感想:アニメ「鬼平」(2017年)第3話「暗剣白梅香」

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アニメ「鬼平」公式サイト http://onihei-anime.com/
放送 BSジャパン。(地上波 2017年1月~3月)。全13話。

【※以下ネタバレ】
 

第3話 暗剣白梅香

 

あらすじ

 ある夜、平蔵は手練れの刺客に襲撃されるが、なんとか撃退する。平蔵は犯人が女性の化粧の匂いを漂わせて居たため、それを手掛かりに密偵の粂八(くめはち)に調べさせる。すると相手は3年前に江戸に来た、裏社会でも有名な人斬りで、狙われて生き延びた者はいないという凄腕だと判明した。しかし粂八でも、その男の名前や顔までは特定できなかった。

 平蔵が粂八から情報を聞いた後、またも謎の刺客に襲撃を受け、今度は粂八の助けが無ければ平蔵は殺されるところだった。

 平蔵をつけ狙うのは、150両という大金で雇われた金子半四郎(かねこ・はんしろう)という男だった。半四郎は20年前、酒の席で父親を殺した森為之介(もり・ためのすけ)を討つため日本中を旅していたが、未だ仇を見つけられず、金を稼ぐため人斬りになり果てていた。

 平蔵は人斬りの付けていた化粧品「白梅香」を売っている店を突き止め、部下たちは三か月ごとに白梅香を買いに来るという男がいると知り、店に張り込む。そして男(半四郎)を見つけるものの、取り逃がしてしまう。しかし犯人の顔も判明し、捕らえるのは時間の問題となった。

 半四郎は自分に親切にしてくれた下女おさきに、一緒に江戸から逃げてどこで暮らそうと誘う。そして最後の仕事として平蔵を殺すので、翌朝待ち合わせる約束をする。

 平蔵はあえて一人で行動して半四郎をおびき出す作戦に出る。そしてなじみの船宿で時間つぶしをしていると、そこに半四郎が襲撃してきた。しかし守るもののできた半四郎の剣は今までの鋭さが無く、鬼平に撃退される。慌てて店から逃げ出そうとする半四郎を宿の主人が包丁で切り殺す。宿の主人こそ、半四郎が20年探し求めた仇・森為之介だった。

 平蔵は為之介に一年ほど江戸を離れてほとぼりを覚ますように勧め、為之介夫妻は翌朝旅立っていった。そして、橋の上でずっと半四郎を待っているおさきの後ろを二人が歩いていく。最後、平蔵は半四郎を雇うような相手は心当たりが有りすぎるので、今後も狙われるだろうなという。

感想

 うおぉぉぉ、ハードボイルドォォォ。仇討ちとかいう純江戸時代風シチュエーションはあるものの、大筋を現代日本に移し替えて探偵物とかにしても違和感のない筋立てにしびれました。

 また、半四郎が平蔵に負けそうになって慌てて宿から飛び出そうとするときの演出がアメリカンニューシネマ風、というかなんというか。半四郎が「おさきと一緒に幸せに暮らすんだ……」とか心の中で叫びながら、脳裏には「おさき&赤ん坊と三人での幸せな農夫生活」をイメージしていて、かつ目指す入り口外は真っ白。そしてもう少しで逃げられる、というところで手が届かずに……、という展開がなんとも切ない。

 また、単なる半四郎の身の上話設定だと思っていた「20年探し続けていた仇」の設定が、最後の最後で生きて来るとは……、やられた、という感じ。

 1時間ドラマでも十分持たせられそうな内容を、30分アニメにまとめ上げているのはお見事です。


 ところで、金子半四郎(関智一)は、劇中の説明をつなぎ合わせると38歳前後のはずですが、25~27歳前後の若い美形剣士にしか見えません。この辺りはアニメ的な都合というかですかね? そもそも平蔵もやたら若くて、あんなデカい息子がいるようには見えないわけですが……
 
 
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