感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第138話(シーズン6 第11話)「マスコミの裏の顔を暴け」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第138話 マスコミの裏の顔を暴け The Visitors (シーズン6 第11話)

 

あらすじ

マスコミ界の大物として君臨する男は、実は犯罪組織に操られていた。フェルプス(ピーター・グレイブス)らは彼が病気に侵されていると信じ込ませ、宇宙の神秘を教えると伝え、有権者に事実を知らせるように仕向ける。

※DVD版のタイトルは「巨大シンジケートをたたきつぶせ!」。


【今回の指令】
 マスコミ界で強大な勢力を誇るエドワード・グレンジャー(Edward Granger)は、実はシンジケートの手先であり、過去10年間シンジケートと関わりのある政治家を支援してきた。さらに三日後に迫った選挙でも、同様にグレンジャーが支援する、シンジケートの手先である候補者が多数当選すると予想される。IMFは選挙までに有権者に事実を知らせなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。グレンジャーの屋敷に記者が現れ、議員たちとシンジケートの繋がりを掴んだと報告する。グレンジャーは記者には全力で支援すると言うが、すぐに部下に命じて資料もろとも爆殺させる。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFは、グレンジャーが25年前、当時の恋人と共に謎の光を目撃して神秘体験をして以来、UFO信奉者になっていることを利用する計画を立てる。

 バーニーは前科者という設定でグレンジャーの屋敷の運転手として入り込み、特殊な薬を仕込んだ蜂を放ってグレンジャーを刺させる。グレンジャーは倒れ、意識が有るが身動きできない状態になる。

 夜、ウィリーはグレンジャー邸の周辺数十キロに妨害電波を流し、同時にテープレコーダーと電話を組み合わせた機械で、複数の人間の声で警察などに「UFOを目撃した」という電話をかける。ケイシーはグレンジャーの25年前の恋人に変装し、フェルプスと共にグレンジャーの屋敷に忍び込む。そして二人はスモークや光の演出の後に医者と名乗って登場し、グレンジャーを治療するとすぐに立ち去る。

 翌朝。回復したグレンジャーは、昨晩のUFO騒ぎを知り、フェルプスとケイシーはUFOの乗員だと信じ込む。直後ケイシーが現れ、グレンジャーは白血病だが、宇宙の神秘の力で永遠の命を与えよう、と持ち掛ける。グレンジャーは信じずケイシーを追い出すが、直後にIMFのニセ情報で自分が本当に白血病だと信じ込まされ、愕然となる。

 そこにフェルプスが現れケイシーを探しているというので、グレンジャーはフェルプスを車に乗せてケイシーを追いかける。ケイシーはグレンジャーの部下に追われていたが、車ごとがけ下に転落したふりをして、相手を誤魔化す。グレンジャーは倒れているケイシーが老婆の顔なのに驚くが、フェルプスが基地に連れて帰り、カプセルに入れて治療すると、すぐに若返る。

 グレンジャーは、フェルプスに、このままでは白血病で死ぬのでカプセルに入れて永遠の命をくれと懇願するが、フェルプスは25年前に選んでやったのに信頼を裏切ったから駄目だと突き放す。グレンジャーは、自分の所有しているラジオで世間に真実を話して償いをする、と言い出し、生放送でシンジケートと関係のある候補者名を暴露する。しかし、グレンジャーが話し終えた時にはフェルプスたちは立ち去っており、そこにシンジケートの刺客が来てグレンジャーを銃撃する。瀕死のグレンジャーが必死にカプセルに手を伸ばすシーンで〆。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ハロルド・リビングストン


感想

 評価は○。

 今回の話は、なんとIMFが宇宙から来た異星人に扮して相手を騙す、という愉快系のエピソードで、満足度はまずまずだった。

 スパイ大作戦では、IMFは時折、常識外れの設定の大芝居を仕掛けることが有り、過去にも「第三次世界大戦の勃発」「幽霊の出現」「超能力の発現」「時空間の巻き戻り」といった奇想天外なシチュエーションで相手を騙してきた。今回はその類の超常系の設定で、ターゲットがUFO信奉者であることを利用し、自分たちが宇宙からやって来た異星人としてふるまい、相手を引っ掛ける、という捧腹絶倒のシチュエーションで、つい笑ってしまった。

 異星人という設定を信じ込ませる細工は、真相を知っている視聴者視点で見るととにかくおかしく、例えば、フェルプスとケイシーがグレンジャーの屋敷に現れる場面では、バーニーが窓の外にスモーク発生装置を取り付けて、もくもく煙を発生させた後、さらにライトで窓を照らして、いかにも空から何かがやって来たかのように偽装する、というあたりがもうたまらなく笑えてしまった。

 その直後、ケイシーとフェルプスが部屋に現れるが、二人とも上着もシャツもズボンも靴も全部真っ白という格好をしていて、いわゆる「ブラックメン」の逆パターンで異様さを醸し出しているうえ、診察する機械はオレンジや青などの妙な光を発するし、注射器も変な水鉄砲みたいな形をしているし、と、わざと安っぽいSFドラマ風なことをしているのが、視聴者として苦笑しきりだった。

 そのあとも、25年前からまるで老けてない設定のケイシーが、しわだらけのマスクを被って老婆化してグレンジャーの度肝を抜いた後、カプセルの中に入り、フェルプスが妙なダイヤルをいじりまわすと、スモークが充満するとともにケイシーがミイラ化した後、若返る、とかいう手品まがいのことをやってみせるシーンに大うけしてしまった。世の中の怪しげな宗教団体も、多分似たようなことをやって信者を騙しているのではなかろうか。

 最後、グレンジャーが死の恐怖と、その反対の永遠の命というエサにつられて、IMFの思惑通り、シンジケートの息のかかった候補者について暴露する、というあたりの展開が最高に愉快だった。しかしグレンジャーが気が付くとフェルプスたちは姿を消しており、狼狽するグレンジャーは永遠の命の代わりに銃弾を浴びせられる、という皮肉なオチとなる。床をはいずるグレンジャーが必死でカプセルのダイヤルに手を伸ばしたところで〆、という演出が実に印象的だった。

 まあ、IMFが宇宙人というトンデモ設定を持ち出しての大芝居をしたわりには、期待していたような強烈な痛快さは得られなかったので、やや物足りなくはあったが、シナリオの評価としてはまずまず悪くない、というレベルであった。


 今回のサブタイトルの原題「The Visitors」は、直訳すれば「訪問者」だが、もちろん「≪宇宙からの≫訪問者」、つまり「宇宙人」の事を意味している。内容にぴったり合った好タイトルといえよう。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがどこかの部屋に立っており、机の上のオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れてテープを再生して指令を聞きつつ、手に持っている大きめの封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。マスコミ界に君臨し、比類なき勢力を誇っているエドワード・グレンジャーは、実は強大なシンジケートによって支配されている傀儡に過ぎない。過去十年間、グレンジャーはシンジケートの推薦する政治家を支持し、その擁護に務めてきた。来たる選挙では、シンジケートの公認候補者たちが、グレンジャーの支配する州で多数当選し、揺るぎなき地下帝国を築くと予想される。

 そこで君の使命だが、72時間後に迫った選挙に先立ち、有権者たちに事実を知らしめることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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