【懐かしゲーム】「Quarterstaff」(1987)、「Quarterstaff The Tomb of Setmoth」(1988):コンピューターでTRPGを再現しようとしたゲーム

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 懐かしのゲームを懐古するコーナー。今回はCPRG「Quarterstaff」(1987)、「Quarterstaff The Tomb of Setmoth」(1988)です。

概要

 「Quarterstaff」は1987年にSimulated Environmental Systemsという会社が発売したRPGMac用。翌1988年にアクティビジョン社がこのゲームの権利を購入してリメイクし、インフォコムブランド名で「Quarterstaff The Tomb of Setmoth」と改題して発売しました。

 日本ではインフォコム版をスタークラフトが「クォータースタッフ」のタイトルで、1990年にPC-98用、1991年にX68000用、に発売。


設定

 剣と魔法の世界。三ヶ月前、ツリー・ドルイド植民地は痕跡を残さずに消滅した。タイタスはドルイド評議会の命を受け、謎を解き明かすために旅立った。


ゲーム展開

 CRPGと言いつつも、実際はほぼテキストAVGで、そこにRPG的なレベル他の要素を追加したという感じのゲーム。

 ゲーム画面は基本的にテキスト表示主体で、テキスト用ウインドウに周囲の状況他が大量の文章で表示され、別のウインドウにはオートマッピングされた地図やイベント時のCGなどが表示される、という構成。またゲーム操作も、プルダウンメニューで表示される単語を組み合わせて命令を作り、コンピューターに指示する、という、古い時代のテキスト入力形式そのままです。
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Quarterstaff for Macintosh (1987) - MobyGames
http://www.mobygames.com/game/macintosh/quarterstaff

 
 
 日本語バージョン(PC-9801X68000)では、おしゃれなウインドウ構成は無く、画面を左右に二分割し、右がテキスト用、左が地図その他、という構成です。
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X68000 : クォータースタッフ - Old Game Database
http://seesaawiki.jp/chitentai/d/X68000%20%3A%20%A5%AF%A5%A9%A1%BC%A5%BF%A1%BC%A5%B9%A5%BF%A5%C3%A5%D5

 
 
 プレイヤーはタイタスとその仲間をコマンドで操作して、洞窟や建物の中を探索させ、謎を解いていきます。ただし「レベル1のキャラクターたちを、ダンジョンと街を往復させて最強レベルに鍛え上げ、最終的にラスボスと対決することを目指す」というタイプの大河ストーリーではなく、おつかいクエストの一つを延々プレイする、という雰囲気です。


結末

 封印されていたラスボスSetmothを倒せば勝利。ただし、Setmothは世界を支配しようとした大魔王という訳ではないので、タイタスたちはある一つの仕事を達成したにすぎません……


コメント

 テーブルトークRPGTRPG)のシナリオの一つをコンピューターゲーム化した、という感じのゲームです。TRPGではこういう「冒険者が誰かから依頼を受け、パーティーでダンジョンに潜り、ボスを倒して任務達成、金と経験値を手に入れた」というタイプのシナリオは良く有るタイプですが、それをコンピューター上で再現した、という事ですね。

 TRPGだと思えば、ビジュアル情報が極端に少なく、状況は延々と言葉で説明され、行動も言葉で指示する、というスタイルなのはごく当たり前です。実際、ゲームブックTRPG雑誌の「ウォーロック」の初期の号でこのゲームが紹介されていたのですが(筆者は安田均先生だった気がする)、それも納得です。自動化されたTRPGゲームブックというノリですもんね。

 ただ……、TRPG文化が根付いていた本家アメリカではこの作品はそれなりに好評で、D&Dのサポート雑誌では満点を取っていましたが、日本語版は全く話題にならないまま終わりました……、まあ徹底的にビジュアルを排して文字だけで押してくるCRPGなんてものは、マニア向けでしかないですよね……


参考

The CRPG Addict: Game 272: Quarterstaff (1987)
http://crpgaddict.blogspot.jp/2017/12/game-271-quarterstaff-1987.html

 
トンネルズ&トロールズ―ファンタジーRPGルールブック (現代教養文庫)