感想:科学番組「コズミックフロント☆NEXT」『コンピューターと呼ばれた女性たち』

NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書)
NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書)

コズミックフロント☆NEXT http://www4.nhk.or.jp/cosmic/
放送 NHK BSプレミアム(毎週木曜 22:00~23:00)。

【※以下ネタバレ】
 

コンピューターと呼ばれた女性たち (2017年9月7日(木)放送)

 

今回の内容

http://www4.nhk.or.jp/cosmic/x/2017-09-07/10/21845/2120193/
コズミック フロント☆NEXT「コンピューターと呼ばれた女性たち」

1950年頃から始まったアメリカの宇宙開発。そのれい明期に「ヒューマン・コンピューター」と呼ばれる女性たちが働いていた。知られざる女性たちの宇宙開発史に迫った。


マーキュリー計画アポロ計画など、旧ソ連と宇宙開発競争を行っていたアメリカ。当時のNASAには「コンピューター」と呼ばれる女性たちが働いていた。男女格差があった当時、男性たちの指示のもとに動いていたが、やがてアメリカ初の宇宙飛行や月面着陸にも重要な役割を果たすようになった。「コンピューター」と呼ばれた彼女たちの知られざる活躍を、当時の関係者たちの証言から明らかにしていく。


【語り】萩原聖人,池田伸子,【声】宗矢樹頼植竹香菜樫井笙人,佐々木啓夫,梅津秀行松岡洋子,前田敏子,巴青子

マーキュリー計画

 2015年、キャサリン・ジョンソンという女性が大統領自由勲章を授与された、彼女はかつて「ヒューマンコンピューター」と呼ばれ宇宙開発に大きな役割を果たした。

 「コンピューター」という言葉は、かつては機械の事ではなく「計算をする人」という意味だった。1950年代、既に機械のコンピューターは存在したが、頻繁に故障する使い勝手の悪い物だった。そのため、複雑な計算は「ヒューマン・コンピューター」と呼ばれる女性たちが、機械式の計算器で行うのが主流だった。計算や製図といった作業を女性が行い、よりクリエイティブな作業は男性が行う、という体制になっていた。

 キャサリンは数学の才能が有り、大学を飛び級で卒業したあと、才能を生かすため教師から転職して現在のNASAに入った。そしてただ単に計算をするだけではなく、計算の意味が知りたくなって会議に参加させてほしいと頼んだ。当初は拒否されたものの、やがて会議に参加できるようになった。

 当時のアメリカの宇宙開発計画マーキュリー計画にはある課題があった。宇宙船が地球の周囲を周回する軌道の計算は、宇宙船の速度・地球の自転・重力その他複雑な要素が絡み合っていて、極めて困難だったのである。キャサリンたちは数か月かけ、それらの要素を全て取り込んだ軌道計算の方程式を完成させた。その方程式は現在でも使用されている。

 しかし1961年、ソ連はボストーク1号で世界初の有人宇宙飛行を実現させてしまった。アメリカはすぐさまそれに対抗するため計画を前倒しして、1962年にエースのジョン・グレンを宇宙に送り出すことになった。グレンは打ち上げ前、機械が出した数値をキャサリンに検算してくれるように頼み、一致していると聞くとそれなら信頼して飛ぶといったという。


ボイジャー計画

 シルビア・ミラーも元ヒューマンコンピューター。1970年代にJPLに入った彼女たちは新世代のヒューマンコンピューターで大学でプログラミングを習得していた。

 1970年代後半、木星土星天王星海王星冥王星がほぼ同じ方向に集まる、という宇宙探査の絶好の機会が訪れ、これらの惑星を四機の探査機で調査する「グランドツアー計画」が立案された。しかしアメリカは当時ベトナム戦争他で財政が厳しく、予算は1/3に削られてしまう。事実上の計画の中止だった。

 関係者は、探査機を二機に減らし、木星土星の調査に絞り、運用期間を12年から4年に減らして人件費を減らすという案に変更することで、なんとか計画を認めてもらおうとした。その際にシルビアはプログラミングで探査機の軌道をビジュアル化して理解しやすくした。そのおかげで計画は政府に認められ、計画は「ボイジャー計画」となった。

 1977年ボイジャー1号・2号が打ち上げられる。しかしこの計画には隠された部分があった。もし1号が上手く木星土星の探査が行えた場合、バックアップの探査機2号が軌道を変えて天王星海王星も観測できるように仕込んでいたのである。そして関係者の思惑通りとなり、2号は天王星海王星の探査を行うことが出来た。


探査機ガリレオを救ったヒューマンコンピューター

 スー・フィンレイは1958年にJPLに就職したヒューマンコンピューター。

 1989年、木星を観測する探査機ガリレオが打ち上げられた。ところがトラブルにより情報送信用のアンテナ「ハイゲインアンテナ」が使用できなくなり、ガリレオの運用に使う低性能の「ローゲインアンテナ」で代用するしかなくなった。

 関係者は写真のデータのうち、背景の宇宙の部分はカットして木星の部分だけ送るとか工夫してデータを減らした。さらスーは、アメリカとオーストラリアの複数のアンテナを一つにまとめて仮想的な一つの巨大なアンテナとして、ガリレオの信号を受信するプログラムを開発し、ガリレオ計画の危機を救ったのだった。

 スーは今でも現役で、2021年に火星探査に使用される探査車のプログラムにも関わっている。

感想

 ヒューマンコンピューターは今年公開予定の映画「ドリーム」で扱われているネタですが、映画が公開される前にさっさとNHKがやってしまいました(笑) 全く関係の無い会社の映画を自分のところの番組の宣伝代わりに使うとは、NHKわりとズルい(笑)

「ドリーム 私たちのアポロ計画」邦題変更 「ドリーム」に - ITmedia ビジネスオンライン
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/09/news113.html

9月29日公開の映画「ドリーム 私たちのアポロ計画」(原題:Hidden Figures)のタイトルが、6月9日「ドリーム」へと変更になることが決定した。「私たちのアポロ計画」という副題に対し、「アポロ計画ではなく、マーキュリー計画を扱った作品であり、内容に即していない」といった批判の声がファンから上がっていた。


 とかいう生臭い事情はさておき、「宇宙開発に関わった女性たちの秘話」みたいな内容で結構面白かったので満足です。
 
 
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