【18禁ゲーム】感想「エロゲー文化研究概論」:エロゲーの30年の歴史を完全網羅

※以下アダルト系の話題に触れていますのでご注意ください。

エロゲー文化研究概論

エロゲー文化研究概論 単行本(ソフトカバー) 2013/1/26
宮本直毅 (著), エマ・パブリッシング (編集)
https://www.amazon.co.jp/dp/4881818295

国産「エロゲー」誕生より30年。語り継ぎたいエッチなゲームがある! 古きよき時代に作られた名作から現在に至る「エロゲー」の歩みを徹底研究。1980年代、8ビット機パソコンから幕を開けたエロゲーの歴史と名作たちを、当時の世相や時事問題をまじえながら解説する。黎明期、あの有名ゲームメーカーが作っていたエロゲーの内容とは? 8ビット機、16ビット機、Windowsといったパソコンの進化がエロゲーに与えた影響は? エロゲー30年の軌跡を振り返る!


 1980年代後半から2000年代半ばまでは、結構18禁ゲーム、俗称「エロゲー」をまめにプレイしたのですが、仕事が忙しくなったりとか環境の変化に伴い、つい縁遠くなってしまいました。

 そんなわけで、時折ネットで「業界のここ10年の歴史」とかそういう書き込みが有ったりすると読みに行くのですが、やはり当たり前ですが個人の感想に終始しているというか、「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」みたいなものばかりで、どうにも物足りない物ばかりで、不満が募っていました。

 そんなときに見つけたのがこの本です。これは凄い。1980年年代の脱衣麻雀とかそういう黎明期から始めて、本の発売直前の2012年までの、エロを扱ったゲームを徹底的に紹介しています。 しかし「ゲームカタログ」ではなく、あくまで歴史書としてですけどね。

 その時代その時代の代表的ゲームについて「何がすごかっのたのか」をテキストベースで紹介。「同級生」とか「トゥハート」とか「月姫」とか、とにかくその時代の人間ならほぼ知っていた、的な作品を網羅して的確に説明しています。

 また、ゲーム関係の記述だけではなく、ブランドのデビューや業界関係の事件(沙織事件)、その時代の重大な出来事(2001.9.11同時多発テロ、他)、その時期に流行っていた一般オタクコンテンツ、社会情勢(インターネットが普及したとかツイッターが流行りだしたとか)、などを同時に記載し、その時代の空気を出来るだけ伝えようとしています。とにかくすごい力作です。こんな本が欲しかった!


 あと、個人的にツボだったのは「人」についての記載が克明なことです。例えば「XXというゲームでデビューした原画家XXは、その後退社してXXと改名し、イラストレイターとしてラノベのXX文庫で活躍している」とかいうことをみっちり書いてあるんですよね。ひだまりスケッチ蒼樹うめが、昔はエロゲ関係の仕事をしていたとか初めて知ったわぁ。

 まあ逆にというか、「エロゲカタログ」を求めている人には全く向かない内容です。CGはごくわずかしか載せていないし、全てモノクロだし、ほとんどゲームの参考にはなりません。

 ということで、学究肌というかで、「業界の歴史が詳しく知りたい」という人には是非おススメですね。

追記

 ……、今紹介したばかりの本の発展バージョンが今年の春に発売されていた……、おいおい。喜んでいいのか、悔しがるべきなのか解らないぜ(笑)

エロゲー文化研究概論 増補改訂版 単行本(ソフトカバー) 2017/4/25
https://www.amazon.co.jp/dp/4881818597
現在に至る国産「エロゲー」の歩みを徹底研究した『エロゲー文化研究概論』に加筆した増補改訂版。
1980年代に幕を開けた国産「エロゲー」の歴史。8ビット機、16ビット機、Windowsといったパソコンの進化とともに変化し続ける“エロゲー"を、当時の世相や社会問題をまじえながら解説する。
黎明期、あの有名ゲームメーカーが作っていたエロゲーの内容とは? 今話題の有名クリエイターとエロゲーの関わりは? エロゲー35年の軌跡をたどる!

エロゲー文化研究概論 増補改訂版