【映画】感想:映画「大魔神怒る」(1966年(昭和41年))

大魔神怒る  デジタル・リマスター版 [DVD]

映画|NHK BSオンライン http://www.nhk.or.jp/bs/t_cinema/
放送 NHK BSプレミアム 2017年8月8日(火)

【※以下ネタバレ】
 

八雲の湖のほとりに、千草一族と名越一族が湖中の神之島にまつられた武神像のもと平和に暮らしていた。だが、両家の領地をねらう隣国の領主・御子柴弾正が突然千草領に攻め入る。千草城の城主・千草十郎はかろうじて難を逃れるが、彼の許嫁(いいなずけ)で名越一族の娘・小百合の父が殺され、兄も捕らえられ、さらに両家を守り続けてきた武神像が破壊されてしまう…。時代劇と特撮スペクタクルを融合させたシリーズ第2作。

 

あらすじ

 時は戦国時代。千草家とその分家名越家の領地は、両国が接する「八雲の湖」の豊かな恵みで栄え、また領主たちの善政により領民たちは幸せに暮らしていた。両家は湖の真ん中に浮かぶ「神之島」に両家の守り神である武神像を作り、それを崇めていた。しかし、ある日武神像の顔が赤く染まり、それは災いが起きる前触れと伝えられていたため、人々は不安を覚える。

 直後、千草の領土に接する隣国の領主・御子柴弾正(みこしば・だんじょう)は、千草・名越の豊かさを羨み、奇襲攻撃で千草城を攻め落としてしまった。城主・千草十郎はからくも脱出するが、弾正はさらに名越にも攻め入り、名越領も占領してしまう。

 弾正は、名越の城主から、神が罰を下すと脅されると、それを嘲笑し、部下に神之島の武神像を爆破させてしまう。また島に残されていた釣り鐘も湖に捨てられてしまった。

 十郎は弾正を討とうとするものの失敗し、千草・名越の主だったものは捕らえられてしまった。弾正はまず十郎の婚約者で名越の姫である小百合をはり付けにして火あぶりを命じる。小百合が神に助けを求めると、湖の中から破壊されたはずの武神像が立ち上がり、憤怒の表情と化して上陸してきた。

 武神は弾正の部下たちを皆殺しにし、弾正は慌てて小舟で湖に逃れようとするものの、武神が放った火により小舟が燃え上がり、逃れようとして貼り付けのような形になって死んでしまった。

 最後、小百合が武神に感謝の祈りをささげる中、武神はかき消すようにいなくなった。そして湖の底からは、壊されたはずの鐘が鳴り響いていた。十郎はそれは神が平和を祈って鳴らしているのかもしれないというのだった。

感想

 評価は○。

 「大魔神」シリーズの二作目。しかし一作目に比べるとやや落ちるという感は否めません。

 一作目同様、「基本時代劇で、ラスト10分だけ特撮スペクタクルもの」という構成は変わりませんが、本作は時代劇部分が前作よりイメージ的に安っぽくなっており、前作は「黒澤映画と言われたら信じるレヘル」でしたが、本作はテレビのスペシャルドラマ程度という感じで、明らかに質が落ちています。そこがまずイマイチ。

 また終盤の大魔神大活躍パートも、前作は「光の玉が襲来→武神像に変身→顔が憤怒の表情になる→大暴れ」という流れが痛快でしたが、今回は最初から憤怒の表情で上陸してくるのでイマイチカタルシスが無いし、また城は千草か名越かどっちかの物なので「壊しちゃダメじゃん」という事が気になってしまい、破壊シーンにあまりのめりこめませんでした。また破壊シーンのボリュームも減っています。そのあたりも減点材料ですね。

 さらに、悪漢弾正の死にざまも、前作の大魔神の直接の制裁とは異なり、「船に火をつける→慌てた弾正が足を滑らせてマストに絡まって結果的に貼り付け死」と間接的で、これもちょっと期待外れでしたしね。

 見どころと言えば、武神が「十戒」のごとく水を割った中を歩いてくるシーンくらいでしょうか。


 というわけで、本格時代劇+特撮として大成功していた前作に比べると、小粒になったという感じですね。ちょっと残念。
 

大魔神怒る
BSプレミアム8月8日(火)午後1時00分~2時20分


【製作】
永田雅一
【企画】
奥田久司
【監督】
三隅研次
【脚本】
吉田哲郎
【撮影】
森田富士郎
【特撮監督】
黒田義之
【音楽】
伊福部昭
【出演】
本郷功次郎藤村志保、上野山功一、神田隆、平泉成 ほか


製作国:
日本
製作年:
1966
備考:
カラー/レターボックス・サイズ

 
 

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