感想:オカルト系番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」『File-22 戦慄の心霊現象 追究スペシャル』

NHK 幻解! 超常ファイル ダークサイド・ミステリー (教養・文化シリーズ)

幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー http://www4.nhk.or.jp/darkside/
放送 BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 
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幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー 内容・感想一覧

 

『File-22 戦慄の心霊現象 追究スペシャル』 (2017年9月16日(土) 21:00~22:00)

 

内容

http://www4.nhk.or.jp/darkside/x/2017-09-16/10/32315/2357110/
幻解!超常ファイル File-22「戦慄の心霊現象 追究スペシャル」


1時間まるっと心霊特集!▽日本最恐の心霊スポットを直撃!地元の証言で驚きの真実が!?▽海で防空頭巾の幽霊に引きずり込まれる!実話怪談は本当に起きたのか徹底検証!


常識を超えた不思議事件の解明シリーズ最新作!たった1時間で恐い話が「なっとく!」に変わる心霊スペシャル!▽日本最恐!あらゆる心霊現象が次々起きるとウワサの心霊スポットを、現地直撃!地元の人々の証言で明らかになる、驚きと理不尽の真実とは?▽海水浴で、防空頭巾の女幽霊に足をつかまれ引きずり込まれる!実際に起きた水難事故での“ホンモノの怪談”を徹底検証!怪談や心霊スポット誕生の意外な舞台裏が明らかに!


【司会】栗山千明,【ゲスト】吉田悠軌,【語り】中田譲治,【声】能登麻美子

1. 心霊スポット

・最凶の心霊スポット

 日本には心霊スポットと言われるものが1000か所も有ると言われている。その中で「最凶」と評判なのがA県B峠。ここでは、トンネルを通ろうとした車が途中で止まってしまう、フロントガラスに手形が無数についていた、女の亡霊がいる、人魂を見た、地図に載っていない村が存在しそこに行くと恐ろしい目に会う、等の無数のエピソードが語られている。

 この場所は元々トンネルが有ったが、昭和50年(1975年)に新しいトンネルが作られたため、古い方が殆ど使用されなくなっていて、その旧トンネルが心霊スポット扱いになっていた。現在はトンネルは閉鎖され、さらにそこに続く道も門で封鎖されている。

 地元の人に聞いてみても、そんな心霊話は全く知らないとのこと。


 実はここは心霊スポット化するにあたり、いくつかの要因が有った。まず昭和63年(1988年)他所から来た暴走族がここに死体を捨てるという事件が発生し、以後ここは暴走族たちが集まって肝試しをする、という、心霊云々とは別の意味で恐ろしい場所になってしまった。

 怖いもの見たさでやってきた人間が「火の玉を見た」とか「女の幽霊を見た」とか噂したが、火の玉は「野生のシカの目がライトに反射した」、幽霊は「女岩」という女性の姿のような模様がある岩を見間違えただけ、と思われる。

 やがて続いてこの旧トンネル付近は人通りがないため、ゴミの違法投棄の場所となってしまった、地元の人たちはトンネル付近を封鎖することで、ようやく違法投棄を無くした。

 ところが平成11年(1999年)ネットに「B峠に地図にない村がある」という書き込みが行われ、これがマスコミに面白おかしく取り上げられ、噂を信じた人人間が押し寄せるようになった。そういう人間は、近所の民家の窓に石を投げたり畑を荒らしたり農機具を盗んだり、という迷惑行為を働くようになった。

 「最凶の心霊スポット」は、地元の人がよそから来た人間たちのせいで怖い思いをさせられている場所の事だったのである。



ホワイトハウス

 C県の海岸近くには地元住民なら誰もが知るレベルの心霊スポットの廃墟、通称「ホワイトハウス」がある。伝承によれば、この家は東京の外交官一家が精神を病んだ娘の静養のために引っ越してきていた。しかし娘はある日家族を銃で殺害し、そのあと首つり自殺をしたという。

 だが調べてみると、この家にそんな事件は全く起きていなかった。さらに全国には合計七か所の「ホワイトハウス」があり、伝わっている話もほぼ同じだという。

 心霊スポットというのは肝試しのために行く場所のため、その場で即興で恐怖話を作るので、どれもこれも似たり寄ったりになってしまう。心霊スポットはこんな適当なノリで生まれていくのである。

 ちなみに詳しい人によれば、心霊スポットの9割は「過去に事件が起こったことなどない」場所であり、また「街から近い場所」という共通点もあるという。何故なら街から遠ければ気軽に見物に行けないからである。心霊スポット巡りをする人には、「幽霊は出ないが地元の不良には出会うので注意」と言っているとのこと。


2. 心霊写真

 心霊現象の具体的証拠となる心霊写真を見ていく。


・グレイレディーの幽霊

 イギリス・ロンドンのハンプトン・コート宮殿にはグレイレディーという女性の幽霊が出るという言い伝えがある。そして2015年、宮殿内をスマホで撮影していた少女の写真に奇怪な姿が写っていた。女の姿が縦に引き伸ばされたような異様な像がとらえられていたのである。これこそグレイレディーか!?

