感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第82話(シーズン4 第4話)「魔薬B-230 (後編)」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第82話 魔薬B-230 (後編) The Controllers (Part2) (シーズン4 第4話)

 

あらすじ

研究所に実験台の囚人として潜入していたウイリー(ピーター・ルーパス)が、B-230のすり替えを行ない、奪ったB-230を利用した新たな作戦を…。一方、計画が失敗、大佐を死なせてしまったフェルプス(ピーター・グレイブス)は、殺人容疑で裁判にかけられるが…。


研究所に実験台の囚人として潜入していたウィリー(ピーター・ルーパス)が、B-230のすり替えを行い、奪ったB-230を利用した新たな作戦を始める…。一方、計画が失敗し、大佐を死なせてしまったフェルプスは、殺人容疑で裁判にかけられるが…。

※DVD版のタイトルは「麻薬B-230 (後編)」。


【今回の指令】
 承前


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:メレディス


【作戦の舞台】
 某国


【作戦】
 フェルプスは車で研究所を飛び出すが、その際車を兵士に撃たれ、トランクに積んでいたボロディン大佐は弾に当たって死んでしまう。IMFボロディンを使って作戦を遂行するはずだったため、フェルプスは計画の修正を迫られ、とりあえず死体の入った車を崖から落とす。

 やがて副首相たちの元に、フェルプスボロディン大佐を射殺した、という知らせが届く。トレック博士とメレディスは口裏を合わせ、酒に酔ったフェルプスボロディン大佐と口論した末に射殺してしまったと証言する。フェルプスは収監され、軍は裁判を開くため、フェルプスのための弁護人をコンピューターで選出するが、IMFがデータに手を加えていたため、パリスが選ばれる。

 早速裁判が開かれ、最初はフェルプスに不利な証拠ばかり出て来るが、フェルプスは自分は妻のメレディスにボリティカンを盛られて操り人形にされていた、と反論する。さらにパリスはメレディスの日記を証拠として取り出し、そこにはメレディスが数年前に学会でトレック博士に会ったときから彼に恋心を抱いており、夫フェルプスとの仲はすっかり冷え切っていた事が書かれていた。裁判官の将軍は、トレック博士とメレディスも怪しいとみなし、二人も収監してしまう。

 一方、ウィリーは研究施設からB-230を盗み出し、バーニーはそれを貯水タンクの水の中に放り込んだため、研究所内の人間は全員薬の影響で廃人化してしまう。パリスは副首相に電話をかけ、トレック博士が脱獄するためB-230を水に混ぜたので、すぐに捕まえに来てほしいと連絡する。

 続いてパリスはトレック博士の助手に変装し、牢屋のトレック博士に面会し、博士を助けるためB-230を水に混ぜたといって彼を牢から出す。トレック博士は、助手(実はパリス)にフェルプスもメレディスも殺しておけと命じて、自分は逃げ出す。そこに副首相率いる軍隊が到着し、トレック博士は問答無用で射殺される。最後、IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: ポール・クラズニー
脚本: ローレンス・ヒース


感想

 評価は○。

 スパイ大作戦の前後編は、大抵が一話分のアイデアを二話に引き伸ばしただけの大味なエピソードばかりで辟易していたが、今回はきちんと二話をかけるだけの内容になっており、初めて前後編らしいと納得できたエピソードだった。

 今回の後編では、IMFが練りに練ったプランが、ボロディン大佐の死亡というアクシデントで根底から崩れ落ちてしまう、という珍しい危機的展開が描かれる。いつのもIMFのミッションであれば、必ず計画通りにキチンと話が進むのだが、前後編で余裕があり、多少の回り道をする時間があるため、こういう話の流れになったと思われる。そしてパリスとメレディスが、計画変更を打ち合わせ、当初プランから色々と変えていくさまが描写された。前後編はこうでなくては、というところである。

 多分IMFの当初のプランでは、「裁判でボロディン大佐がトレック博士が黒幕だと証言し、パリス弁護士が大活躍して、トレックが収監される」という風になるはずだったと思われる。しかし、その手が使えなくなったので、メレディスがトレックへの熱愛を綴った日記を即席ででっちあげ、それを元にパリスがトレックを牢に放り込むように裁判を動かしてしまう。このあたりの展開は実に面白い。

 またアクシデントと言えば、もう一つ、バーニーが給水タンクの梯子を上っていたところ、梯子から転落して途中の階に落ちて失神してしまう、という事件も発生する。ミッションのためにはB-230を決められた時間までに水に放り込まなければならないのに、バーニーは気絶したまま刻々と時間は過ぎて行ってしまう、という展開が、定番ながらハラハラさせられた。

 今回ウィリーがB-230を盗み出すために使うのが、アナログメカのマジックハンドである。過去に何回か登場しているが、数メートルも伸ばせるうえに、先端が爪のようになっていて、細かい作業も自由自在という便利グッズである。ウィリーは壁に開けた直径10センチほどの穴からマジックハンドを突っ込み、瓶の蓋を器用に開けて、さらにそこにホースを突っ込み瓶の中の粉末のB-230を手元の容器に移し替え、逆に手元の偽薬を向こうの瓶に流し込んでばれないようにする、という展開が細かく描かれ、いかにも極秘ミッションをやっている感じで大満足だった。

 今回のクライマックスで、バーニーがB-230(ピンク色の粉末)を貯水タンクに放り込んだため、研究所の中の人間は廃人化し、ただぼーっと突っ立って呼吸をしているだけの案山子状態になってしまう。ミッションのためとはいえ、IMFはかなりえげつない手に出たものである。まあ、研究所の連中は罪もない人たちをモルモット代わりにして人体実験を敢行していたので、自業自得と言えなくもないが……

 オチは、トレック博士が助手のおかげで無事逃げだせたと喜びながら用意された車に飛び乗るが、どうしてもエンジンがかからない(パリスが電気回線を引きちぎっていたため)。焦っているところに、やがて副首相指揮する兵士が到着し、慌ててトレックは逃げ出すものの猛射撃を受ける。死亡するシーンは描かれないが、確実に死んだことであろう。一方、IMFの面々は実験台にされていた女性も助けて悠々と車で立ち去るのである。その対比には思わず笑いが込み上げてきてしまった。ということで、スパイ大作戦とはかくあるべし、という見事な前後編だった。


参考:今回の指令の入手方法

 承前


参考:指令内容

 承前
 
 

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