感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第117話(シーズン5 第13話)「銃殺」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第117話 銃殺 The Hostage (シーズン5 第13話)

 

あらすじ

任務を成功させたパリス(レナード・ニモイ)が、演じていたホテル王として誘拐されてしまう。彼らは仲間の囚人の釈放を要求、フェルプス(ピーター・グレイブス)たちは囚人のひとりである敵の息子を使って巧妙な駆け引きを展開する。


任務を成功させたパリス(レナード・ニモイ)は、演じていたアメリカのホテル王と間違えられゲリラに誘拐されてしまう。彼らは仲間の囚人の釈放を要求。フェルプス(ピーター・グレイブス)たちは、囚人のひとりである敵の息子を使ってゲリラとの巧妙な駆け引きを展開する。

【今回の指令】
 無し


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ダグ
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 某国(多分中南米


【作戦】
 パリスはIMFの某国での作戦のため、アメリカのホテル王「ウォルター・A・フェイラン」(Walter A. Phelan)として活動していた。そして任務が終了して一段落したパリスだったが、彼を本物のホテル王と思い込んだゲリラ「人民革命戦線」によって誘拐されてしまう。ゲリラのリーダー・カバールは、政府に対し、パリスと交換で、刑務所にいる息子のルイスを含む三人のメンバーの釈放を要求してきた。

 フェルプスは同国政府の協力を得てパリス救出作戦を開始しようとするが、ゲリラの基地の場所が解らないため手の打ちようがない。しかしパリスはゲリラに、自身が重病「ホジキン病」だといい、薬が無ければ72時間で死んでしまうと訴える。慌ててゲリラは政府に薬を要求し、IMFはホジキン病の薬(実はビタミン剤)の瓶に発信機を取り付けて送り付け、ゲリラの基地の場所を特定する。

 フェルプスは今回の事件の担当者の軍人を演じ、テレビ放送でゲリラに対し、フェイラン(パリス)を解放しなければ逆に三人の囚人を時間をおいて一人ずつ銃殺していくと通達する。そして本物の囚人の代わりにマネキン人形を撃って、死刑を演出する。

 ゲリラ側は囚人二人が射殺され、残るはカバールの息子ルイスだけとなっても、パリスを解放しようとはしない。ダナはルイスの恋人のふりをしてゲリラの基地に向かい、カバールにルイスを助けるためパリスを解放してくれと訴える。しかし、カバールの参謀シオムネイは冷淡なままで、さらにカバールもルイスは兵士なので革命のため死ぬのは仕方ないという。

 一方バーニーもこっそりゲリラの基地に潜入しており、シオムネイの腹心の部下フレデリコを気絶させて、変装マスクを作り、フレデリコそっくりに成りすます。そして、ついにルイスの銃殺の時間が迫ったので、シオムネイはフレデリコ(実はバーニー)に用なしのパリスを殺せと命じるが、バーニーはパリスに仮死状態となる薬を飲ませ、服には血のりをつける。

 そしてルイス銃殺の時間が来るが、執行の直前、ダグがアメリカ政府の人間を演じて、死刑を15分延期させ、テレビ放送で再度ゲリラ側に交渉を呼びかける。ところが次の瞬間パリスの監房で銃声が響き、カバールやシオムネイが駆け付けるとパリスが死んでいた(と見えるように偽装していた)。

 動揺したカバールは、フェルプスに連絡して、パリスが逃げようとしたので誤って撃ち殺してしまったと釈明する。するとフェルプスは、代償として、参謀シオムネイと実行犯(フレデリコ)を引き渡すなら、ルイスの銃殺は止めてやると言う。シオムネイはそれを聞いて冷笑するが、カバールはすぐにシオムネイとフレデリコを拘束し、ダナ、パリスの死体、と共に政府側に引き渡す。

 最後、政府側に捕まったシオムネイは、死んだはずのパリスが生き返り、一緒に捕まった部下フレデリコは実は別人(バーニー)の変装、さらに車の中の隠し物入れから失神した本物のフレデリコが出て来る、という展開に唖然とするのだった。


監督: バリー・クレーン
脚本: ハロルド・リビングストン

感想

 評価は○。

 今回も、第5シーズンの定番の展開である、「テープの指令シーン無し」「予想外のトラブル」「IMFメンバーが敵に捕まる」という要素を全て併せ持った話だったので、最初はげんなりしたが、大まかな流れは「敵を策略で引っ掛けて、最後にあっと言わせる」という物だったので、最終的にはそこそこには満足できた。

 今回の話はパリスが悪漢に誘拐される、というものだが、パリスはIMFのメンバーとして連れていかれたわけではないので、結局「誘拐された要人をIMFが救出する話」と同じことだった。という事で、昔のスパイ大作戦でよく使われたパターンの話に戻ったので、かつての面白さが戻ってきた感じだった。

 ゲリラが要人を誘拐し、解放の条件として自分たちの捕まっている仲間の釈放を要求する、というのは、2010年代のドラマのエピソードだとしても全く違和感がなくて、半世紀前のドラマであるにも関わらずレトロ感が無いのにちょっと驚かされた。まあつまり、世の中はある面では半世紀前からちっとも進歩してないということなのだろう。

 今回は第1~4シーズンの頃のような相手を策略で騙す話だったので、随所にIMFが用意した騙しのシーンを見ることが出来た。印象深いのは、まず囚人の銃殺シーンを演出するため、本物の囚人の代わりに、囚人の服を着せたマネキン人形を射撃させるシーンで、兵士たちが人形を引きずっていくのに、それを中継しているアナウンサーは「もう囚人は歩く気力も無いようです」とかコメントしているシーンとかが笑えてしまった。

 またパリスが仮死状態になる薬を飲んだ後、服に血のりを塗り付け、最後に銃声を響かせて、いかにもパリスが射殺されてしまったように偽装する、というのも往年のスパイ大作戦ノリで楽しかった。


 今回は変装名人パリスは捕まってしまっているので、代わりにバーニーが変装マスクを被る役目を担当した。しかしバーニーは声帯模写は出来ないので、マスクを付けた後、何を聞かれても黙っていて身振りだけで通すという展開が、ちょっとご都合主義的だったが、そういうのもまたスパイ大作戦らしいという気がする。

 そして最後のシーンが傑作で、引き渡されたシオムネイが、射殺されたはずのパリスは生き返るし、フレデリコは部下のはずがいきなりマスクを剥いで別人になってしまうし、本物のフレデリコはダナの車の隠し物入れに放り込まれているし、というシーンを見て訳が分からず呆然としている、というのが、昔のスパイ大作戦のオチそのままで、実に痛快だった。第5シーズンは今までのシーズンと番組の方向性が変わってしまい、全く楽しめなくなってもうウンザリしていたが、今回は久々に楽しめる話だった。


 今回のサブタイトルの原題「Hostage」とは「人質」のこと。

参考:今回の指令の入手方法

 無し

参考:指令内容

 無し

 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com