感想:アニメ「正解するカド」第12話(最終回)「ユキカ」

正解するカド クリアファイル

正解するカド KADO: The Right Answer http://seikaisuru-kado.com/
放送 BSフジ。全12話+総集編1話。

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) ユキカ

 

あらすじ

 カドは果てしなく広がり、関東一円を覆いつくしつつあった。

 ヤハクィザシュニナは、過去にコピーした真道はもはや本当の真道ではないといい、人類は特異点だとかなんとか言い出す。そして真道に異方に行くように勧めるが、真道は自分の宇宙に愛着がある云々という理由で拒否する。そして真道はフレゴニクスを操るスーツでヤハクィザシュニナに一撃をいれようとするが、全てを見切っていたヤハクィザシュニナに殺される。

 ヤハクィザシュニナは次に徭沙羅花(つかい・さらか)を殺そうと迫ってくるが、そこに突然車が現れ、中から少女が現れる。少女にはヤハクィザシュニナの力は全く通用せず、ヤハクィザシュニナは驚愕する。この少女こそ、ナノミスハインで加速された世界で16年間育てられた真道と沙羅花の娘ユキカだった。人間と異方存在の子供であるユキカは、ヤハクィザシュニナすら足元にも及ばない存在だった。ユキカはヤハクィザシュニナを簡単に消滅させ、カドも吹き飛ばした。

 一か月後。カド出現以降にもたらされた、ワム・サンサ・ナノミスハインは全て使えなくなっていた。それでも日本政府の首相は今度は自分たちから異方に行こうと目標を掲げる。ユキカはどこかに消えていなくなっていた。おしまい。


感想

 ひどいオチとしかコメントしようがないなぁと。最後に真道が「交渉」でヤハクィザシュニナを説得して追い返して、交渉アニメとして締めくくるのかと思っていたら、暴力に訴えた挙句に殺されるってどこが凄腕ネゴシエイターなのか……、さらにそのあと真道&沙羅花の娘を唐突に出現させてそれで解決、って、予想もできないオチで驚かせれば良いってもんじゃなかろうぞ。

 このアニメに関わった主要スタッフは全員猛省してもらいたい。

一言メモ

 品輪彼方って最後まで天才らしいところがなかったな。くぎみーもとんだスカキャラを演じさせられたという感じです。


総括

 評価は×(ダメでした)。

 「ファーストコンタクトテーマ」「交渉を描く」とかいう前ふりの上に、早川書房がタイアップで関連小説を出すなど応援しまくっていたので、テレビアニメでハードSFを描くのかと大いに期待してたら……、アハハー(苦笑)、とんだ一杯食わせ物でした。


 ある日、羽田空港上空に一辺二キロもある立方体が出現し、空港を押しつぶすような形で着地する。日本政府は立方体の中から現れた「ヤハクィザシュニナ」と名乗る若い男と接触し、この物体「カド」が高次元世界「異方」とこの宇宙をつなぐ窓口だと知る。ヤハクィザシュニナは人類に「正解」を求め、異方の驚異的な技術を次々と提供していくが……


 第1話だけは雰囲気が良くて、「これは!」と思わされたのですが、数回経つとすっかり化けの皮がはがれて、期待値も地の底に転落してしまいました。とにかく展開が遅くて、しかも中身がぺらっぺらに薄い。さらに話の進め方が雑で、見ていて毎回突っ込みたくなることばかり。今思いつくだけでも、


・真道は交渉のプロという設定だが、交渉シーンの描写など皆無。最初のヤハクィザシュニナとの接触は単に意思疎通の試みであり、その後は異方の代弁者になったに過ぎない。最後に至っては暴力に頼る有様。どこが交渉を描くアニメだったのかと……


・話の舞台が小さすぎ。人類の変革をテーマにしているわりに、真道の視界の届く物凄く狭い世界でしか話が進まなかった。この世界には日本政府の数人と、あと真道の知人しかいないのかと思うようなせまっ苦しさ。世界にはアメリカもロシアも中国もその他の国も存在しているのに、そういう国の政府の人間が何を考えどう動いているか、とかいう事がまるで描かれなかった。


・人類以外の知的存在と接触したというだけでもうすさまじい大事件で、学者たちがヤハクィザシュニナに24時間群がってしかるべき状況のはずなのにそうなってなかった。変過ぎる。


・ワム=無限電力発生装置の製法が世界に広がったら、それだけでもう世の中が上へ下への大騒ぎになるだろうし、エネルギー産業は大打撃を受けて株価は暴落し世界経済に大混乱が起きる、という風な事が起きるはずなのに、そのあたりを一切見せようとはしなかった。薄っぺらに過ぎる。


・品輪彼方は超絶天才という触れ込みだったが、ついに具体的にそれが描かれることはなく、なんなのか感が強かった。結局周りがただ口で「天才だ」と呼んでいて、本人も電波風なふるまいを見せるだけだったし。ワムを折り紙で作れたから超絶天才なのか?


