感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第98話(シーズン4 第20話)「恩赦」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第98話 恩赦 Terror (シーズン4 第20話)

 

あらすじ

恩赦での釈放を控えた中東の非情なテロリスト。彼の釈放を阻止するため、IMFチームは刑務所への潜入を開始する。

※DVD版のタイトルは「ニトロで脱獄」。


【今回の指令】
 中東のテロリスト・カビール(Ismet El Kebir)は、スロック国(Suroq)で逮捕され、大量殺戮の罪で死刑を宣告された。ところが密かにカビールを支持する同国の宣伝大臣バセアー(Ahmed Vassier)によって、カビールは恩赦で釈放されることになってしまった。しかもバセアーはカビールの犯行を正当化するような声明を発表する予定である。IMFは中東のテロの活発化を防ぐため、カビールの釈放を阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 中東・スロック国


【作戦】
 IMFはまずバーニーが軍のダイナマイトを積んだトラックをジャックして逃走する。そして軍の腐敗兵士という設定で、カビールの愛人アセーダたちのテロ組織にダイナマイトを売り込みに行く。

 一方フェルプスとパリスは、軍の情報部員という設定でカビールが収監されている刑務所に入り込む。パリスは、バセアー大臣に変装してアセーダたちのところに行き、カビールは釈放されるどころか明日午前に処刑されてしまうという嘘を伝え、地下監房に通じるトンネルから壁を爆破すればカビールを助けられるという計画をレクチャーする。

 アセーダはバーニーにダイナマイトで壁を爆破しろと要求し、バーニーはより強力な爆薬が必要だと、ダイナマイトを溶かしてニトログリセリンを抽出する。

 一方、フェルプスは、カビールを監視するという名目で、囚人のふりをしてカビールの監房の側に収監される。そしてすぐにカビールに「バセアーが裏切って、明日朝処刑するつもりだ」と嘘を吹き込む。

 やがてバーニーとウィリーが壁を爆破してカビールを救出し、アセーダたちと共に逃走する。フェルプスカビールから聞いたと言って、トンネルの出口へとバセアーや軍人たちを案内する。トンネルから出てきたカビールたちは、既に兵士が待ち構えているのを見て、自棄になってバーニーたちにニトログリセリンの残りを要求し、それを兵士たちに投げつける。しかしそれは全く無害の液体で爆発せず、次の瞬間カビールは射殺される。

 アセーダたちは逮捕されるが、パリスはバーニーとウィリーは別途取り調べると言って身柄を引き取り、最後四人で車で逃走して〆。


監督: マーヴィン・チョムスキー
脚本: ローレンス・ヒース


感想

 評価は△。

 基本的な設定の意味がよく解らないうえに、途中の展開ものったりしており、全くもってイマイチな回だった。

 そもそもバセアー大臣が、テロリストのカビールを恩赦で釈放して命を助けようとする理由が全く分からないので困惑させられた。バセアーはカビールの愛人アセーダたちと顔見知りのようで、どうやらテロ組織とずぶずぶの関係らしいが、このあたりの設定が全く理解できない。一国の大臣とテロ組織とが手を取り合っているとか、意味不明に過ぎる。このエピソードは1970年放送だが、半世紀前の中東情勢を知っていれば、納得できるのだろうか。

 途中の展開も深みは無く、「テロ組織に偽情報を流して強引に脱獄させる方向にもっていき、その上で失敗させる」という単純なあらすじで、IMFの緻密な計略を楽しむという事もできなかったので、不満が募ってしまった。

 今回バーニーは、壁の爆破にあたって、「ダイナマイトでは威力が少ないので、ニトログリセリンが必要だ」といって、ダイナマイトの皮(?)をはがしてから大なべに入れて煮込み、湯の上に浮いてきたニトログリセリンをすくい取る、という作業を行うのだが、これはリアルな話なのだろうか。それとも単に物語上の設定でそうしているたけで、ダイナマイトのまま仕掛けようが威力は一緒なのだろうか。このあたりが真偽不明で実にモヤモヤしてしまった。

 ということで、基本設定が意味不明、展開もイマイチ、描写も謎、と全てにおいて今一つの回であった。


 このエピソードのサブタイトルの原題「Terror」とは「テロ」の意味。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で走っていて、ボンネットを開けて道端に停止している故障中の体の車の側に乗り付け、ボンネットを閉めてからその車に乗りこむ。車のダッシュボードの蓋を開けると、中には8トラックカセットテープと大きめの封筒が入っている。フェルプスはカセットを車の再生機器に差し込んでテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なおこのテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。非情をもって鳴る中東のテロリスト・カビールは、大量殺戮の罪で死刑を宣告されながら、このほど恩赦によって釈放されることになった。スロック国の宣伝相であり、カビールを密かに支持するバセアーは、釈放に伴って「彼の犯行は民衆のためである」という声明を用意している。カビールの釈放はさらにテロリストたちの暗躍に拍車をかけ、中東諸国を戦争に巻き込む恐れが充分ある。

 そこで君の使命だが、このテロリスト・カビールの釈放を絶対許さぬことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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