感想:アニメ「セントールの悩み」第12話(最終回)「ファンタジーをRPG気分で作ってみた。」「激闘! 腕相撲! 女(ヒロイン)だらけの勝負の行方は」

教えてダーウィン(アニメコラボ盤)

TVアニメ「セントールの悩み」公式サイト http://centaur-anime.com/
放送 BS11。全12話。

【※以下ネタバレ】
 
 

第12話 (最終回)「ファンタジーをRPG気分で作ってみた。」「激闘! 腕相撲! 女(ヒロイン)だらけの勝負の行方は」(2017年9月24日(日)深夜放送)

 

あらすじ

・Aパート ファンタジーをRPG気分で作ってみた。

 姫乃・希・羌子・スーの四人は、ファンタジー世界の冒険者として(水着的な格好で)迷宮を探検していた。そして色々バトルした末に迷宮のボスである女王・真奈美のところにたどり着くが、真奈美は謎を解かなければ迷宮からは出られないと言い放つ。希はすぐに「謎=真奈美が胸を盛っていること」と指摘すると、あっさり謎を解かれた真奈美は慌てて逃走していった。

 という内容の創作小説を、姫乃のクラスメートが書いていた。希はビキニアーマーとかバカみたいだと評価するが、執筆者が、確かに希の胸ではビキニアーマーは無理だ、としみじみコメントして〆。



・Bパート 激闘! 腕相撲! 女(ヒロイン)だらけの勝負の行方は

 姫乃のクラスで、唐突に女子生徒による腕相撲大会が始まった。そしてトーナメントで姫乃は楽々勝ち上がり、最終的に真奈美を倒して優勝する。実はこのトーナメントはアニメのヒロインを決める大会でした、というオチ。


脚本:待田堂子 絵コンテ:紺野直幸 演出:鈴元夏美、中田誠 作画監督:渋谷秀、西尾智恵、鳥山冬美

感想

 最終回も「また今までの如くオチの無い話で締めくくるのか」と思いきや、一応それっぽい形をとったのでちょっとびっくりしたですよ。アニメのスタッフもそれなりに考えていたのね。


総括

 評価は〇(まずまず面白かった)。

 ケモミミ娘とか悪魔っ娘とか天使とか人魚とかが出て来る学園アニメ。もっとも「コミックリュウ」連載漫画が原作だけにクセは強かったのですが、最終的には意外と面白い作品となりました。これはホントに予想外。

あなたのとなりに、セントール。

姫こと君原姫乃は、恋に、部活に、勉強に…、
ごく平凡な高校生活を送る女子高生。ただ、違うのは彼女が、ケンタウロスの形態をしていること。
竜人の希、角人の羌子、翼人の委員長、蛇人のサスサスちゃん。
それぞれの形態をしたクラスメイトたちと楽しい高校生活を送っている。
姫の従妹の紫乃ちゃん、その友達のまきちゃん、委員長の4人の妹たちも登場して、“人間だけど人間じゃない”娘たちのキュートな日常が綴られていく♪

 
 このアニメの個性は、華やかな見た目と違って背景設定が結構重い所でしょうか。登場キャラは、ヒロインがいきなり半人半馬のセントール(別名ケンタウロス)だし、他のキャラも(見た目が)悪魔っ子とか天使とか人魚とか蛇人とか異形の者たちばかり。ただし、これはおなじみの「ケモミミ娘」「ドラゴン娘」とかみたいな、かわいらしさとしての記号として設定されているのではなく、「全く別の地球で、こちらの世界とは全く異なる進化を遂げた人間たち」という設定だというところですね。

 だから「普通の人間たちの家にケモミミ娘がやってきて大騒ぎ」みたいな、ある意味安心のストーリーとかにはなりません。それどころか、過去に人種間で壮絶な人種差別・殺戮があったという暗い歴史が有り、そのため現在ではその反動で人種差別的な発言・行動は厳しく規制されています。主人公たち高校生が冗談でじゃれ合っている最中に、ふと「そんなことをしたら強制収容所送りになるよ」とか警戒する台詞が出て来るくらいなのですから……、いやはや、さすが原作がコミックリュウ掲載だわ……

 という、特殊な形のパラレルワールド話ではありますが、その反面文化は我々の世界とほぼ同じで、学生は、同じように制服を着て、同じように電車に乗って、同じように学校に行き、同じように授業を受けて、同じようにプールに行って遊んだりします。この「登場人物は異形なのに、展開されるストーリーは普通の学園物」というなんとも言えない違和感が、これはこれで味が有りました。基本的はとぼけた味のお話ばかりで、毎回それなりに楽しかったですしね。

(※もっとも、第9話は、何の前触れもなくドシリアスな人種差別話をブッ込んできて、気分が悪くなって視聴を中止しましたが……)


 声優陣は、主演の深川芹亜を始めとして「誰……?」というメンバーばかり。ただ特に演技力に問題があるという事もなく「新人育成枠」みたいな「スタッフが最初から作り捨てだとみなしている雰囲気」ではなく、ごくふつーに受け入れることが出来ました。これくらいの演技レベルならばキャリア数年の声優たちでもオッケーです。


 そして音楽。アニメの内容はわりと地味っぽい作品なのに、何故か音楽は凄い大当たりで、オープニング曲「教えてダーウィン」(ピュアリーモンスター)は歌詞が支離滅裂なのですがテンポの良さが心地よかったし、エンディング曲「Edelweiss」(亜咲花)は荘厳な雰囲気が、番組の内容は全然反映していないものの、素晴らしかったです。OP/EDどっちも当たりってスゴイ打率だ。


 という事で、めちゃくちゃ楽しかった!という程ではないのですが、思ったよりはイケたな、という評価です。二期が有ればもちろん見るよ、くらいには気に入りました。でも人種差別話だけは勘弁な!

制作会社
絵梦


スタッフ情報
【原作】村山慶セントールの悩み」(「月刊COMICリュウ徳間書店刊)
【総監督】追崎史敏
【監督】紺野直幸
【シリーズ構成】待田堂子
【キャラクターデザイン】渋谷秀
総作画監督】渋谷秀、小美戸幸代、西尾智恵
【プロップ設定】岸これみ
【衣装設定】近岡直、伊礼えり
色彩設計】のぼりはるこ
【美術設定・美術監督】齋藤幸洋
【撮影監督】星野元気
【編集】神宮司由美
【音楽】Tak Miyazawa
【音響監督】森下広人
【アニメーション制作協力】エンカレッジフィルムズ


音楽
【OP】ピュアリーモンスター教えてダーウィン
【ED】亜咲花「Edelweiss」


キャスト
君原姫乃:深川芹亜
獄楽希:桑原由気
名楽羌子:白石晴香
御魂真奈美:鎌倉有那
ケツァルコアトル・サスサススール:綾瀬有
紫乃:桐生朱音

 
Edelweiss (通常盤)
セントールの悩み(1)【特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)