・この世界の人間は異方のもたらす物をあっさり受け入れすぎ。ワムもサンサもナノミスハインも、何のテストもせずに無邪気に世界中に受け入れてしまう。相手に悪意が無くても、思わぬトラブルとかが発生したら、下手すれば人類滅亡だろうに、そんな危険は全く考えていないらしい。


・第7話での、超々々VIPのヤハクィザシュニナを護衛も無しに気楽に夏祭りに連れ出すという展開が酷い。まあ異世界人は暴力でどうこうできる相手じゃないからOK、という判断かもしれないが、一般人が気が付いたら殺到してパニックとかが起きる危険があったのではないのか。


・影の薄かった徭沙羅花(つかい・さらか)が、終盤唐突にスーパーヒロインみたいな服に変身して「実は異方存在でした」とか名乗られても、唐突さに口あんぐり状態で、苦笑いするしかなかった。


・最終回も、ウリ(?)の交渉が全く役に立たずに真道がぶっ殺され、用意されていた秘密兵器のラスボス・ユキカがヤハクィザシュニナをぶっ殺し返す、という、エレガントさ皆無のオチはどうなんだろうか。


と、もう滅茶苦茶。こんなアニメになってしまった責任は、【総監督】村田和也と【シリーズディレクター渡辺正樹、両氏のどちらに有るのか知りたいものです。


 あーあ、こんなトンデモアニメをハードSFと期待したなんて、自分がアホみたいです。
 

正解するカド


真道幸路朗(しんどう・こうじろう)は、外務省に勤務する凄腕の交渉官。
羽田空港で真道が乗った旅客機が離陸準備に入った時、空から謎の巨大立方体が現れる。
“それ”は急速に巨大化し、252人の乗った旅客機を飲み込んでしまう。
巨大立方体の名は「カド」。
カドより姿を現した、謎の存在・ヤハクィザシュニナは人類との接触を試みようとする。
カドに取り込まれた真道は、ヤハクィザシュニナと人類の間の仲介役を引き受けることになる。
一方、日本政府も国際交渉官の徭沙羅花(つかい・さらか)を代表として現場へ送り込む。
ヤハクィザシュニナとは何者か。そして彼の狙いは何か。


世界の終わりと始まり。
人類は「正解」できるのか。


全ては、想像を絶するファーストコンタクトから始まった。突如出現した謎の存在「カド」。異常事態に翻弄される日本政府。そして世界の行方は、ひとりの交渉官(ネゴシエーター)に委ねられる--。


正解するカド』プロジェクトにはさまざまな才能が集結している。総監督はスタジオジブリ出身で『翠星のガルガンティア』監督の村田和也。シリーズディレクターには『コードギアス 亡国のアキト』演出の渡辺正樹。華のあるキャラクターデザインは、マンガ『ヴァニシング・スターライト』(原作/Sound Horizon)などで人気を集める有坂あこ。そして『カド』の作品世界を構築したのは、脚本を担当した小説家・野﨑まど。野﨑は、小説『2』『know』などで知られる、次世代を担う注目のエンターテインメント作家だ。制作は『楽園追放 -Expelled from Paradise-』など新たな企画に挑戦し続ける東映アニメーションが担当する。


謎の果てに待つ「正解」とは何なのか。そこには誰も見たことがない「未来」が刻まれている。



制作会社
東映アニメーション


スタッフ情報
【総監督】村田和也
シリーズディレクター渡辺正
【脚本】野﨑まど
【演出】りょーちも、齋藤昭裕、田辺泰裕
【キャラクターデザイン】有坂あこ
【アニメーションキャラクターデザイン】真庭秀明、りょーちも、黒岩園加
【CGディレクター】カトウヤスヒロ
【キャラクタースーパーバイザー】宮本浩史
【リードキャラクターモデラー】岩本千尋
【リードアニメーター】安田祐也、牧野快
グラフィックデザイン】鈴木夏希
色彩設計】岩沢れい子
美術監督】佐藤豪志(スマーチル)
【撮影監督】石塚恵子
【編集】福光伸一
【音響監督】長崎行男
【音響効果】今野康之(スワラ・プロ
【音楽】岩代太郎
【アニメーションプロデューサー】小倉裕太
【プロデューサー】野口光一


音楽
主題歌(オープニング):「旅詩」 徭 沙羅花 starring M・A・O
エンディング:「永遠のこたえ」 HARUCA


キャスト
真道幸路朗:三浦祥朗
ヤハクィザシュニナ:寺島拓篤
徭沙羅花:M・A・O
花森瞬:斉藤壮馬
浅野修平:赤羽根健治
夏目律:伊藤静
品輪彼方:釘宮理恵
犬束構造:中博史
羽深清鷹:斎藤志郎
笹内直己:菊池正美
言野匠:桐本拓哉
画美:菅沼久義
歌丸阪口大助
御船哲人:後藤哲夫
阿方篤彦:小山剛志
大石哲男:半田裕典
深水ソフィー:甲斐田裕子
由利縞子:白石涼子

 
永遠のこたえ (DVD付)