【深読み読書会】感想:NHK番組「シリーズ深読み読書会」『戦後最大の問題作!? 小松左京「日本沈没」』

日本沈没 上 (カッパ・ノベルス)

シリーズ 深読み読書会 http://www4.nhk.or.jp/P4207/
放送 NHK BSプレミアム。2018年3月17日(土) 22:00~23:00。

【※以下ネタバレ】
 

シリーズ深読み読書会「小松左京日本沈没”~戦後最大の問題作!?」
[BSプレミアム] 2018年3月17日(土) 午後10:00~午後11:00(60分)


70年代最大のベストセラー「日本沈没」。その後の震災をも予告するSF小説に、小松左京はどんな思いをこめたのか?様々なジャンルの“文学探偵”たちが徹底的に読み解く


必読の作家・作品の魅力に迫る文学エンターテインメント。今回は1970年代最大のベストセラー、小松左京の「日本沈没」。日本列島が沈むという荒唐無稽ともいえる物語に、読者を引き込んだリアリティーとは?小松の本当のテーマは「太平洋戦争」、中でも“一億総玉砕”を描こうとした?島田雅彦(作家)や片山杜秀(音楽評論家)など“文学探偵”たちが、“秘密の読書会”を開催して徹底分析。「小松左京ワールド」を解き明かす


【出演】渡辺真理,橋本麻里,島田雅彦瀬名秀明片山杜秀,【朗読】松尾剛

 

内容

 お題となった一冊の本を、集まった「文学探偵」たちが色々と読み解いていくという趣旨の番組。今回は第13回。

参加者は
瀬名秀明 … 作家
橋本麻里 … 美術ライター
片山杜秀 … 評論家
島田雅彦 … 作家
渡辺真理フリーアナウンサー

 作品の内容を、イラストをふんだんに使いながら完全ネタバレで紹介しつつ、その内容に「文学探偵」たちが色々と考察したり意見を述べていく、という構成。


小松左京が1973年に発表したSF小説日本沈没」。300万部のベストセラーとなり、映画版・ドラマ版・漫画版も全て大ヒット。

・内容は、ダンテの「神曲」を思わせる。最初に潜水艇日本海溝に潜るところが、「神曲」で地獄に向かうところと似ているような。

・戦中派の小松左京は、1963年に出た林房雄の「大東亜戦争肯定論」以降、戦争を肯定的にカッコよくとらえる風潮が気に食わず、本当に日本人は全員一億玉砕する覚悟があったのか? 一度やってみたらどうか? と考えて、SFの中で日本を滅ぼしてみることにした。

・実は1973年に出版したのは「第一部」に過ぎず、小松自身はタイトルに「第一部」とつけることを望んでいたが、編集者はただでさえ長すぎて売れそうにないのに「第一部」とかつけたらますます売れなくなる、と反対。仕方なく小松は、タイトルについては妥協し、作品の最後に「第一部完」と書くだけに留めた。

・小松はすぐさま続編を書こうとしたが、なかなか書けないまま時が流れてしまった。というのは第一部で日本人が7000万人も助かってしまったので、その後をどうして良いのか小松にも思いつかなかったから。結局、その後に他の作家(=谷公州)との合作の形で第二部を書いたが、それが小松自身に満足のいくものだったのかどうか?
 
 

感想

 NHKが定期的に放送している「深読み読書会」の新作。今回のお題は懐かしの「日本沈没」(1973年発売)です。発売当時は、日本が公害まみれでこのままで地球は大丈夫なのか?という不安だらけの現実に加え、ノストラダムスとかの終末ネタも「流行」と言うより「平常運転」だった時代。それだけに、「日本が僅か二年で消え去ってしまう」という内容が世の中の雰囲気にマッチングして大ヒットいたしまして、という事で、なんとも思い出深い作品です。ラジオドラマ版も良かったな。

(だからリメイク版の映画の内容は許せない……)


 今回も「文学探偵」たちが、小説を朗読しては、この部分はああだこうだと、適当に(?)思いついたことをしゃべり倒しているだけの内容でしたが、まあ「原作の内容をイラスト付きで紹介してくれる番組に、おまけでよく解らんトークが付いてきた」程度に捉えればそこそこ楽しめました。

 
 そうか、あの第二部は最初からの構想としてあったのか……、第一部に比べて知名度は天地の差ですけどね…… 知らない人の方が多いんじゃないの? というか私も読んだこと無いし興味ないけど。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ深読み読書会」内容まとめ

perry-r.hatenablog.com

 
 
日本沈没 下 (カッパ・ノベルス)
日本沈没 第二部〈上〉 (小学館文庫)
日本沈没 第二部〈下〉 (小学館文庫)
【東宝特撮Blu-rayセレクション】 日本沈没