【デジタルゲーム】ファミコン版ウィザードリィの裏話がいっぱい読める! 同人誌『ウィザードリィの深淵 FC版WIZの30年』

ウィザードリィのすべて―ファミコン版

 同人誌ですが、凄い本を見つけてしまいました。ファミコンウィザードリィ30周年を記念した超豪華本。内容はもう商業誌並です!

http://www.bit-games.com/?pid=117852695
【内容】
ウィズ関係者多数参加!!
R・ウッドヘッド氏、末弥純氏、須田PIN氏、ベニー松山氏等など
総勢11名のウィザードリィ関係者を一同に集めた超豪華インタビュー本。
開発現場、日本版発売の経緯など裏話が満載です。
コラム・イラストも多数!

[参加者詳細]
・直接インタビュー
須田PIN/関弘/金田剛/佐藤悟
・メールインタビュー
忍者増田/ベニー松山/手塚一郎/池上明子/Y氏/末弥純/R.ウッドヘッド

 

ウィザードリィWizardryって何ですか?

ウィザードリィコレクション (LOCUSエンタテインメントシリーズ)

 1980年代に発売されていたダンジョン探索CRPGシリーズの名前です。ダンジョンの中に潜り、ひたすら敵を倒しまくるシンプルなゲームですが、同時期に発売されていた「ウルティマUltima」シリーズと共に、(当時は)世界二大CRPGという扱いで、1980年代のゲーマーでこの名前を知らない人はまずいない、というレベルの超有名なゲームでした。

 ドラゴンクエストの制作スタッフが、ウィザードリィウルティマの二大シリーズに影響を受けて、そのいいとこどりをしてドラクエ1を作った、というのも結構有名な話です。

 1990年代以降は、時代の流れにより、あれほど有名だったウィザードリィの名前を聞くこともまれになってしまい、今やオールドゲーマーの記憶の中に残るのみ、という感じになってはいますが、あの頃を知る人にとっては強烈な印象を残したゲーム・シリーズでした。



伝説のファミコンウィザードリィ

ウィザードリィマガジン 生誕10周年記念出版

 1980年代当時のゲームキッズの必携品だったファミコン。当然(?)ウィザードリィファミコンに移植されたのですが、このファミコン版はまさに伝説として語り継がれています。何故かって? それは「パソコン版より出来が良かったから」(!)

 パソコンゲームを、性能がはるかに劣るハードのファミコンに移植すると、「それなり」の出来にしかならないのが当時の常識でした。容量の問題でシステムやグラフィックがショボくなるし、パソコンではキーポードが使えるので多彩な操作が可能なのに対し、ファミコンはコントローラーを使うしかないので操作性も落ちる。結局、ファミコン版はパソコン版と名前が同じだけで中身は大違いの「なんちゃって移植」にしかならない、というのが当たり前だったわけです。


 と・こ・ろ・が! ファミコンウィザードリィの一作目と来たら!

・モンスターのグラフィックが当時の売れっ子イラストレイター末弥純氏。パソコン版より遥かにレベルが高い!
・音楽に当時の大物音楽家の羽田健太郎を起用。パソコン版より遥かに高クオリティ。
・ダンジョンの描写が、パソコン版は「白い線を引いて疑似的に3Dを表現しているだけ」だったのに対し、ファミコン版は「線バージョン」と「オリジナルのレンガの壁バージョン」を選択可能
・ゲーム性はパソコンを完全移植
・パソコン版はフロッピーディスクという媒体(当時そういう物があったと思ってください)だったのでデータの読み込みに時間がかかったのに対し、ファミコン版はROMカセットなので遥かに読み込みが早い


 と、パソコン版より(遥かに性能が低いハードに移植したはずの)ファミコン版の方がクオリティが上、という奇跡の逆転現象が起きていたのでした。そんなこんなで、ファミコンウィザードリィは伝説となったのでした。



本の内容は……

末弥純画集 ウィザードリィ

 さて肝心の本の内容ですが、基本的にはインタビュー集。当時ウィザードリィ(パソコン版も含めて)に関わった人たちに、直接、あるいはメールでインタビューして思い出や裏話を語ってもらっています。


 直接インタビューは

須田PIN…当時発売元のアスキーの社員。ウィザードリィの伝道師
関弘…開発スタッフ
金田剛…ゲームボーイ版の開発スタッフ
佐藤悟…当時のアスキー社員でウィザードリィの権利を取ってきた人

 の四人で、当時の思い出を延々と語ってもらっています。悪魔さんというプログラマーがいて、1・2・3のプログラムは流用せずに全て一から作り直していた、とか、今だから話せるバグだとか、アメリカの本家開発スタッフがファミコン版を見て完成度の高さに驚愕していたとか、そういう話がてんこ盛り。まあウィザードリィに関係ない話もしこたまありましたけどね(笑)


 メールのインタビューでは、ウィザードリィと言えばこの人みたいな忍者増田氏とか、小説版を書いたベニー松山氏とか、グラフィックを描いた末弥純氏とか、まさかの本家の開発者R.ウッドヘッドとか、まさかの人たちがぞろぞろ登場してきて凄い豪華さでした。特にウッドヘッドによく返事もらえたよなぁ、と驚かされましたわ。

 またウィザードリィの版権を巡る解説記事も読み応えがあり、作者コンビがサーテックともめていたとかなんとかが時系列的に書かれていて、なるほどこんな暗闘が有ったのか、みたいにためになりました。


 あとは、まあ、にぎやかしというか穴埋めというかで、プレイ日記とか、リルガミン二都説とか、全然知らない人たちのコラム「俺とWiZ」とか有りましたが、そんなものは正直どうでも良いので読み飛ばしましたが……



昭和にゲーマーだった人におススメ

組曲ウィザードリィIII

 ゲームを詳しく解説しているわけでは無いので、元ゲームを知らないと面白くもなんともないですが、逆にウィザードリィを知っていれば、当時の関係者による開発秘話とかそういうのがたっぷり読めて、結構満足できるのではないでしょうか。製版のクオリティも高く、黙って渡されたら絶対同人誌だと解らないと思いますしね。という事で、昭和を回顧したいオールドゲーマーには、これはおススメです!
 
 
ウィザードリィRPG
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