感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第126話(シーズン5 第22話)「祝賀パーティー」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第126話 祝賀パーティー The Party (シーズン5 第22話)

 

あらすじ

アメリカで捕らえられた東ヨーロッパ人民共和国のスパイ。捕まる直前彼は、アメリカに潜伏するスパイたちのリストをどこかに隠した。IMFメンバーはスパイの本国送還を演出、領事館でニセの祝賀パーティーを開き、極秘リストのありかを突き止めようとする。


アメリカで捕らえられた東ヨーロッパ人民共和国のスパイ。捕まる直前に彼は、アメリカに潜伏するスパイたちのリストをどこかに隠した。IMFメンバーはスパイの本国送還を演出、領事館でニセの祝賀パーティーを開催、妻までアメリカに連れてきて、極秘リストのありかを突き止めようとする。

※DVD版のタイトルは「偽装パーティー」。


【今回の指令】
 東ヨーロッパ人民共和国(EEPR)のバニン大佐(Alexander Vanin)は、昨年スパイ行為で逮捕され、20年の刑で服役中である。バニン大佐は捕まる直前に、アメリカで活動している同国のスパイのリストをどこかに隠してしまった。バニンの上司ミシェンコ領事(Gregor Mishenko)は、そのリストを探しているが、バニンはリストの所在を明かせば本国から見捨てられるので未だ口をつぐんでいる。IMFはリストを発見しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー、ダグ
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭、バニン大佐が尾行に気が付き、領事館にいる妻のオルガに電話して「12、45、72」という謎の数字を伝えるが、直後に逮捕されてしまう。

 フェルプスがテープの指令を受け取る。

 バニン大佐は自己催眠をかけて、自分でもリストの隠し場所を忘れているので、強引に聞き出すことはできない。IMFは、フェルプスとダグが刑務所のバニン大佐に面会し、東ヨーロッパ人民共和国から派遣された秘密警察のメンバーだと名乗って、バニン大佐はスパイ交換で本国に帰れることになったと説明する。

 一方、パリスは東ヨーロッパ人民共和国に行き、やはり秘密警察だと名乗ってバニン大佐の妻オルガを訪ねる。そして「バニン大佐が釈放されるが、帰国前に妻として夫が母国の秘密を漏らしていないか確認してほしい」と言ってアメリカに連れていく。

 同じころ、ウィリーは東ヨーロッパ人民共和国の領事官に通じる秘密トンネルを掘る。バーニーは領事館に潜入し、時限爆弾を仕掛けた後、わざと発見される。ミシェンコ領事は、領事館から人を退避させた後、バーニーに爆弾を解除しろと言い、部下一人を見張りに置いて出ていく。

 がら空きとなった領事館に、秘密トンネルを通ってIMFが用意した人間たちが集まり、革命25周年のパーティーを開いているふりを始める。そこにIMFがバニン大佐とオルガをそれぞれ連れてきて、二人がゆっくり話せるようにと別室に案内する。そのあとパリスは、ミシェンコの部下の声色で、ミシェンコに爆弾が解除できたので戻っても大丈夫と連絡した後、全員で領事館から立ち去る。

 バニン大佐とオルガはいつの間にかパーティーをしていたメンバーが居なくなっていることに気が付き驚くが、そこにミシェンコ領事が戻ってくる。ミシェンコは二人から事情を聴き、君たちはアメリカのスパイに一杯食わされたのだと非難し、どうせバニン大佐はアメリカにリストの事を漏らしてしまったのだろうと言う。

 怒ったバニン大佐は、秘密を漏らすわけが無いとムキになり、オルガに逮捕前に伝えていた「12、45、72」という数字を教えてもらう。その途端バニンは自己催眠が解けて記憶が戻り、リストはバス「124572」号の座席の下に隠したと口にする。それを聞いたミシェンコは慌てて、アメリカのスパイが盗聴しているに違いないとバニンを制止するが、既に情報はIMFに伝わっており、フェルプスはウィリーに問題のバスへと急行させる。

