感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第116話(シーズン5 第12話)「知り過ぎた娘」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第116話 知り過ぎた娘 Squeeze Play (シーズン5 第12話)

 

あらすじ

顔を整形したアメリカ犯罪組織のリーダーになりすまし、麻薬組織のボスの屋敷にやってきたパリス(レナード・ニモイ)。死を目前にしたボスと、その孫娘の信頼を勝ち取り、跡継ぎの座を手に入れて組織を壊滅させることができるのか。

【今回の指令】
 麻薬シンジケートの大ボス・アルバート・ゼンブラ(Albert Zenbra)は、ガンで死を目前にしているため、近々後継者を指名し組織を譲り渡す予定である。そして後継者にはゼンブラの組織の全ての情報を記した極秘リストが譲られる。IMFはそのリストを入手し、ゼンブラの組織を壊滅させなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 フランス


【作戦】
 ゼンブラの孫娘イーブは、両親を早く亡くしたためゼンブラに引き取られて成長し、ゼンブラはイーブを溺愛していた。大人になったイーブは祖父が犯罪に関わっていることを知り、足を洗ってほしいと頼むが、ゼンブラはそれは聞けないと言う。

 ゼンブラは自分の後継者候補として、一人は長年の右腕カルロス、もう一人はアメリカの組織を仕切っている甥のポール・コリガン、を考えており、ポールをアメリカからフランスに呼び寄せる。IMFは空港でポールを拉致すると、パリスがポールにすり替わりゼンブラと対面する。ポールは10年ゼンブラたちと会っていないうえ、アメリカで整形手術を受けていたので、パリスが素顔でポールのふりをしても怪しまれない。

 フェルプスはゼンブラの対立組織のボスという設定でカルロスに連絡を取り、ゼンブラを殺すのに協力してくれたら、自分の組織の幹部にしてやると持ち掛ける。しかしカルロスは、自分が組織の後継者になるから協力する気など無いと突き放す。

 直後、バーニーが殺し屋のふりをしてゼンブラの屋敷に忍び込み、ゼンブラ暗殺をするふりをして、パリスに阻止される。その後バーニーはすぐ逃げ出し、ゼンブラは屋敷の警備を担当しているカルロスがなっていないと激怒する。

 カルロスはゼンブラとパリスの会話を盗み聞きしようと、ゼンブラの専属看護婦(ダナ)を抱き込み、二人の会話を盗聴する。パリスはそれを承知で、まずゼンブラを薬で眠らせてから、ゼンブラの声色をまねて一人二役で会話し、ゼンブラがカルロスの悪口を言っているように信じ込ませる。

 カルロスは自分は後継者の目は無くなったと信じ込み、フェルプスたちに協力してイーブを誘拐させる。フェルプスはイーブを人質にゼンブラたちを呼び出し、まずパリスと対面する。ところがイーブは、パリスが偽ポールなのはわかっており、フェルプスと組んで芝居をしていると指摘する。パリスはイーブに、ゼンブラの売る麻薬のせいで多くの人が死んでいること、ゼンブラには手を出さないこと、を訴え、イーブはしぶしぶパリスたちの芝居に消極的ながら協力することにする。

 続いてフェルプスたちはゼンブラを呼びこみ、その前でカルロスが自分たちの仲間であることを見せつける。そこにパリスが現れてフェルプスたちを追い払い、ゼンブラは裏切ったカルロスを自分で射殺する。最後、ゼンブラはパリスに組織を全て譲ると言って組織の機密の記されたマイクロフィルムを渡す。イーブはパリスに、ゼンブラには今回の件の真相は明かさず、死ぬまで傍にいると言って立ち去って行った。


監督: ヴァージル・W・ヴォーゲル
脚本: デヴィッド・モーシンガー(原案: ウォルター・ブロウ&デヴィッド・モーシンガー)

感想

 評価は○。

 第5シーズンでは珍しい「テープの指令」→「IMFが計略で任務を達成する」という王道パターンのエピソード。全盛期ほどのクオリティは無かったものの、おなじみの展開のため、それなりには面白かった。

 作戦内容は、IMFメンバーがターゲットに接近して心理作戦で内部分裂を誘い、最終的に同士討ちさせてIMFの手を汚すことなく目的を達成する、いう今までに何回も使われたパターンだった。しかし、やはりこういう展開の方が、IMFメンバーが怪我をしたり敵に捕まったりするサスペンス系のストーリーよりよほど好みである。

 とは言え、やはり過去のシーズンのエピソードと完全に同じノリとはいかず、なんと作戦の途中で関係者の一人イーブにIMFが計略を仕掛けていることを見抜かれてしまうのである。過去のシーズンではIMFの計略はほぼ最後の最後まで相手に気が付かれることは無く、基本的に関係者を騙しきったまま風のように車で立ち去ってしまう、というのが定番だった。しかし今回は、パリスはイーブに出会った瞬間からあからさまに偽物だとばれてしまっており、長年のスパイ大作戦ファンとしてはいささかいただけない展開である。

 しかしまあ、イーブにばれたからと言って、パリスが敵に捕まったりすることは無く、作戦はつつがなく進み、イーブもパリスの説得でとりあえず協力してくれたので、作戦が破綻せずに済んだのは何よりではあった。

 それにしても、このシーズンに入ってから、バーニーがメカニック担当という設定が完璧に無くなってしまい、全然秘密小道具を使用する場面が無いのは実に寂しい。バーニーが殺し屋役をやったり、組織の人間と殴り合いをしたりするのを見るにつけ、ここでもスパイ大作戦が変質してしまったと嘆かずにはいられない。

 今回ゼンブラを演じたのはアルバート・ポールセン。この人は第1シーズンから毎シーズン必ず一回登場してくれるなじみの俳優で、「また出たか」という感じだった。実のところシーズン1~5皆勤で出演している俳優というのは、IMFメンバーですらバーニーとウィリーの二人しかいないことを思うと、この人の皆勤ぶりはなんとも凄い事だと思わずにはいられない。

 ところで、パリスがゼンブラの屋敷に登場した際、イーブの飼い犬がパリスに猛烈に吠え掛かるものの、パリスが近づくと何故か大人しくなってしまう、という一幕が有った。パリスはどうやって匂いの違いをごまかして犬をなだめたのか、どうにも気になって仕方ない所である。

 今回のサブタイトルの原題「Squeeze Play」とは「(野球の)スクイズ」の意味。今回の内容とどういう関係が有るのか、全く理解しかねるサブタイトルであった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが海に近い建物に入り、ロッカールームの鍵のかかったロッカーを開け、中から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。アルバート・ゼンブラは、世界のヘロインの約四分の一を扱っている麻薬シンジケートの大ボスであるが、今やガンのため、死を目前に控えている。このためゼンブラは、近く後継者を指名し、それにアヘンの原産地・密輸ルート・売人・買収済みの係官などを記した極秘リストを譲ることになっている。

 そこで君の使命だが、その極秘リストを入手し、ゼンブラを中心とする麻薬帝国の存続に終止符を打つことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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