感想:アニメ「りゅうおうのおしごと!」第12話(最終回)「最後の審判」


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TVsアニメ「りゅうおうのおしごと!」公式サイト http://www.ryuoh-anime.com/index.html
放送 BSフジ。全12話。

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) 『第十二局 最後の審判』 (2018年3月26日(月)深夜放送)

 

あらすじ

 竜王戦第四局が開始され、八一と名人が相譲らぬ展開となった。そして対局二日目、八一が千日手四回目、名人が打ち歩詰め、という両者とも反則状態となったため、この対局は無効となり、改めて指しなおすことになった。八一は名人との対局によって実力が引き上げられる形となり、ついに四局目にして初勝利を収める。

 その後。八一は怒涛の四連勝で名人を退け龍王のタイトルを防衛した。最後、八一たちが桜の下にお花見のために集まるシーンで〆。

感想

 なるほど、アニメが原作の途中の展開をはしょってまで、この対決をラストに持ってきたかったのは解ると言えば解るよなぁ。将棋の対決だから動的なシーンが何もないのに、台詞だけで熱い戦いを演出していてなかかな燃えました。

 それにしても名人の顔を描かないのは、実在の棋士にでも遠慮しているのかと思っていたら、「八一が今回初めて名人の顔をまともに見たような気分」という演出のためだったのか……
 
 

総括

 評価は○(まずまず面白かった)。

 先行して漫画版を読んでいてなかなか気に入っていたので、アニメも楽しみにしていていて、実際の内容も「絵良し」「声優もよし」「雰囲気もイメージ通り」と、ほとんどの部分は満足だったのですが……、ただ一つ予想外だったのは、信じられないくらいの早回し展開で、ほとんど原作のダイジェストみたいな映像化だったことでした……


 『棋士・九頭竜八一は、16歳で史上最年少の竜王というタイトルの保持者となっていた。そんな八一の元に、いきなり小学生女子・雛鶴あいが現れ、弟子にしてくれと頼み込んでくる。八一はあいの底知れぬ才能に驚かされ、仮という形で内弟子にすることにしたが……』


 原作は「棋士」というちょっと馴染の無い世界を舞台にしつつも、美人中学生棋士と天才女子小学生と八一の三角関係(※途中でJSがもう一人参加するけど)という王道ラブコメ要素も満載で、JCとJSの恋のさや当てとかがニヤニヤしながら楽しめる作品なのですが、残念なことにアニメはそういう要素を殆どカットした淡白な内容になってしまっていました。なんてこったい。

 原因は、一言でいえば詰め込み過ぎです。原作小説は5巻のラスト(名人相手の防衛戦)がストーリー上の大きな区切りになっているので、アニメはキリ良くそこまで進めるため「原作小説5巻分の内容を全12話に詰め込む」という荒業を敢行してしまいました。

 過去のアニメ化されたラノベの例から考えると、「原作小説1冊分」は「30分アニメ×4話分」という配分が理想のペースです。しかし本アニメは、前述の通り1クールで5冊の内容をこなそうとしたため、極めて余裕の無い作りとなってしまい、「ストーリーの中で絶対省けないイベント」のみを抽出し、ラブコメ的な展開やキャラクターたちの面白いセリフの掛け合いのような部分はバサバサとカットしまくっています。私は漫画版でしかフォローしていませんが、原作派の人の話を聞くと、原作に有った相当なシーンを削っている模様です。

 おかげで、アニメは毎回妙に急き立てられるような慌ただしいペースで進み、そのため「毎回が総集編/ダイジェスト版」のような、なんとも残念な出来になってしまっていました。


 原作はかなり好評で売れまくっているらしいし、ストーリーは漫画版を追っているだけでも面白いくらいのクオリティで、アニメが「勝つ」見込みは十分だったうえに、何より今年はリアルの将棋世界で中学生棋士が大旋風を巻き起こしており、その追い風に乗って作品が大ヒットする可能性は十分に有りました。

 しかし結果は、原作をつまみ食いしたような中途半端なアニメ化により「悪くないね」程度で終わってしまって……、本当にもったいなかった。

 辛口の評価はしていますが、「それなりに良く出来たアニメ」だったことも間違いありません。ということは、全1クールでは無く、倍の2クールの枠を確保し、展開に余裕の有る作品作りをしていれば、本作は後世に語り継がれる傑作になったかもしれないのに……、尺の確保をミスしたために、「毎クール消費され、そのまま忘れられていく作品」の一つになってしまったのが、あまりに惜しくて仕方ありません。

 ホント、こんなに「もっと上手くやっていれば……」と悔しくなるアニメもなかなかないですよ……、残念。
 
 
TVアニメ『りゅうおうのおしごと! 』オリジナル・サウンドトラック
 
 

りゅうおうのおしごと!


玄関を開けるとJSがいた―――「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」。16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。九歳。「え?、・・・弟子?え?」「・・・おぼえてません?」。覚えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。ストレートなあいの情熱に、八一も失いかけていた熱いモノを取り戻していくのだった。


制作会社
project No.9


スタッフ情報
【原作】白鳥士郎(「GA文庫SBクリエイティブ刊)
【監督】柳伸亮
【シリーズ構成】志茂文彦
【キャラクターデザイン】矢野茜
美術監督】里見篤
【撮影監督】川田哲也
【音響監督】本山哲
【音響制作】マジックカプセル
【音楽】川井憲次


音楽
【OP】Machico「コレカラ」
【ED】伊藤美来「守りたいもののために」


キャスト
九頭竜八一:内田雄馬
雛鶴あい:日高里菜
夜叉神天衣:佐倉綾音
空銀子:金元寿子
清滝桂香:茅野愛衣
水越澪:久保ユリカ
貞任綾乃:橋本ちなみ
シャルロット・イゾアール:小倉唯

 
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