 その夜、修理工場に置いてあるバス124572号をバニン大佐やミシェンコが調べに来るが、フェルプスたちが待ち構えており、既にリストは頂いたと説明して、バニン大佐を逮捕する。ミシェンコはフェルプスに、バニン大佐を引き渡してくれたらアメリカの望むようにちゃんと処分すると言うが、フェルプスはあと19年経ったら引き渡すと言って、他のメンバーと共に車で立ち去る。


監督: マレー・ゴールデン
脚本: ハロルド・リビングストン


感想

 評価は(まあ)○。

 今回のエピソードは、テープで受けた指令を元に、IMFが大掛かりな欺瞞を敢行する王道系の展開で、途中まではそれなりには楽しかったが、色々と細部に粗が見受けられ、手放しで称賛するほどでもなかった。

 今回は珍しいことにウィリーとダグが共演している。この二人は基本的に、カードの裏表のごとく、どちらかが出演するときはもう一人は出てこない、という関係なので、二人が同時に作戦に参加しているというのは物凄くレアである。ちなみに第五シーズンで二人が共演するのは、第3話(通算第107話)「大量殺戮兵器」以来であるが、この二人の会話シーンというものは存在しない。よほど絡ませ辛いのだろうか。

 今回IMFがとった作戦はなかなか大掛かりで、領事館に時限爆弾を仕掛けて館員を追い出しておき、そのあと自分たちが手配した人間を乗り込ませて、そっくり中身を入れ替えてしまうという物で、見ていてなかなかに楽しかった。またバニン大佐とオルガが領事館に車で到着する際、それを屋外に退避しているミシェンコに見られないように、信号操作で大型トラックがミシェンコの目の前に止まるように細工し、ミシェンコの目をごまかすという展開も面白いものだった。

 ただ面白がるのはそこまでで、それ以降の展開がいまいちだった。というのも、領事館をまるごとジャックするという行動と、バニン大佐にリストの所在をしゃべらせるきっかけというのが直接つながっておらず、IMFがわざわざ大人数を動員して領事館でパーティーを開いた意味が無かったからである。

 見せかけのパーティーなど開催しなくても、もっと簡単に、バニン大佐・オルガ・ミシェンコ領事の三人だけを騙すだけでも、バニン大佐の口は割れたような気がするので、大仕掛けと目的がかみ合っていないような気がしてモヤモヤした。

 またバーニーがわざわざ解体しにくい「本物の」時限爆弾を仕掛け、それを命がけで解体するという展開となっているが、何か無駄にメンバーの命を危険にさらしているという気がしなくもない。領事館から人払いするだけなら、もっとスマートな手を使うべきだったのでは、と思わずにはいられない。

 さらに、オチで深夜に自動車整備工場にやってきたバニン大佐たちをフェルプスたちが待ち構えていて、わざわざ「リストはもう頂いた」と宣言するのだが、これも無駄な行為のような気がする。昔のIMFならこんな芝居がかったことはせず、リストを手に入れてさっさと逃走し、バニンは何かしらの方法で領事館から出て来るように仕向けて警察に逮捕させるようにしたことだろう。IMFメンバーが銃を構えて相手と対峙するシチュエーションというのは、本当になじめない。

 とまあ、こういう気になる展開を見ると、スパイ大作戦の面白いシナリオを作るのが如何に難しいかというのが透けて見えて、スタッフの苦労が偲ばれてしまった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが花屋(?)に入り、オフィスの机の引き出しの鍵を開けて、大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。
(※第103話(シーズン4の第25話)「詐欺師の神託」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。バニン大佐は、スパイ行為で20年の刑を宣告され、目下服役中であるが、昨年検挙される直前、彼はわが国で暗躍している東ヨーロッパ人民共和国のスパイたちのリストを隠してしまった。バニン大佐を動かしていた領事のミシェンコは、そのリストの所在を突き止めようとしているが、それに関して大佐は口をつぐんだままである。というのも、リストを発見されたが最後、自国にとって彼は無用の存在となり、見捨てられてしまうからである。

 そこで君の使命だが、そのリストを発見することにある。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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