感想:科学番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」第21回『幻の地震予知 日本を揺るがした大論争』

関東大震災を予知した二人の男 大森房吉と今村明恒

フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 http://www4.nhk.or.jp/P3442/
放送 NHK BSプレミアム(毎月最終木曜日 22:00~23:00 放送)。

【※以下ネタバレ】
 
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「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」内容・感想まとめ

 

第21回 『Case21 幻の地震予知 日本を揺るがした大論争』 (2018年2月22日(木)放送)

 

内容

2月22日木曜
NHKBSプレミアム 午後10時00分~ 午後11時00分
フランケンシュタインの誘惑「幻の地震“予知” 日本を揺るがした大論争」


科学史に埋もれた闇の事件に光を当てる知的エンターテインメント。今回は、地震列島の日本にとって長年の悲願だった地震“予知”を巡る大論争の闇!大震災は防げなかった!


科学史に埋もれた闇の事件簿。今回は地震列島の日本にとって長年の悲願だった、地震“予知”を巡る大論争!今から100年あまり前、日本が世界最先端を行くと言われた地震学のれい明期に、“予知”を巡って大論争を繰り広げた二人の科学者がいた。東京帝国大学教授・大森房吉と、万年助教授の今村明恒。論争が続くなか日本の地震学は世界に後れを取り、防災の備えのないまま関東大震災が発生してしまう。地震“予知”の闇に迫る!


【ナビゲーター/ナレーション】吉川晃司,【出演】総合研究大学院大学名誉教授…池内了,名大地震火山防災研究センター教授…山岡耕春,【司会】武内陶子

 
 今回は日本の地震学について。


地震学の第一人者,大森房吉

 地震学は明治日本で誕生した学問で、19世紀後半日本は地震学の最先端を行っていた。その頃の第一人者が大森房吉(1868~1923)。大森の功績は数知れず、

「大森式長周期地震計」現在の震度計の元となった画期的な地震
「余震の大森公式」地震発生後の余震の数を予測する式
「大森の絶対震度階」 地震の揺れを七段階で表す方法。
「大森公式」初期微動の継続時間を元に震源地までの距離を割り出す式

など、現在も使われているものの原型は100年前に大森が作ったものだった。



●今村明恒、東京の大地震を警告

 今村明恒(1870~1948)は大森の二歳後輩。大森が教授なので、その部下としてずっと助教授のままだった。大森はある場所で地震が発生すれば同じ場所には二度と起きないと考えたが、今村は過去の資料を調べて反発し、東京には100年の一度の周期で地震が起きると主張、雑誌で防災の重要性を説いた。

 ところがその記事が新聞でセンセーショナルに取り上げられてしまい、今村は社会不安を抑えるために真っ向からこの説を否定してしまったので、大森はほら吹き扱いされた。



関東大震災

 1906年にサンフランシスコ大地震が発生し、アメリカは地震研究に力を入れ始めた。そして1911年にハリー・リードは地震の原因は地層のズレが原因という「弾性反発説」を提唱した。

 一方大森と今村は地震予知の研究を続けていた。大森は、地震の発生は天候が関係していると考え、それを「副因」と呼んで、月の位置・季節・天候・潮の満ち引きなどを調べていったが、あまりに多すぎて大森自身にも訳が分からなくなっていった。一方、今村は過去の地震の資料から、大地震の前の「前震」が発生していることを知ったが、前震の起きていない地震も有り、今村にもよく解らなかった。

 その後も、事あるごとに、(政府寄りの立場から)地震はおきないと断言する大森と、起きるかもと主張する今村は激しく対立した。

 1923年9月1日、関東大震災が発生した。当日海外にいた大森は急遽帰国するが、脳腫瘍を患っており、自分の責任を悔いる言葉を残して11月に亡くなった。享年55歳。



●新しい地震

 同年、今村が大森の後任として教授になるが、この頃物理学の大物・長岡半太郎は、統計を元に地震予知を研究するスタイルは幼稚だと批判した。長岡は予知のよりも前に、地震の発生メカニズムを解明するなど、ゼロからの再出発を主張し、また寺田寅彦はそもそも地震予知は原理的に不可能であるとした。

 1925年には物理学者主導で地震学研究所が設立され、統計に頼る今村は過去の人となった。それでも今村は過去の地震の資料から、今度は南海地震が起きると踏んで、1928年から私費で観測を始めた。その後太平洋戦争で観測が中断したものの、今村はその後も研究を続けるように遺言を残し1948年亡くなった。享年79歳。



地震は予知できない

 1960年代になると、かつて今村が構想した「日本全国に観測施設を作ることで地震を予知する」という研究がスタートし、大量の予算が投入された。しかし1995年の阪神・淡路大震災も2011年の東日本大震災も予知することはできなかった。2017年、国は地震予知は不可能であると認めた。


感想

 今回はタイトルとあらすじに偽りありと言いますか、別に大森と今村の二人の論争が何かを引き起こした(日本の地震研究を駄目にしたとか)訳でもないので、センセーショナルさが無くてちょっと拍子抜けでしたな。

 そして……、衝撃の次回予告がぁぁぁぁ、次回がなんと最終回ぃぃぃ! なんてこったい!
 
 

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