【映画】感想:映画「椿三十郎」(1962年:日本)

椿三十郎 [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム。2017年12月31日(日)

【※以下ネタバレ】
 

主演・三船敏郎、監督・黒澤明監督の傑作娯楽時代劇。正義感に燃え、次席家老の汚職を正すべく立ち上がった9人の若侍たちは、敵に囲まれてしまうが、偶然居合わせた浪人・椿三十郎の機転で難を逃れる。自分たちの甘さを後悔しながらも汚職を正そうと新たに誓う若侍たち。彼らを見捨てておけなくなった三十郎は、ともに巨悪に立ち向かうことになるが…。三船敏郎仲代達矢との決闘は映画史上の名場面としてあまりにも有名。

 

あらすじ

 とある藩には、藩の重臣たちの汚職を憂う九人の若侍たちがいた。九人は小屋に集まり状況報告をしていたが、若侍たちのリーダー格が叔父の城代家老へ直訴したものの、全く相手にされなかったと聞き、一行は憤る。だが、そのあと大目付・菊井を訪問したところ、好意的な反応だったとの話に大喜びする。

 ところが小屋には一人の浪人(三船敏郎)が居合わせており、浪人は大目付こそ怪しく、城代家老の方はまともな人物だろうという。さらに、直後、小屋の周囲に大目付の腹心・室戸半兵衛(仲代達矢)率いる兵たちが出現し、若侍たちは浪人の見方こそ正しかったと悟る。

 浪人は若侍たちを隠れさせた後、室戸の前で兵士たちを軽くあしらってみせる。室戸はその力量に感心し、浪人に自分を訪ねて来いと言い、そのまま兵たちと共に立ち去る。

 浪人は若侍たちの行動の危なっかしさを見て、なりゆきで力を貸すことになった。浪人「椿三十郎」の指示の下、若侍たちは城代家老の妻と娘を救出し、さらに汚職重臣の一人の屋敷のま隣の家に潜伏する。大目付たち汚職重臣たちは、城代家老こそが汚職の首謀者だと領民たちに告知し、さらに若侍たちをいぶりだそうと策略を仕掛けるが、三十郎の活躍で若侍たちはなんとか危機を逃れる。

 三十郎は情報収集のため室戸を訪問するが、実は室戸は大目付への忠誠心など無く、城代家老を排除した後は、大目付たちも消し、自分と三十郎で藩を牛耳ろうと提案する。

 やがて偶然から、城代家老は若者たちの潜伏する屋敷のま隣に捕らわれていることが判明するが、屋敷は兵士たちによって厳重に警備されていた。三十郎は室戸に若侍たちが町から離れた場所にいたのを見た、という嘘情報を伝え、兵士たちは屋敷を出ていく。その隙に若侍たちが屋敷に乗り込み、城代家老を救出した。

 その後。事態解決を祝う祝宴が開かれるが、三十郎は姿を見せなかった。若侍たちは慌てて後を追いかけるが、三十郎と室戸が対峙している場面に出くわす。室戸は三十郎に決闘を挑むが斬り殺される。若侍たちが見守る中を、三十郎が歩き去るシーンで〆。

感想

 評価は○。

 前年(1961年)に公開された「用心棒」の続編的作品でしたが、今回見るまでその事を全然知りませんでした。三船敏郎って黒澤作品に出まくっているしね。

 ただ「続編的な映画」と言っても「用心棒」とはまるでノリが違い、「用心棒」の「バイオレンスな舞台設定、犬が人間のちぎれた手首をくわえているような殺伐とした雰囲気、三船が悪党たちを共倒れさせようと暗躍するサスペンス感満載のストーリー」といった要素は全て消え失せ、コントのような雰囲気の映画になっていて、その事に驚きました。


 理想には燃えているが現実の陰謀に対処する能力がほぼゼロの若侍たちを見て、三船が「まったく見ていられない」と手を貸すという始まり方はともかく、

・緊急事態にも拘わらずのんびりしたままの城代家老の妻
・押し入れに押し込められていて時々出てきて意見を言う元悪党側の侍
・しょっちゅう聞こえるウグイスの鳴き声

 など、陰謀劇が展開しているとは思えないのどかな空気が漂い、全体のノリは「世間知らずの若者たちが、ベテランの指導の元頑張る青春熱血コメディ」みたいなものでした。まあそれだけに、最後の最後になって、三船と仲代の決闘で、斬られた仲代が噴水みたいに血を吹き出すというシーンにはビックリしましたけどね。

 あと加山雄三が出ていたのには気が付きませんでした。平田昭彦は結構目立っていて、即気が付いたのですが……
 
 ということで「用心棒の続編」を期待してみると肩透かしでしょうが、全く別の映画として見ればそこそこ行けたと思います。
 
 

年越し映画マラソン 椿三十郎
BSプレミアム12月31日(日)午後5時21分~6時58分


【製作】
田中友幸
【製作・脚本】
菊島隆三
【監督・脚本】
黒澤明
【原作】
山本周五郎
【脚本】
小国英雄
【撮影】
小泉福造、斎藤孝
【音楽】
佐藤勝
【出演】
三船敏郎仲代達矢小林桂樹加山雄三、団令子、入江たか子志村喬  ほか


製作国:
日本
製作年:
1962
備考:
白黒/レターボックス・サイズ

 

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