【デジタルゲーム】シュタゲのリメイク「シュタインズ・ゲート エリート」は「第四のユニット」シリーズの再来か?

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 2009年に発売されたAVGSTEINS;GATE シュタインズ・ゲート」は、発売直後からシナリオが絶賛され、伝説の名作として語り継がれる一作でした。そして、その後に作られたテレビアニメも出来が良く、「シュタゲ」ブランドは、今ではアニオタ・ゲームオタの間での知名度は抜群なコンテンツとなっております。

 まあ、ヒット作だけあって、その後続編的な物がバカスカ作り続けられてきたのですが、ここにまた新作が一作追加されることになりました。その名も「シュタインズ・ゲート エリート」。


MAGES驚異のフルアニメ

Steins;Gate (シュタインズ・ゲート) (通常版)

志倉千代丸氏インタビュー 『シュタインズ・ゲート エリート』は“ゲーム以上でいて、アニメ以上” - ファミ通.com
https://www.famitsu.com/news/201709/21142252.html

アドベンチャーゲームシュタインズ・ゲート』。同作を、全編アニメーション素材によって構成した『シュタインズ・ゲート エリート』が2018年春にプレイステーション VitaNintendo Switchニンテンドースイッチ)、プレイステーション4で発売されることとなった。キャラクターの立ち絵やイベントCGで構成された従来のアドベンチャーゲームのスタイルを一新し、プレイヤーがボタンを押すたびにアニメ画面が動き出すという仕様で生まれ変わった『シュタインズ・ゲート』。

ゲーム業界でもっとも進化していないテキストアドベンチャーというジャンルを進化させる方法はないか、以前からずっと模索していたんです。その過程で、かつて発売された『やるドラ』(※)のようなアニメーションを大々的に取り入れる案が何度か出まして。

オリジナルでイチから作るということだったら無理なんです。でも、『シュタインズ・ゲート』には資産がある。それを使えばできるという、奇跡の裏技ですね。とはいえ、テレビアニメで使われていた7000カット以上の素材を、一旦バラバラに分解したうえで、ゲーム用に改めて演出を組み立て、それをプログラムで実行していく

アニメ素材をフル活用、フルリメイクしてゲームに落とし込んでいくエンジンのことを“フルアニメーションアドベンチャー”というシリーズ名で社内では呼称しています。略して“フルアニADV”ですかね。

 要するにテレビアニメの絵を使ってゲームに取り込んで、立ち絵の代わりにアニメが動きまくるゲームを作る、と、そういう事だそうです。まあ確かに凄そうではありますよ。


それって画期的か?

やるどらポータブル ダブルキャスト

 でもねぇ、テキストAVGを進化させる云々と自信ありげに語っていますけど、でも既にAVGにアニメをふんだんに使って云々というのは、(志倉氏自身が口にしていますけど)「やるドラ」シリーズが20年前に通った道なんですよねぇ……


 ウィキペディアによれば

wikipedia:やるドラ

フルボイス、フルアニメーションで展開されるアドベンチャーゲームである。物語の要所要所で表示される選択肢を選ぶことでストーリーが分岐する。

繰り返しプレイすることで選択肢が増え、新たなエンディングを観ることができるようになる。エンディングは20種類以上あるが、その多くはバッドエンド。また、グッドエンドやノーマルエンドにも複数の種類が存在する。初プレイから2回連続でバッドエンドを出すと、グッドエンドへ導くためのヒントマークが表示される。

エンディング後にセーブしたデータを使って、ゲーム開始からエンディングまでを選択肢が表示されないリプレイとして観ることも可能。

 とあります。つまるところアニメがメインで、要所要所でストーリーに介入して話を分岐させられる、というイメージ。発売前から「このクオリティでアニメが動くのか」と期待は高かったし、第一作目の「ダブルキャスト」は当時評判になりましたよねぇ。今調べてみても、評価は結構高いです。


 ……、あれ、シュタゲエリートって凄そうに語っているけど「やるドラ」と大して変化なくね?



幻の「第四のユニット」シリーズ

 もっと年齢が行ったゲーマーとしては、フルアニメAVGと聞くと、データウェストの「第四のユニット」シリーズの二作品、6作目「MERRYGOROUND メリーゴーランド」(1990)と7作目「WYATT ワイアット」(1992)を思い出しますね。


wikipedia:第4のユニットシリーズ

主人公ブロンウィンを中心に BS(バイオニック・ソルジャー)と呼ばれる遺伝子レベルで調整された生体兵器である強化人間たちが敵味方に分かれて闘いを繰り広げ、その裏側にあるBSを巡る暗部が徐々に明らかになってゆく、というのがシリーズ全体の大まかなストーリーである。ブロンウィンを始めとして、主要キャラクターとして美少女が多く登場することから、美少女ゲームの嚆矢と指摘される場合もある。

 第4のユニットシリーズは、データウエスト(今はゲームから撤退している)が1980年代後半から90年代前半に作っていた美少女バトル系AVGで、結構ハードなストーリーが当時のゲーマーに受けていました。そして「メリーゴーランド」からは同社が開発した動画再生規格DAPSを使って、アニメが動きまくるという、当時としては衝撃的な製品に仕上がっていました。

 もっとも、アニメを動かす事に力を入れすぎたのか、内容はもはや「動画にちょっとゲーム要素が有る」的な作品となり、それまでのシリーズのファンとしては歯ごたえが無さ過ぎて物足りなかったのですけどね。続編「WYATT ワイアット」も似たようなもので、結局シリーズは「ワイアット」で打ち止めとなり、その後データウエストはゲーム事業から撤退して、シリーズは未完のまま終わってしまいました……、おおお、未だにあの時のやるせなさというかが蘇ってくる……

 6作目からは「アインハイト編」という新章に突入し、それまで戦っていた敵組織WWWF壊滅後、「リッターリッヒツヴォルフ」という新たな敵が現れる、という設定的には燃える展開だったのに、のに……、


#未だに「ウェルカム・トウ・ワイアット」という台詞が頭から離れない……


別に目新しいやり方じゃないよね

 まあ、そんなわけで、別にシュタゲエリートに含むところはありませんが、AVGとアニメを組み合わせる手法はそんなに目新しいもんじゃないと思うんですよ。AVGの進化の道は、もっと別のところにあるんじゃないのかな(それがどんなものかは想像もできませんが……)


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