感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第92話(シーズン4 第14話)「王家の血 (前編)」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ

 

第92話 王家の血 (前編) The Falcon Part1 (シーズン4 第14話)

 

あらすじ

王子を監禁し、表向きは半月前に事故死したと報じて、一方では王子の命を盾にそのフィアンセを脅して結婚、王位継承権を手に入れようと目論む将軍がいた。奇術団を率いて宮殿に潜入したパリス(レナード・ニモイ)が花嫁に接触し、結婚式での脱出作戦を伝授する。


王子を監禁、表向きは半月前に事故死したと報じ、一方、王子の命を盾にそのフィアンセと脅し、彼女と無理に結婚、王位継承権を手に入れようと目論む将軍。奇術団を率いて宮殿に潜入したパリス(レナード・ニモイ)が花嫁に接触、結婚式での脱出作戦を伝授する。

【今回の指令】
 某国の王位継承者であるステファン王子(Prince Stephan)は、王位を狙うサバティーニ将軍(General Ramon Sabattini)によって半月前に刑務所に監禁され、表向きは交通事故で死んだことにされてしまった。現在はステファンの従兄弟ニコライ(Nicolai)が王位についているが、将軍はさらにステファン王子の婚約者フランチェスカ(Francesca)との結婚を強引に推し進めようと企んでいる。将軍は結婚によって王位継承権を手に入れた暁には、ステファン・ニコライ・フランチェスカを全員亡き者にして王となり、東側と同盟を結ぼうと目論んでいる。IMFは将軍の野望を阻止し、三人を救い出さなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:トレーシー、セバスチャン


【作戦の舞台】
 某王国


【作戦】
 フェルプスは王宮の宝石を見学するツアーの一員に紛れ込み、宮殿内に細工をして回る。一方、パリスはニコライ王に招かれた高名な奇術師ザストロを演じ、トレーシーたちもその一座として堂々と宮殿に入り込む。

 バーニーはザストロの大道具に隠れて潜入し、床に穴を開けて宝石室に入り込み、王冠を含めたすべての宝石を偽物にすり替える。ウィリーは、サバティーニ将軍とフランチェスカの結婚のために呼ばれた神父の車をバンクさせて足止めする。

 パリスは奇術の開演前にこっそり窓の外からフランチェスカに会いに行き、小道具を渡して作戦を指示する。しかし戻ろうとしたところ、足場が崩れて外壁に宙づりなってしまう。「中編」に続く。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ポール・プレイドン


感想

 評価は○。

 スパイ大作戦初にして唯一となる「前・中・後編」の三部作の前編。だが合計三時間の大作というゴージャス感はなく、スパイ大作戦の続編ものの常である「一時間で済むエピソードを、無駄に引き伸ばして複数回に増やした」感が色濃く漂っており、ダメとは言わないが、特に感心するようなエピソードでもなかった。


 スパイ大作戦は、IMFが序盤に何やら謎めいた数々の工作を行い視聴者は謎に包まれるものの、後半でその工作の意味が次々と判明し視聴者を楽しませる、というのが基本展開である。しかし今回は三部作の前編という事で、「バーニーが宝石をすり替えた」「パリスがフランチェスカに何かをさせようとしている」という工作しか描かれず、その目的が解らないまま終わってしまったため、どうにも盛り上がりに欠けた。次回への引きのシーンも「パリスが家の壁からぶら下がっている」という別にピンチとも思えないシーンで、どうせ次回冒頭にすぐ態勢を立て直して終わりだと思うと、別にハラハラもしない引きであった。

 今回はゲストの助っ人としてセバスチャンなる人物が登場する。どうやらパリスと二人一役を演じるらしく、冒頭でパリスがセバスチャンに変装マスクをかぶせて自分そっくりに変装させるシーンが描かれる。ところがこの後がややこしく、まずパリスの顔をした男が奇術の大道具の箱に潜んで宮殿内に入り込む。その次に、奇術師ザストロという名前でやはりパリスの顔の男が宮殿の門から堂々とやってくる。視聴者としては、このどちらが本物のパリスで、どちらがセバスチャンなのかわからず、さいごまでモヤモヤしっ放しだった。

 最初は宮殿の門からやってきた方が巧みにマジックを行うので、こちらがセバスチャンかと思ったのだが、この男がその後フランチェスカに会いに行き宙づりになるところを見ると、どうもこちらが本物のパリスだったらしい。マスクで変装すると誰が本物だか解らなくなるのだから、台詞でどっちが本物でどっちがセバスチャンかはっきりさせてほしかったところである。

 今回IMFが投入した秘密兵器は「床穴あけ装置」。大きさとしては本格将棋盤ほどもある厚みのある四角い金属の箱の四辺にそれぞれノコギリ(回転ノコギリではなく押し引きするノコギリ)の刃がついており、床に押し付けると分厚い床を切り取ってくれる、という道具である。

 しかし現実的に考えると、どうにも無理があるとしか思えない。回転式ではなく押し引きするノコギリで厚さ10センチほどもある床に穴を開けられるのか、という点がどうも不可能に見えるし、またバーニーはまず床下に潜る穴を開ける際は、装置を床の上に置いておくだけで良かったが、そのあと床下から上に抜ける穴を開ける際は、機械をひっくり返して腕力で支えて下で苦しそうにしながら機械を保持していた。つっかえ棒で支えるとか何とか、もう少し納得できる描写をしてほしかったところである。

 ニコライ国王は、時計集め&いじりが趣味らしく、部屋には時計が山のようにかかっているが、政治には一切興味の無いなんとも暗愚な王という感じである。錠前作りにばかり没頭していたというルイ16世を彷彿とさせるキャラである。

 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはトレーシー Tracey(リー・メリウェザー)。彼女はこのシーズン4の準レギュラー的キャラで、過去に

・第80話(シーズン4 第2話)「第三次世界大戦」
・第85話(シーズン4 第7話)「潜水艦での出来事」
・第87話(シーズン4 第9話)「ロボット」

の三作に出演している。今回のミッションでは「透視術の大家マダム・ビンスキー」なるキャラクターに扮しているが、今回は全く仕事をしなかったので、彼女が作戦に必須の要員なのか、はたまたいるだけなのか、は今のところよく解らない。

 このエピソードのサブタイトルの原題「The Falcon」とは、パリスが奇術の助手として紹介したハヤブサ「サタン」の事。サブタイトルになるくらいなので、今後色々活躍してくれるのだろうか。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがドライブインシアターにオープンカーで乗り付け、スピーカーをかけてあるポールに張り付けてあった大きめの封筒を取り外し、またスピーカーを車のドアに引っ掛ける。そしてスピーカーのボタンを押してテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、スピーカーから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。写真の人物ステファン王子はその国の正当な王位継承者であるが、半月前交通事故で死去したと報ぜられた。しかしそれは表向きで、実はまだステファン王子は生きており、サバティーニ将軍によって刑務所に監禁されている。というのも将軍が王子のフィアンセ・フランチェスカと無理に結婚したいがためである。その結婚によって王位継承権を獲得し、王子もフランチェスカもその従兄弟である現国王ニコライをも亡き者にして王座に就き、東側諸国と同盟を結ぼうというのがサバティーニ将軍の腹である。

 そこで君の使命だが、将軍のこの策謀を封じ、ステファン、フランチェスカ、ニコライの三人を救うことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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