感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第87話(シーズン4 第9話)「ロボット」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第87話 ロボット Robot (シーズン4 第9話)

 

あらすじ

首相が亡くなったことを隠し、その替え玉を準備、替え玉に2日後の声明発表で首相引退・次期首相として自分を指名させる計画を立てる副首相。まるで生きているかのように動作するロボットを巧妙に使い敵の魂胆を打ち砕け。


首相が亡くなったことを隠し、首相の替え玉を準備。その替え玉に、2日後の声明発表で首相引退、次期首相として自分を指名させる計画を立てる副首相。生きているかのように動作するロボットを巧妙に使い、敵の魂胆を打ち砕け。


【今回の指令】
 某国の副首相グレゴール・カミロフ(Gregor Kamirov)は、首相パパフ・ゼコフ(Pavel Zagov)が既に一か月前に死んでいるにもかかわらず、その死を隠し、ジェミニ(Gemini)という男に首相の替え玉を演じさせている。カミロフは二日後、このジェミニにテレビ演説を行わせ、首相引退を宣言させるとともに、自分を次期首相に指名させるつもりである。もしカミロフが首相となれば、この国は中立を放棄し東側陣営に走ることは明らかである。IMFはカミロフの陰謀を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:トレーシー


【作戦の舞台】
 某国


【作戦】
 フェルプスとウィリーは外国の芸人という設定で、重要閣僚の一人で情報庁長官のアントン・マセックに呼ばれて来た、というふりをして入国する。カミロフはフェルプスたちが人間そっくりのロボットを使ってコントをする芸人だと知り、さらなる調査を命じる。カミロフの部下は、フェルプスたちの宿泊している家に、ゼコフ首相そっくりのロボットが置いてあること、またテレビ放送の設備が用意されていること、を発見する。

 カミロフは、マセック長官が二日後の放送の際に電波ジャックを行い、芸人たちを使って首相そっくりのロボットに「後任にはマセックを指名する」と喋らせるつもりだ、と推測する。そしてフェルプスたちを捕まえて、ロボットごと連れてくる。パリスは人間そっくりのロボットに変装して喋って見せ、さらに義手を使ってロボットは手が取りはずせることを印象付ける。ロボット(実はパリス)の働きを見たカミロフは、このロボットに演説させることを決め、もうジェミニは不要だと判断し部下に口封じを命じる。

 一方、バーニーはこっそりジェミニが捕まっている牢屋に侵入し、ダミー人形を使って首つり自殺死体を演出する。カミロフの部下はジェミニを殺しに来るが、そのニセ死体に騙されて、そのまま帰ってしまう。そのあとバーニーはジェミニを連れて逃走し、フェルプスたちと合流する。IMFジェミニがロボットのふりをしてテレビ演説するように言い含めてから逃走する。

 ジェミニは、テレビカメラの前で、首相引退表明と同時に、自分の後任は自由選挙で選出する、と発表する。それを聞いたカミロフは狼狽して、テレビスタジオに乗りこみ、喋っているのは首相ではなくロボットだと叫ぶが、手が取れないので慌てる。さらに相手がジェミニで生きていたことを知り、言葉を無くす。最後はIMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。

監督: レザ・S・バディイ
脚本: ハワード・バーク

感想

 評価は○。

 今回のエピソードは、ターゲットに「人間そっくりに動くロボット」という物を信じ込ませてしまう、という一見面白そうな話だったが、実のところ内容はわりと粗く、面白さはそこそこというところだった。

 それより、今回の一番の見どころは、パリス役レナード・ニモイの働きぶりだろう。今回はニモイは、パリス役の他に「首相の替え玉ジェミニ/首相そっくりのロボット」を演じている。あの特徴のある顔を特殊メイクすることですっかり隠し、禿げ頭の老人役を見事に演じ切っていた。海外のサイトで「ニモイ=パリス/ジェミニの二役」と書いてあるのを見るまで、この事実に全く気が付かなかった。というか、事実を知って見直しても、やはりこれがレナード・ニモイだとは信じられない。IMFが変装に使用する特殊マスクは空想の産物だと思っていたが、今回のメイクを見ると、結構リアリティがあるのでは、と思い直してしまった。

 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはトレーシー(リー・メリーウェザー)で、第80話(シーズン4 第2話)「第三次世界大戦」に続いての登場である。これまでのところ、他のゲストの女性エージェントは一回こっきりしか登場していないが、リー・メリーウェザーは何かがスタッフに気に入られたのだろうか。

 中盤、IMFはカミロフ副首相の腹心ソレンキー大佐を嵌めて、ソレンスキーがカミロフを裏切っており、ジェミニを利用し副首相の座を狙っている、とカミロフに思わせ、カミロフに粛清させてしまう。しかし、最後まで見ると、このソレンスキー粛清のエピソードは、IMFのミッションの遂行には何の関係も無かった事が判明する。意味も無くIMFの策略で陥れられて粛清の憂き目にあったソレンスキーは哀れの一言と言えよう(まあ悪党の右腕なので、自業自得という感もあるが……)

 前述のソレンスキーの件を見てもIMFの作戦はイマイチ緻密さに欠けている感が有るが、終盤はその傾向がさらに強くなる。オチをどう締めくくるのかと思ったら、牢屋から助け出したジェミニにすべてを任せて、自分たちは無責任にも(?)そのまま逃亡してしまうのである。ジェミニがきちんとIMFの言い含めた通り「自由選挙を行う」と演説してくれたから良かったものの、あそこで演説を放棄して逃げ出されたりしたら、IMFの作戦は破たんしたわけで、かなりいい加減な作戦だった感が否めない。今回のシナリオはそういう意味で、やや不満が残った。

 ところで、冒頭にIMFメンバーが集まって打ち合わせをする際、バーニーが自分が開発したロボットの腕だけをテーブルの上に載せて、リモコンで操作してペンを持って字を書かせるシーンがある。フェルプスはそれを見て「人間そのままだ」云々と感心するのだが、実はこの腕の出番はここだけで、以後の作戦では全く使用されないまま終わる。振り返ると、あれはいったい何だったのだろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが子供たちが遊んでいる公園の横に止めている車に乗りこむと、ダッシュボードには大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。今君が見ている写真の人物はパパフ・ゼコフ首相である。ゼコフ首相は一月前に死亡して今は亡いが、その死は副首相グレゴール・カミロフによって特に秘され、代わりに現在ではそのジェミニという替え玉が首相を装っている。副首相カミロフは二日後、この替え玉ジェミニをテレビに出し、病身を理由に引退の声明を発表させるとともに、次期首相として自分を指名させようと謀っているのだ。こうして一度カミロフが首相になるや、その国は今までの厳正中立を放棄、東側陣営に走ることは明らかである。

 そこで君の使命だが、この副首相カミロフの策動を封じることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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