感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第103話(シーズン4 第25話)「詐欺師の神託」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ

 

第103話 詐欺師の神託 The Choice (シーズン4 第25話)

 

あらすじ

神秘主義者に傾倒してしまった大公妃。彼女に世継ぎがいないのをいいことに、彼は自分を後継者に指名させようと画策、このままではこの詐欺師に国は乗っ取られ、独裁国と化してしまう。国をこの男の手から守り抜くため、IMFは行動を開始する!

※DVD版のタイトルは「山師が公国を狙っている」。


【今回の指令】
 トレント公国では、ここ半年の間に、自称神秘主義者のエミール・ボルトラン(Emile Vautrin)が、大公妃テレサ(the Grand Duchess Teresa of Trent)へ多大な影響力を持つに至った。ボルトランは公国乗っ取りを企んでおり、それが成功した暁には、公国は独裁国となり、アメリカの敵と手を結ぶ恐れがある。IMFはボルトランの企みを阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 トレント公国


【作戦】
 ボルトランはテレサに、自分は不死身だとか自らの神秘性をひたすら吹き込んでおり、テレサはそれを信じこんでいた。首相のピカードテレサに、ボルトランは詐欺師だと必死で訴えているが、テレサは全く耳を傾けようとはしない。そしてボルトランは、近々、国家元首が出席するはずの平和祈念館の式典に、病気のテレサに代わって出る予定である。

 フェルプスは、まず街でマジックショーを行い、パリスが高圧電流が流れる電気椅子に座っても死なないというマジックを披露する。続いてフェルプスとパリスは、式典会場に忍び込み、式典で演説者が触るスイッチに高圧電流が流れる仕掛けをしておいてから、わざとボルトラン一味に捕まる。

 ボルトランはパリスのかつらなどを剥いでみると、自分と瓜二つであることに驚く。そしてボルトランは二人は政敵のピカード首相が雇ったと推測する。ボルトランの考えによれば、まずパリスが自分のふりをして式典に出席し、マジックを応用して高圧電流に耐えるところを披露する。当然周囲はパリスが不死身のボルトラン本人だと信じ込む。そしてその場でパリスはおもむろに、テレサの後継者はピカード首相だと宣言する。そうすればピカード首相が国の権力を握れる、という訳である。

 ボルトランはフェルプスとパリスに、ピカード首相の倍額を払うので、首相を裏切って自分につけという。二人は同意し、パリスは高圧電流に耐えた後、そのまま何も言わずに控室に戻って、本物のボルトランと交代すると取り決める。もちろんボルトランは、事が終われば金を払わず二人を殺すつもりでいる。

 そして式典でパリスは高圧電流に耐えて不死身をアビールするが、その間にバーニーたちが本物のボルトランを眠らせてしまう。そしてパリスがそのまま本物のボルトランのふりをして、宮殿でテレサと会っているところに、目を覚ましたボルトランがやってきて、二人は対決する。

 ボルトランは銃を撃つが、それは空砲になっており、パリスは血のりでけがをしたふりをしつつ不死身だから死なないと宣言する。皆はパリスこそ本物のボルトランで、後から来たボルトランの方が偽物(パリス)だと信じ込む。ボルトランは逃走するが、そのまま偽物だとみなされて射殺されてしまう。

 そのあとパリスはおもむろにテレサに血のりの仕掛けを見せて、世の中は見た目通りではないのでうかつに信じるなと諭す、さらにその後、自分はもう隠遁するので、これからはピカード首相を頼るようにと言い含めて立ち去る。ピカードはその「ボルトラン」が偽物だと気が付き、後を追いかけて、誰だか知らないがありがとうと感謝を述べる。最後IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: アラン・グリーディ
脚本: ケン・ペットス(原案: ヘンリー・シャープ)


感想

 評価は△。

 今回は原案付きのシナリオで、二人分の頭で考えているので面白いのかと思ったら、全く逆の大外れ回でうんざりさせられた。展開がだるい上に、話が無意味にややこしく、かつ説明不足のため、視聴していて頭がついていかず、途中で何度も首をひねらされた。

 まず、フェルプスとパリスが式典会場に何かを仕掛けた後、兵士たちが見回りをしに来て、何かが怪しいと気が付き、最終的にフェルプスとパリスを捕まえる。しかし兵士が何を怪しいと思ったのか、視聴者には全く伝わらないので、このあたりの展開についていけない。

 さらに、ボルトランは、フェルプスとパリスに対し、「お前たちはピカード首相に雇われているのだろう」と言った後、自分が推理したピカードの陰謀をとうとうと述べ立てるのだが、台詞が断片的過ぎて、首相が何を企んでいる(とボルトランは考えた)のか全く理解できず、このあたりで完全に話への興味を失ってしまった。

 またスパイ大作戦は、IMFチームが緻密な工作をしてターゲットを引っ掛けるのがだいご味だが、今回はバーニーとウィリーは殆ど仕事が無く、表に出ているフェルプスとパリスが巧みな会話でボルトラン一味を騙しているだけ、という展開で、そういう面でも深みが無く面白みに欠けた。

 今回のターゲットであるボルトランは、パリス役のレナード・ニモイが二役で演じている。パリスはボルトランの顔写真を見て、「よく似ているので変装の必要はない」と言うが、実際はカツラを被ったり髭をつけたり、と結構手間暇かけてメイクをしており、いつものマスクを被るのとあまり変わらない感じだった。今回のエピソードでニモイが一人二役を演じる必然性は全くなく、どうにも理解に苦しむ配役である。ニモイの演技力を発揮させてあげるためのサービス回だったのだろうか。

 正直言って、今回のエピソードは殆ど大外れだったが、ラストにピカード首相が立ち去っていく「ボルトラン」が別人だと見抜き、感謝を述べるシーンだけはちょっと良かった。まあ褒められるのは、ここだけではあるが……

 今回のエピソードの『怪しげな能力を駆使する神秘主義者が王族を心酔させて政治に関与していく』という展開は、英語サイトによれば、帝政ロシア末期に出現した怪人ラスプーチンの行いがモデルとのことである。なるほどという感じである。

 このエピソードのサブタイトルの原題「The Choice」とは選択という意味だが、正直内容との関連性が全く思いつかない……

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが花屋(?)に入り、オフィスの机の引き出しの鍵を開けて、大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。ここ半年間でトレントの大公妃テレサに対し、隠然たる支配力を持ち始めたのが、自称神秘主義者のエミール・ボルトランである。ボルトランはサディスティックな山師であって、テレサの寵愛を利用してトレント公国の乗っ取りを謀っており、それが成功すれば、トレントは独裁国となり、我々の敵と手を結ぶ恐れも出てくる。

 そこで君の使命だが、このボルトランの意図を粉砕することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com