人(特製の車椅子使用)という設定で、刑務所に収監されているクルツのところに面会に向かい、クルツを車いすの中に隠して脱獄させる。さらにクルツに国境を越えて母国に戻ったと思わせ、クルツが作ったスパイ網について洗いざらい喋らせる。その後、クルツは騙されていたことに気が付くが、フェルプスからは、英雄で居たければ口をつぐんでいろ、と警告される。

 そしてシナモンとクルツは両国の間にある検問所のところで身柄が交換される。最後、ストロム大佐はフェルプスとシナモンにマシンガンを乱射し、二人はばったり倒れるが、実は防弾コートを着ていたために無事だった。


監督: アレクサンダー・シンガー
脚本: ローレンス・ヒース



感想

 評価は○。


 今回は謎の上司からの指令に基づいて作戦を実行するのではなく、シナモンが捕まったところから話が始まるという変則エピソードだった。スパイ大作戦では、この手の変化球話は基本的にハズレと相場が決まっているが、今回は結構出来が良くてそれなりに面白かった。


 冒頭で、シナモンが光センサー警報機のついた窓をこっそり開けたあと、金庫を開けて資料の写真を撮影する。ところがその間に窓に鳩が飛んできてセンサーに引っかかってしまい、警報が鳴りだしてしまう。シナモンは撮影したフィルムを、下にいるフェルプスたちに窓から投げ渡すものの、自分は兵士に捕まってしまう。ここは、シナモンは写真撮影を終えてから窓を開ければよかっただけの話で、IMFがこんなポカをやるのは変だと思わせ、ちょっと無理がある導入部という感は否めない。

 という滑り出しだったため、以後の展開にさほど期待していなかったが、意外にもこの後から面白くなってきた。フェルプスたちはシナモンとの身柄交換のため、刑務所にいる大物スパイのクルツを連れて来ようとするが、関係各所に話を通している暇が無いので、強引に脱走させることを決意する。つまりここでいつもの「不可能ミッションの遂行」が変則的な形ではあるがスタートすることになり、ここから俄然盛り上がってきて嬉しかった。

 ローランが特製車いすに乗ってクルツに面会に行き、独房の中にクルツそっくりの風船を置き、代わりに本物のクルツは車いすの中に隠して脱出させる、という展開は、いかにもスパイ大作戦ノリで楽しかった。さらに、そのあと、クルツを木箱の中に閉じ込め、特殊な台の上に乗せて、車のエンジン音などを聞かせつつ台を振動させて、いかにもトラックで運んでいるように偽装する、という光景が実に滑稽でもう面白くて仕方なかった。こういう「真相が解っている視聴者視点だと、笑えて仕方ない」展開こそ、スパイ大作戦の醍醐味である。

 さらに、フェルプスが軍人のふりをして、クルツに「前任のストロム大佐は西側のスパイで、逮捕された挙句自殺したので、私が代わりになりました。だから私に機密情報を明かせ」とか、しれっと大嘘を並べ立てるシーンも、愉快で愉快で仕方なかった。


 結局、今回は、上司の指令はなかったものの「東側大物スパイから情報を聞き出すこと」という不可能ミッションを達成する話のようなものだったので、ノリはいつものエピソードとほぼ変わらず、結果的に楽しめるエピソードとなった。

 しかし、ストロム大佐は結局IMFに機密情報を盗まれてしまったままなのだが、その事で責任を追及されないのだろうか? それともクルツを奪い返したからそれでプラスマイナスゼロくらいの扱いなのだろうか。妙に気になってしまった。

 ちなみに今回の話の舞台は、どう見ても東西ドイツだった。最初はそのことに気が付かず、フェルプスたちが「身柄交換用にクルツを脱獄させに行く」というので、わざわざヨーロッパからアメリカまで帰るのかと不思議に思っていたか、単にすぐそばの西ドイツの刑務所まで連れ出しに行くだけだったのである。その事に気が付いて、ちょっと意表を突かれた。
 
 

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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