【映画】感想:映画「大魔神」(1966年(昭和41年))

大魔神  デジタル・リマスター版 [DVD]

映画|NHK BSオンライン http://www.nhk.or.jp/bs/t_cinema/
放送 NHK BSプレミアム 2017年8月7日(月)

【※以下ネタバレ】
 

戦国時代。丹波の山の武神像には、魔神が封じ込められているという伝説があった。ある祭の夜、城主を謀殺した悪家老の大館左馬之助は、勢力を増し圧政によって領民を苦しめるようになった。城主の遺児・忠文と小笹の兄妹は、難を逃れ武神像の傍らの洞窟で成長をとげるが、忠文が罠(わな)にはまり捕らえられてしまう。左馬之助は忠文の処刑と武神像の破壊を命じるが…。時代劇と特撮スペクタクルを融合させたシリーズ第1作。

 

あらすじ

 時は戦国時代。花房家(はなぶさけ)の統治する領地には、山に「魔神」が住むと伝えられていたが、人々は魔神封じの神を崇め、魔神を山から出さないようにしていた。ある夜、魔神の起こしたと思しき地響きが発生し始めたため、巫女の信夫(しのぶ)は領民を集め、魔神を封じる儀式を始める。

 しかしこの事態に乗じ、家老・大館左馬之助(おおだて・さまのすけ)は謀反を起こし、城主と奥方を殺害して国を乗っ取ってしまった。城主の遺児・兄の忠文(ただふみ)と妹の小笹(こざさ)は、忠臣の小源太によって城から救出された。行き場のない二人を、小源太のおばに当たる信夫は、魔神の山にある洞窟にかくまった。

 十年後。左馬之助の悪政で領民は苦しみの極致に追い込まれていた。18歳となった忠文は小源太と共に左馬之助を討とうと考えるが果たせず、逆に捕まってしまう。信夫は、左馬之助に悪政を止めねば神の祟りがあるといさめるが、左馬之助はあざ笑って信夫を斬り殺したうえに、部下に魔神封じの武神像を破壊するように命じる。

 山に隠れていた小笹は、左馬之助の部下たちに捕まってしまった。さらに部下たちは武神像の額に杭を打ち込むが、なんとそこから血が流れだし、次の瞬間大地震など天変地異が発生して一行は全滅してしまった。小笹は魔神に兄たちを救うように祈ると、武神像が動き出した。

 一方、左馬之助は忠文と小源太の処刑を命じ、彼らを救おうと決起した花房家の遺臣たちは返り討ちにあって皆殺しにされる。高笑いする左馬之助だったが、そこに突如光の玉が現れ、それは一転武神像と化し、さらにその顔が憤怒の表情へと変化した。魔神は城を破壊し、左馬之助たちを皆殺しにしてしまった。

 ところが魔神の怒りは収まらず、続いて罪のない領民までを殺し始めた。忠文は必死に魔神を止めようとするが、魔神は全く聞き入れない。小笹は魔神に対し、自分の命と引き換えに怒りを鎮めるように懇願し、それを聞き入れた魔神は元の穏やかな表情に戻る。そして光の玉が飛び去った後、武神像は砕け散るのだった。

感想

 評価は○。

 超有名な映画なのですが、今まで見る機会が無くてこれが初見でした。

 驚いたのは、内容が特撮映画云々の匂いが殆ど無い、ほぼ完全な時代劇であること。1時間25分の映画ですが、「悪党の謀反で両親を殺された遺児が国を取り返す」という完璧なる時代劇が1時間15分くらいまで展開されます。しかも、特撮めいた「なんちゃって時代劇」ではなく、シナリオもセットも演技も全てが本格的な時代劇なのです。この部分だけ見せられて黒沢映画だとか説明されても違和感が無いレベル。はっきり言って、この時代劇部分だけで見ていてもめっちゃ面白いです。

 さらに、終盤、そこまで溜めて溜めておいての、いよいよの魔神の大暴れだけに、迫力が物凄い。まず人物と特撮のブルーバック合成のレベルが驚くほど高く、2017年時点の視点で見ても感心するレベルですし、城をバリバリ破壊するシーンも大した迫力です。これは凄い。

 そして、悪の城主を殺した後も暴走する魔神が、乙女の祈りで怒りを鎮めて消え去っていく、というオチもグッド。まあ1960年代映画らしく、ラストの余韻が無くいきなり「終」になってしまうのはちょっと物足りませんでしたが、映画としては想像以上の面白さでした。
  

大魔神
BSプレミアム8月7日(月)午後1時00分~2時25分


【製作】
永田雅一
【企画】
奥田久司
【監督】
安田公義
【脚本】
吉田哲郎
【撮影】
森田富士郎
【特撮監督】
黒田義之
【音楽】
伊福部昭
【出演】
高田美和、青山良彦藤巻潤、五味龍太郎 ほか



製作国:
日本
製作年:
1966
備考:
カラー/レターボックス・サイズ

 
 

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