感想:アニメ「キャプテンフューチャー」第36話「放たれた最終兵器」

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東映チャンネル | キャプテンフューチャー http://www.toeich.jp/program/1T0000010881/201705
放送 CS放送東映チャンネル。全52話。1978年~1979年作品。

【※以下ネタバレ】
 

第36話 放たれた最終兵器(スーパーウエポン) (「魔法の月の決闘」より)

 

あらすじ

 「魔法の月の血闘」編・第4回(全4回)

 スティックス人は地球人たちの町に最終兵器「神の灰」を打ち込み、その正体を知るフューチャーは慌ててグラッグとサイモンをコメット号で宇宙に避難させる。「神の灰」とは、あらゆる金属を腐食させてしまう粉だった。町の住民は宇宙船が崩壊してスティックスから逃げられなった事を知り、怒りに暴徒化してフューチャーたちを襲ってくるが、フューチャーたちはスティックス人の助けでなんとか脱出した。

 フューチャーは「神の灰」は胞子のようなもので、金属に触れると錆びを発生させてしまうものであり、放射線でこの灰を無力化できると考える。そしてヘリオスコープ(光を反射させる通信装置)を作ってコメット号に連絡し、非金属の道具や材料を投下してもらって、放射線発生装置を作る。フューチャーの推測通り、放射線により「神の灰」は無力化されており、スティックス人の町の周囲なら宇宙船がやってこられる状態になる。しかし霧によりコメット号とは連絡できないままだった。

 一方ヴァルディーンの部下スアールは、もうヴァルディーンに従う必要はないと彼を見限り、暴徒たちのリーダーに収まると、スティックス人の町を襲撃してきた。スティックス人のリーダー・クウ老人はついに非暴力主義を捨て、フューチャーたちに加勢するが、フューチャーたちは結局多勢に無勢で敗北してしまう。

 フューチャーはスアールに処刑されかけるが、スアールとヴァルディーンが争い始めた隙をつき逃走する。そしてヘリオスコープでコメット号を呼び、合図を見て駆け付けたコメット号により暴徒は蹴散らされ、ヴァルディーンもスアールも死んだ。負傷したクウ老人は、スティックス人は今までの方針を変え科学を受け入れるようにと言い残し、フューチャーにはスティックス人を援助してほしいと頼んで死んだ。

 最後。キャプテンフューチャーの伝記映画「宇宙のエース」が公開され、評論家は基本的に絶賛していたが、ただ一つ主役でフューチャー役の俳優チャン・カースン(実はフューチャー本人)がミスキャストだ、と苦言を呈する。それを聞いてフューチャーメンが大笑いする中、フューチャーがぼやくシーンで〆。


脚本:金子武郎


感想

 ラスト回になって、フューチャーが金属を使わない放射線発生装置を手作りするなど、ようやく「科学の魔術師」らしいところを見せたりしたのはちょっと良かったかなと。植物のつるを巻いた後、燃やして炭にして、炭素性のコイルを作る、とか本当ぽいけど、現実に可能なのでしょうか。

 それはさておき、今回はキャプテンフューチャーというより「終末物」みたいなムードがたっぷり。地球人たちの町で、金属が腐食して建物や宇宙船が崩壊した後の光景は大災厄の後のような感じですし、それでヤケになった住民が悪党スアールの口車に乗って「フューチャーを殺せ! フューチャーを殺せ!」と合唱しながら押し寄せてくるシーンなぞ、文明崩壊後に人類が醜く争うディストピアものかと思わせるノリでした。

 さらに、金属の道具が使えないので互いが石斧や弓矢で殺し合うシーンや、悪党スアールが「町を襲撃して住民を奴隷にしてやる」とかバイオレンス物みたいなことを言い出して、こんな話をNHKが子供に見せてよかったのか、みたいな雰囲気でした。

 しかしまあ、最後はフューチャーが映画評論家の「主演だけがいまいち」という評価を聞いて、「それはないよー、トホホ」みたいな台詞で締めたので、救われたような気分です。
 
 

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アニメ「キャプテンフューチャー」あらすじ・感想まとめ
 
 
人工進化の秘密!/魔法の月の血闘<キャプテン・フューチャー全集8> (創元SF文庫)