【科学】感想:NHK番組「ダイアモンド博士の“ヒトの秘密”」第10回「集団虐殺(ジェノサイド)はなくせるのか」

若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来

ダイアモンド博士の“ヒトの秘密” http://www4.nhk.or.jp/diamond-hakushi/
放送 NHK Eテレ。全12回。金曜22:00~22:30。

【※以下ネタバレ】
 

世界的ベストセラー『銃・病原菌・鉄』で知られる進化生物学者ジャレド・ダイアモンド博士が、アメリカ・ロサンゼルスで、若者向けに行った特別授業を12回にわたって放送。ヒトと動物の違いと共通点に注目し、言語やアートの本質、夫婦の不思議、そして、なぜ人間の間で格差が拡がってしまったのかを考える事によって、環境破壊や、戦争と大量虐殺など人間が抱えている問題について、解き明かしていく。

 

第10回 集団虐殺(ジェノサイド)はなくせるのか (2018年3月9日(金)放送)

 

内容

3月9日金曜
NHKEテレ1 午後10時03分~ 午後10時32分
ダイアモンド博士の“ヒトの秘密” 第10回「集団虐殺はなくせるのか」


ダイアモンド博士は、「銃・病原菌・鉄」でピュリッツァー賞を受賞した進化生物学者。人間の進化によって現代社会を考察する博士の特別授業を12回にわたって放送。


第10回のテーマは、戦争と集団虐殺(ジェノサイド)。同じ種である人間を抹殺しようとするこの残虐な行為。これは人間が動物から進化する中で引き継いできたものではないか、とダイアモンド博士は考える。人間同士の争い。ヒトの歴史の中で繰り返されてきたこの行為を無くすことはできないのか?博士が進化をキーワードに、集団虐殺(ジェノサイド)の本質に迫る。


【出演】進化生物学者…ジャレド・ダイアモンド,【声】糸博

 
●集団虐殺(ジェノサイド)とは

 集団虐殺(ジェノサイド)とは、特定グループの抹殺のため殺害または迫害すること。ナチスドイツのユダヤ人虐殺、オスマン帝国アルメニア人虐殺、ルワンダボスニア紛争、など、20世紀以降でもジェノサイドは繰り返されてきた。


●動物にもある集団虐殺

 動物を観察すると、チンパンジー、ライオン、ハイエナ、果てはアリまでも他グループを虐殺していることが解る。人間のジェノサイドは動物から引き継がれた本能的なもの。


●集団虐殺の対象

 ジェノサイドの対象は、異なる宗教の信者、異なる民族、異なる政治理念の持ち主、など。南米チリの軍事政権による左派虐殺、ポルポトによる知識人虐殺、など。


●未来に希望はあるか

 しかし、実は伝統社会より現代国家の方が虐殺や戦争による死者の割合は低い。絶対数は増えているが、人口に対する割合は低下している。その理由は以下。


中央政府

 政府間で休戦が結ばれれば殺し合いは終わる。伝統社会では中央政府が無いので、虐殺がいつまでも終わらない


・モラルの存在

 現代国家の国民は殺人をするなというモラルが存在する。伝統社会にはそれが無い。


グローバル化

 グローバル化により、現代人は他の国の人間もきちんと「人間」として意識するようになった。他国人は人ではなく害虫みたいな物で殺しても問題なし、という発想が無くなった。


 例え現代に殺し合いが続いているとしても、人口に対する死者の割合は少しずつ減っている。未来に希望を抱いても良いのかもしれない。

感想

 前回のエイリアンネタから一転して重い話題となりました。本当に現代の人類は進歩しているのだろうか……
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「ダイアモンド博士の“ヒトの秘密”」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
 
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)