感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第147話(シーズン6 第20話)「一千万ドルの拷問」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第147話 一千万ドルの拷問 Double Dead (シーズン6 第20話)

 

あらすじ

ハワイでヤミ金融を営む2人は、その利益一千万ドルをシンジケートに渡し、他の島々へのさらなる勢力拡大を目論んでいる。IMFはそれを阻止すべくその資金を盗み出そうと潜入するが、ウィリー(ピーター・ルーパス)が捕まってしまう。自白剤を打たれ衰弱していく彼の前に現れた女性。それは…。

 
【今回の指令】
 ハワイで不正金融を営むオリー・シャンクス(Ollie Shanks)とルディ・ブレイク(Rudy Blake)は、利益の1000万ドルを本土のシンジケートに渡す予定であり、それによりシンジケートは組織をハワイに拡大するつもりである。IMFはこの目論みを阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:スティーブ


【作戦の舞台】
 アメリカ国内・ハワイ

【作戦】
 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ウィリーは警備員に変装してブレイクたちのオフィスに忍び込むが、隠し金庫から金を盗み出す前に見つかって捕まってしまう。ウィリーは自白剤を打たれ、命の危険に陥る。

 IMFは計画を立て直し、まずケイシーが観光客としてシャンクスに近づき、またスティーブは飛行機販売店の社員として、シャンクスが注文していた自家用機が届いたと連絡する。IMFは店に来たシャンクスに薬入りの酒を飲ませて眠らせた後、隠し金庫まで運び、シャンクスの掌紋を使ってロックを開き、1000万ドルを盗み出す。

 フェルプスは、本土のシンジケートの大物ボルトの使いのふりをして、ブレイクと接触する。またIMFはブレイクに、シャンクスは購入した自家用機で事故を起こして死んだと思い込ませる。フェルプスはブレイクに1000万ドルを見せるように要求するが、金庫を開けたブレイクは金が無くなっていることに驚く。フェルプスは、金庫の掌紋ロックを解除できるのはブレイクとシャンクスだけなので、実はシャンクスは生きていて金を盗んだに違いない、とブレイクに吹き込む。

 そのあと、ケイシーはシャンクスを目覚めさせ、ブレイクの部下に見つかるようにして自宅に戻らせる。ブレイクとフェルプスはシャンクスのところに押しかけ、金を返せと詰め寄る。シャンクスはこれはケイシーたちが仕組んだ罠だと反論し、フェルプスは、もしかすると金を盗んだのはシャンクスではなくブレイクの方かもしれないと言い出す。

 直後、バーニーが現れてフェルプスとケイシーを射殺したふりをしたあと、自分は本土のシンジケートの一員で、フェルプスとケイシーは警察のスパイだったと説明する。

 そこにさらに本土からやってきたボルトが現れたため、ブレイクとシャンクスは、捕まえた男(ウイリー)が金の在処を知っているはずだと言い、全員でウィリーの捕まっている場所に向かう。しかしウィリーは、境遇に同情した看護婦のペニョによって解放され、ウィリーはペニョを連れて逃げ出して仲間と合流する。最後にIMFメンバーとペニョが車で立ち去るシーンで〆。


監督: バリー・クレーン
原案: ジャクソン・ギリス
脚本: ジャクソン・ギリス&ローレンス・ヒース


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 珍しくアメリカ本土を離れてハワイに遠征したIMFが、地元の悪党を相手に作戦を展開するエピソード。いつも裏方のウィリーに少しだけスポットライトが当たる珍しい回だったが、クオリティはもう一つではあった。


 今回は冒頭の段階でウィリーが作戦に失敗して捕まってしまうため、これは第五シーズンに乱発された「IMFが仲間を助けるため奮闘するサスペンス系の駄作回」かと身構えてしまったが、それ以降は意外にも「ウィリー抜きで」普通にミッションを遂行するエピソードになってしまったので、拍子抜けしつつもそれなりには楽しめた。

 ウィリーが捕まった後は、IMFは作戦を立て直し、ターゲット二人組のうち、片方のシャンクスを眠らせておいてから飛行機事故で死んだように見せかけ、金を盗んだ罪をひっかぶせて相手方の内部対立を発生させる。この辺りはIMFが得意とするおなじみの手ではあるが、中々に面白かった。

 しかし、途中でフェルプス自身が「実は金を盗んだのはもう一人のブレイクの方では?」とか言い出し、そこにバーニーが現れてフェルプスとケイシーを射殺するふりをしたりすることで、視聴者にもIMFが話をどこに着地させるつもりなのか全く見えなくなってしまった。

 そのため、この辺りでは随分首をひねらされたが、そのあと現れたシンジケートの大物ボルトが登場すると、ブレイクとシャンクスは真相解明のためウィリーを尋問しようと言い出し、一行はウィリーの捕まっている場所に向かうことになる。IMFはこうしてウィリーの捕まっている場所へ相手に案内させることが出来たわけで、なかなかに上手い手ではあった。

 もっとも、そのあとバーニーは建物の中に入れなかったので、ウィリーがペニョの好意で自力脱出できなければIMFの計略は破綻するところだった。この辺りは、正直いってかなり行き当たりばったりな計画で、IMFの仕事にしては珍しく結果オーライ的な展開であった。フェルプスたちは建物の外で車を止めてじっと待っていたが、ウィリーが出てこなかったらどうするつもりだったのだろうか……

 さて、今回ウィリーに同情して助けてくれる看護師ペニョ(Penyo)は、演じたのは中国系女優アイリーン・ツーである。ということでアジア系のキャラクターという設定のはずだが、一体何国人の設定なのだろうか。こんな変わった名前のキャラクターは初めて出会ったので、物凄く気になるところではある。

 ラスト、IMFに金を持ち逃げされたブレイクとシャンクスに向かってボルトが「手遅れだ」と言って銃を突きつける。この後の二人の運命は語られないが、やはり「失敗は死」的なシンジケート流のルールで始末されてしまったのだろうか。


 今回のサブタイトルの原題「Double Dead」は、米語のスラングでも無さそうだが、今回の話で「二つの死」という展開も無かったので、全く意味が解らなかった。謎めいたサブタイトルである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが遊園地で鍵のかかったドアを開き、部屋に入る。そして机の下に置いてあった大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出し、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。ハワイにおいて不正金融を営み、その利益およそ一千万ドルをアメリカ本土のシンジケートに手渡そうとしているオリー・シャンクスとルディ・ブレークは、それによって、この太平洋上の一大観光地に、シンジケートの組織をさらに広げようという気構えをみせている。

 そこで君の使命だが、一千万ドルという資金を獲得することによって、ハワイへの新たな進出を企てている、このシンジケートの意図を粉砕すると共に、シャンクスとブレークの二人を再起不能に至らしめることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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