感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第81話(シーズン4 第3話)「魔薬B-230 (前編)」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第81話 魔薬B-230 (前編) The Controllers (Part1) (シーズン4 第3話)

 

あらすじ

完成間近の人間を意のままに操れるという薬品B-230。この薬の開発を阻止し発明者共々抹殺するという指令を受けたIMF。ライバルの科学者夫妻に化けたフェルプス(ピーター・グレイブス)とメレデス(ダイナ・メリル)。夫が人間を指示通り動かせる別の薬を提案しB-230開発者を追い込み、妻は夫を裏切った協力者として近づく。


完成間近の、人間を意のままに操れるという薬品「B-230」。この薬の開発を阻止し、発明者共々抹殺するという指令を受けたIMF。ライバルの科学者夫妻に化けたフェルプス(ピーター・グレイブス)とメレデス(ダイナ・メリル)。夫が人間を指示通り動かせる別の薬を提案し、B-230開発者を追い込み、妻は夫を裏切った協力者として近づく。

※DVD版のタイトルは「麻薬B-230 (前編)」。


【今回の指令】
 某国は科学者カール・トレック博士(Dr. Karl Turek)に命じて、人間の意思を奪い操り人形に変えてしまう薬物「B-230」の開発を進めている。だが、B-230には現時点では服用者を廃人にしてしまう危険な副作用があり、まだ完成には至っていない。しかしアメリカから某国へ亡命予定の研究者ジャービス博士夫妻(Dr. Arthur Jarvis and his wife, Vera)が開発に参加すれば、B-230が完成することは確実である。IMFはトレック博士とB-230に終止符を打たなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:メレディス


【作戦の舞台】
 某国


【作戦】
 フェルプスとメレディスは、ジャービス博士夫妻(アーサー&ベラ)にすり替わり、某国に入国した。トレック博士は、優秀な研究者であるベラがB-230の開発に加われば、完成は確実だと到着を心待ちにしていた。しかし、フェルプスはベラ(メレディス)をトレック博士とは会わせず、またトレック博士の前でB-230は完成の見込みはなく、さらに自分はB-230に匹敵する薬品「ボリティカン」を既に完成させている、とぶち上げる。(もちろんフェルプスの大嘘)。それを聞いてトレック博士と犬猿の仲のボロディン大佐は大喜びする。

 フェルプスは視察に来ていた副首相の前で、翌日ボリティカンの効果を実演してみせると説明し、IMFはウィリーがその実験の被験者になるように上手く仕向ける。翌日の実験では、ウィリーはボリティカンが効いたふりをしてフェルプスの命令になんでも従ってみせる。それを見て副首相は大喜びして、フェルプスのボリティカンに予算を保証する一方、トレックを完全に見放してしまう。

 追い込まれたトレックをメレディスが部屋に呼び、B-230の改良案をノートにまとめていたのに夫フェルプスに隠されてしまい、しかもフェルプスが銃を隠し持っていた、と訴える(つまり夫妻の中は冷え切っているという演技)。トレックはメレディスに対し、お互いの命と地位を守るためにはフェルプスを殺すしかないと説得する。

 フェルプスはメレディスにボリティカンを盛られて操り人形になったふりをして、トレックの前でボロディン大佐を射殺したふりをする(実際は麻酔弾を撃ち込んだだけ)。そのあとトレックは、フェルプスに「ボロディンの死体を車に積んで車ごと崖から転落しろ」と命じる。フェルプスは車にボロディン大佐を積み走り出した。続く。


監督: ポール・クラズニー
脚本: ローレンス・ヒース


感想

 評価は○。

 スパイ大作戦の前後編は、一話分のアイデアを二話に引き伸ばしただけの大味なエピソードであることが多いが、今回はそこそこ頑張っていて、わりと面白かった。

 IMFがメンバー総がかりで「ボリティカン」というありもしない薬をでっち上げ、その薬の存在をもってターゲットのトレックを追い込んでいく、という過程がなかかな面白かった。しかも、前半では出番の少なかったパリスが法律関係の専門家の軍人という設定で後半活躍するらしいので、そのあたりの期待の持たせ方も上手い、という感じである。


 今回笑ったのが、IMFがウィリーを実験の被験者に送り込む段取りで

1)ウィリーが建物の電気回線に仕掛けをする(あとから電話の回線だと判明する)
2)バーニーが被験者候補の入っている施設に行き、受付に一人連れてくるように頼む。しかし1)でウィリーが細工して電話がつながらないので、受付がその場を離れる
3)バーニーがその場を立ち去る
4)パリスとウィリーが受付の詰め所にこっそり入ってきて、パリスが受付、ウィリーが被験者、のふりをする
5)そこに研究所から人が来て、ウィリーを連れていく
6)パリスが詰め所を離れる
7)バーニーが戻ってきて、受付が連れてきた被験者を連れていく

という感じで、三人で上手い事立ちまわって、誰にも怪しまれずにウィリーを研究所に送り込むことに成功するのである。この一連の過程を見ていると、視聴者視点ではあまりにも話が上手くいきすぎてコントみたいでちょっと笑ってしまった。

 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはメレディス(ダイナ・メリル)である。積極的にトレック博士に絡んで嘘を吹き込むなど、IMFメンバーらしく、それなりに重要な仕事を担当していた。麻酔弾を撃たれて昏倒したボロディン大佐に近づき、さりげなく服に血のりをつけて、実弾に撃たれたように見せかける場面など、なかなか面白かった。

 このエピソードのサブタイトルの原題「The Controllers」とは「支配者」の意味だと思われる。指令のテープで、上司はB-230が完成すれば自由世界は支配されてしまう云々と言っていたので、それを意味しているのであろう。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で高速道路の料金所に乗り付け、停車させて部屋の中に入る。そして机の引き出しから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、この録音テープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。これは、B-230と称する薬品の実験のために廃人となった人間モルモットたちである。B-230は、人間を自由にコントロールする、つまりロボット化する催眠性の薬品で、開発者はカール・トレック博士である。ただ、このB-230には目下副作用があるが、その副作用解決の鍵を握るのがアメリカを裏切ったジャービス博士夫妻であり、現在ジュネーブにいるボロディン大佐が二人の亡命工作にあたっている。もし彼らがB-230を完成するや、われわれ自由世界は、彼らのロボットと化することは明らかである。

 そこで君の使命だが、トレック博士とそのB-230に終止符を打つことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音テープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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