【経済】感想:NHK番組「BS1スペシャル」『欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~』

欲望の資本主義

BS1スペシャル「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」 http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2018-01-03/11/34990/2225527/
放送 NHK BS1。2018年1月3日(水) 21:00~22:50。

【※以下ネタバレ】
 

内容

http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2018-01-03/11/34990/2225527/
BS1スペシャル「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」
[BS1] 2018年1月3日(水) 午後9:00~午後10:50(110分)


やめられない止まらない、欲望が欲望を生む、欲望の資本主義。話題を呼んだ異色ドキュメント新作。世界の知性たちは、この不確実性に満ちた、成長なき時代をどう読むのか?


異色ドキュメント2018年新春版。安田洋祐准教授はパリへと飛びフランスの知性ダニエル・コーエンから資本主義の未来像を引き出し、チェコの異端の奇才トーマス・セドラチェクと気鋭の哲学者マルクス・ガブリエルはボンで激論。経済学の巨人、ケインズマルクスシュンペーターらが残したビジョンは、今どこまで有効か?「闇の力」が目覚め始め「分断の時代」を生き延びる術を世界の知性たちと共に考え、経済の最前線に迫る。


【出演】安田洋祐,ダニエル・コーエン,トマス・セドラチェク,マルクス・ガブリエル,ウルリケ・ヘルマン,ジョセフ・スティグリッツ,ロバート・スキデルスキー,ルトガー・ブレグマン,カビールセガール,ジョナサン・ストラル,【語り】やくしまるえつこ

 デジタル時代の技術革新は新たな雇用を生むか? ITの進歩で得をするのは社会のトップにいるような層だけ。彼らはiPhone一つで世界各地に指示を出せるようになったり、ボタン一つで大金を動かせるようになったり、と、より力を増した。

 しかし社会の中流層はそうではない。ITの進歩で仕事を奪われつつある。仕事を失えば、新しい働き場所はより給料の低いサービス業だけ。何故なら、そういう分野はロボットやプログラムがまだ代替しにくいから。

 かつて、技術革新で農業に人手が要らなくなると、農民は仕事にあぶれ都会に行くしか無かった。しかし都会には産業革命で別の仕事があったから、彼らは働き口を見つけられた。しかし今は仕事にあぶれても新しい仕事が無い。



 18世紀イギリスで産業革命が起きた理由の説明の一つとして、労働者が高賃金だったことがある。労働者の給料が高かったから、機械化で効率化するしかなかった。高賃金は資本主義の原動力となる。

 1975年以降アメリカでは労働者の賃金は殆ど上がっていない。インフレを考慮すればずっと据え置きだと言ってもいい。彼らの給料が上がらないという事は、顧客の購買力が上がらないという事であり、物が売れないという事。だから企業はもう生産性を持て余しており、設備に金を出す意欲を失った。今や投資の方に熱心。

 何故賃金が上昇しないかというと、1975年頃から労働組合が弱体化したから。労働者は失業の恐怖におびえ、賃金の上昇には目をつぶる状態。これは社会全体には危険な状態。生産性の向上と賃金の向上を達成する必要がある。



 ニクソン大統領就任前、アメリカでベーシックインカム導入が真剣に考えられていた。ニクソンが大統領になったらベーシックインカムを採用するのは必至、という空気だった。

 そのために予備的に社会実験をしてみたところ、社会保障費は低下、犯罪は減少、子供の成績は上がり、人々は労働を辞めず、といいことずくめだった。ただ一つの問題は離婚率が50パーセント上昇したことだった。そのため導入は見送られた。その後、わずか10年後にこの離婚率上昇というのは単なる誤解で、現実は上昇などしていないと判明したが、もう時すでに遅しだった。アメリカがベーシックインカムを導入していたら、世界はどうなっていたろうか。



 資本主義は人類が初めて発明した経済成長を生み出すシステム。しかし永遠に成長することはできない。人類が資本主義に代わるシステムを見つけるか、それとも資本主義が先に崩壊するか、どちらかである。


感想

 なんというか、経済の専門家とか哲学者とか「世界を代表する知性」的な人たちが集まって、資本主義についていろいろ語る番組。バラエティに富み過ぎてまとまりがないごった煮的番組でしたが、それなりに面白かったですよ。
 
  
「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)