感想:アニメ(新番組)「クジラの子らは砂上に歌う」第1話「私たちの大事な世界の全てだった」

クジラの子らは砂上に歌う 1 (ボニータコミックス)

TVアニメ「クジラの子らは砂上に歌う」公式サイト  http://kujisuna-anime.com/
放送 BS1

【※以下ネタバレ】
 

果てのない世界に、祈りの砂詩(うた)が鳴り響く
業華スタッフにより紡がれる、鮮烈の群像ハイ・ファンタジー


砂刑暦93年――


砂の海に覆われた世界の中、小島のような漂泊船「泥クジラ」の上で暮らす人々がいた。外界との接触がまったく無いこの島の人口は、513人。
感情を源とする超能力“情念動(サイミア)”を有する代わりに短命な“印(シルシ)”と、能力を持たないが長命の“無印(むいん)”という種族からなる彼らは、小さな共同体を形成し穏やかに過ごしていたのである。


島の記録係である“印”のチャクロは、ある日「泥クジラ」に漂着した廃墟船を調査する中で、謎の少女“リコス”と出会う。島の人間にとって、初めてとなる外界の人間との接触。それは、新世界を開く福音なのか―。


梅田阿比による同名の人気漫画(秋田書店「月刊ミステリーボニータ」連載)を、監督:イシグロキョウヘイ×アニメーション制作:J.C.STAFFのタッグでアニメ化。砂に包まれた世界を舞台に、少年少女たちの“感情”と“命”の記録が紐解かれる。

 

第1話 『第一節 私たちの大事な世界の全てだった』

 

あらすじ

 砂刑暦93年。砂の海を「泥クジラ」と呼ばれる移動する島が漂っていた。泥クジラには住民約500人が暮らしており、九割は「サイミア」という超能力を使える「印(しるし)」と呼ばれる者たちだったが、力の代償として30代までしか生きられない。そして島を率いるのは、残り一割の、能力を持たない代わりに長命な「無印(むいん)」と呼ばれる者たちだった。

 印の一人で「記録係」のチャクロは、島の過去が記録に残っていないことを残念に思い、未来の者たちのために日々の出来事を熱心に記録し続けていた。

 泥クジラの若者たちの中には、規律に従わない「体内モグラ」という者たちがいた。彼らのリーダー格のオウニは、狭い泥クジラで生き続けることに不満を持っていた。

 ある日泥クジラは「流れ島」を発見し、偵察隊を送ることにした。隊のメンバーに加わっていたチャクロは、島で、泥クジラの住人ではない少女を見つけるが、少女が弱っていたため泥クジラに連れて帰る。少女「リコス」もまたサイミアを使うことが出来た。

 島の長老は密かにリコスを尋問し「外の世界」が、過去と何一つ変わってないらしいことを知り嘆く。チャクロはその話を盗み聞きしていたが、さらにそこにオウニが現れ、二人を強引に連れ出し、流れ島に案内しろと迫る。


脚本:横手美智子/絵コンテ・演出:イシグロキョウヘイ総作画監督飯塚晴子作画監督:萩原弘光、西川絵奈


感想

 評価は◎。

 見終わって物凄く興奮しています。何故って? 「原作漫画よりなお面白かった」から!!


●原作漫画について

 原作は少女漫画誌の「ミステリーボニータ」で2013年から連載している作品。作者の梅田阿比氏は、少年漫画誌週刊少年チャンピオンでデビューして連載も持った後、少女漫画の方に転向して、月刊プリンセスを経て、ミステリーボニータにたどり着いたという経歴の持ち主です。

 初連載はバレーボール漫画だったのですが(今から考えると信じられない……)、その後はおそらく得意なジャンルの不思議系というか超常系というかの漫画を発表していましたが、その頃は地味な漫画家というポジションでしかなかったように見えます。


 しかし、「クジラの子」は連載初回から、なんかこれは来たなって感じで目を引きました。
 ↓

感想:少女漫画誌ミステリーボニータ2013年7月号」(2013年6月6日発売) - セントラル・ステーション分室
http://perry-r.hatenablog.com/entry/20130608/p6

 そして、その後は予想を超えて、ボニータで一押しの漫画となっていきました。しかし、まさかアニメにまでなるとは思わなかった……



●そしてアニメになって……

 私は基本的に少女漫画のアニメってものを信用していないのです。過去、白泉社の作品がアニメ化されたものをいくつも見てきましたが、大抵原作よりつまらなくて、何度も何度も何度も(以下果てしなく続く)がっかりさせられてきたから。


 そしてこのアニメもその列に並ぶものが増えただけだろうと思っていたのですが……、……、全然違いました! 凄い、原作より面白い!

 当たり前ですが、原作はモノクロで薄暗い雰囲気。それがアニメになって色がついて、キャラの声がついて、動きが付いたら、こんなに美しくてわかりやすくて面白くなるなんて!

 いや、もちろんアニメになったから、という単純な理由ではなく、実績十分のシナリオライター横手美智子先生他のスタッフの力だとは重々承知していますが、ここまでになるとは……、いやー参った。


 視聴前は「どーせまた女子がハンサムにきゃあきゃあ言うだけのアニメが一つ増えただけだろ」とか思っていましたが、初回で考えが180度変わりました。今後もこのクオリティなら、この秋クールでトップクラスの作品になるかもしれない! 今から期待が膨らみます。
 
 

クジラの子らは砂上に歌う


制作会社
J.C.STAFF


スタッフ情報
【原作】梅田阿比(「月刊ミステリーボニータ秋田書店刊)
【監督】イシグロキョウヘイ
【シリーズ構成】横手美智子
【キャラクターデザイン】飯塚晴子
美術監督】水谷利春(ムーンフラワー)
色彩設計】石田美由紀
【撮影監督】大河内喜夫
【編集】後藤正浩(REAL-T)
【音響監督】明田川仁
【音楽】堤博明



音楽
【OP】RIRIKO「その未来へ」
【ED】rionos「ハシタイロ」


キャスト
チャクロ:花江夏樹
リコス:石見舞菜香
オウニ:梅原裕一郎
スオウ:島﨑信長
ギンシュ:小松未可子
リョダリ:山下大輝
シュアン(団長):神谷浩史

 
クジラの子らは砂上に歌う 2 (ボニータコミックス)