 答え。スマホのパノラマ撮影機能のいたずら。スマホにはパノラマ撮影といって、カメラを少しづつずらして撮影していくと、それを大きな一枚の写真にしてくれる機能がある。これは撮影対象が止まっていれば問題はないが、対象が動いていると、その動いている方向に引き伸ばしたような感じで撮影されてしまう。

 問題の写真は、撮影者が下から上に少しずつカメラをずらしているのに合わせるように、前に立っていた人がたまたま伸びをしていたため、偶然縦に長い女の写真が写った、と思われる。


・悪霊エル・クークーイーが撮影された!?

 2014年、アメリカ・ニューメキシコ州で悪霊エル・クークーイーの火祭りの最中、火の上空に何か光るものが写っていた。なんとなく人の上半身のように見える。悪霊の姿を撮影してしまったのか!?

 答えは「ゴースト現象」。カメラで明るい物を撮影すると、カメラ内部のレンズに光が反射して何もない所に光るものが写り込んでしまう。今回の写真も、火祭りの火が反射しているだけだった。


3. 実話怪談

 根拠があやふやな怪談ではなく、はっきりとした実話に基づく「実話怪談」というものが存在する。


 昭和30年(1955年)7月28日、三重県津市の海岸で水泳の授業中の女子生徒100人近くがいきなり溺れ、そのうち36人が亡くなるという悲劇が起きた。生徒たちがおぼれた理由は、「澪(ミオ)」と呼ばれる、遠浅の海岸が川の流れでえぐられて深くなっている場所にはまり込んでしまったためだった。

 しかし教師も生徒も澪の事は知っており、近づかないように注意していたはずだった。それなのに事故はなぜ起きたのか。やがてこの事故を生き延びた女子生徒は週刊誌に「防空頭巾をつけた女の幽霊たちに足をつかまれ引きずり込まれそうになった」との手記を掲載した。彼女は街の有力者から、10年前の昭和20年7月28日に空襲で死んだ人を浜に埋めた過去があり、幽霊が出るのも当然、と聞かされたという。この話は、松谷みよ子水木しげるつのだじろう、らが「実話」として紹介した。

 だがこの話はどこまで本当なのか。まず10年前に津市に空襲が有ったことは事実だが、被災場所は事故のあった海岸と離れていたし、浜に死体を埋めたという話も確認できなかった。

 何故生徒たちは澪に流されたのか。この事件後、教師が責任を問われ裁判になったが、六年後に不可抗力だったとして無罪になった。当時、台風や沖を航行していた大型船の影響で「異常流」と言える流れが発生し、生徒たちを澪に押し流したのではないか、との結論に至ったのである。しかし、子供を失った親にしてみれば納得がいくことでは無く、そのうちに「あれは超自然的な力のせいであり、誰が悪いのでもない」という風な気持になっていったのではないのか。

 最後、番組スタッフは、事故後「幽霊」云々との手記を書いた本人にインタビューすることが出来た。すると女性はそもそも幽霊とかそんなことは全く言ったことは無いと証言した。そもそも例の記事は「手記」ではなく、彼女のインタビューを雑誌記者が手記風に作り直したものだったし、幽霊に足をつかまれた云々などは全く言っておらず、女性はあとで雑誌を見て驚いたという。「防空頭巾の幽霊」云々は、雑誌記者が捏造した嘘エピソードに過ぎなかったのである。


感想

 一月ほど時期が遅れた心霊ネタ。「心霊話はこうやって生まれていく」という過程をじっくり調査していました。最後の津市の女子中学生の事件は、オカルトスキーには相当の知名度がある話だと思うのですが、当時幽霊云々と証言した本人を見つけ出して、「そんな話はしていません」という証言を引き出すとは、凄い成果だと思います。

 まあこんな風に真実が暴かれていくと「夢が壊れる」という見方もありますけど、誰かがでっち上げたいい加減な嘘を信じ続けるより、きっぱり真実が知りたいですから、OKなのです。

 ところで、今回能登麻美子が登場して声を当てているはずなのですが……、どこに出たの? 全然わからんかったよ……(;´-`)
 
 

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d.hatena.ne.jp
 
 

番組概要

http://www4.nhk.or.jp/darkside/26/
UFO、ネッシー、雪男、予言&占い、心霊現象、超古代文明、妖怪、吸血鬼、魔女…。闇の魅力がもつ妖しげな幻に対して、「今、何がどこまでわかっているのか?」を徹底検証!そこから浮かぶのは、自然の神秘、私たちの脳や心の不思議なメカニズム、社会のからくり、昔の人の驚くべき技術と想像力…。ダークサイドの向こうの“本物の不思議”をワクワクしながら楽しんでいただく、NHKならではの超常現象ガチンコ検証番組!


出演者 栗山千明 (くりやまちあき)

テーマ曲: 志方あきこ
オープニング曲“Arcadiaアルカディア)”
エンディング曲“Leyre(レイレ)”
アルバム名/ “Turaida(トゥライダ)”

語り: 中田譲治(声優、俳優、ナレーター)
代表作 『巌窟王』(モンテ・クリスト伯爵)、『ケロロ軍曹』(ギロロ伍長)、『HELLSING』(アーカード)、『Fate/Zero』(言峰綺礼)、『劇場版 空の境界』(荒耶宗蓮)など