【コミック】漫画家コンビのゆでたまご先生たちは、実は想像以上に偉大なのかもしれない

キン肉マン 59 (ジャンプコミックス)
キン肉マン 59 (ジャンプコミックス)

 キン肉マンを描いているゆでたまご先生たち。売れっ子漫画家で大成功していることは明白なのですが、そういう部分を超えて偉大なのではないかという気がしてきましたよ。
 

昔と同じようには描けない……

ジョジョリオン 15 (ジャンプコミックス) 荒木 飛呂彦 (著)
ジョジョリオン 15 (ジャンプコミックス)
 
 先日、荒木飛呂彦先生の「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの最新第八部「ジョジョリオン」の連載を読んだわけですよ。まあ確かに面白いことは面白い。ストーリーの謎とか、未知の敵とのバトルとかね。でも1989年頃に連載していた第三部で、承太郎がスタープラチナを使って、相手を「オラオラオラオラオラオラ(以下果てしなく続く)」とかぶちのめしていたころの、次週が待ちきれなくてたまらなかったころのような面白さじゃない……

 でもまあ、それも当然ではあるのかと。荒木先生は1960年生まれで、ジョジョの連載を始めたのは27歳頃。承太郎とディオ一派との戦いを描いていたのも30歳前後の事なんですよね。しかし先生も(見た目がまるで老けないとはいえ)今はもう50代後半。20代と同じノリ・熱量・勢いで漫画が描けるはずがない。
 
魁!!男塾 第1巻 宮下あきら (著)
魁!!男塾 第1巻
 
 宮下あきら先生も、未だに漫画ゴラクとかで「魁!!男塾」の後継作品を描いていますが、昔のような面白さじゃないです。 民明書房ネタは相変わらず出てきますが、「オリンポス十六闘神」とか「なにーっ? 知っているのか雷電!?」とかみたいなあのアホみたいな面白さは既に無し。でもそりゃ当たり前で、30年前の漫画と同じものが描けというほうが、そりゃ無理ですよね。


そこでゆでたまご先生の出番です

 で、ひるがえって我らがゆでたまご先生です。正直キン肉マン以外のヒット作を思いつかないし、「キン肉マンII世」もイマイチノリが合わないところがあったのですが、2011年からWEBコミックとして再開したキン肉マンは、めっぽう面白い。正直言って、1980年代に週刊少年ジャンプに連載していたころと全くノリが一緒ですよ。信じられます? 30年経ったのにあの頃と同じノリが再生産できているって。

 人は「心が老け込まないように、最新の情報にアンテナを立てておこう」とか思っても、人生、結婚とか子供が生まれたとか会社で出世したとかしなかったとか、親の介護であるとか亡くなるとか色々あって、昔と同じようにはいかないもの。人生経験を積めば完成も変わっていき、昔と同じものは作れなくなるもの。


 なのに、昭和と同じノリの漫画が描けるゆでたまごコンビ(というかストーリー担当のゆでの方)って凄くないですかね? まあその凄さのおかげで、未だに毎週「キン肉マンおもしれー」とか言えてしまうので、ありがたい限りではあります。