感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第149話(シーズン6最終話(第22話))「陸軍給与を奪回せよ!」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第149話 陸軍給与を奪回せよ! Trapped (シーズン6 第22話)(シーズン6最終話)

 

あらすじ

陸軍基地から給与の800万ドルが盗まれた。IMFは首謀者である犯罪一家の兄弟の不仲を利用し、奪還計画を進める。しかし作戦中にフェルプス(ピーター・グレイブス)が撃たれ、記憶喪失に…。

 
【今回の指令】
 東南アジアの陸軍基地から800万ドルの給与が盗まれ、現在アメリカに輸送中である。犯人は世界規模の密輸組織を仕切るスタフォード一家のジョー、アート、ダグ(Stafford family, Joe, Arthur, and Doug)と判明しているが、いつどうやって金を手に入れるのかは不明である。IMFは800万ドルを奪回しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。某東南アジアの国の陸軍基地で、兵士に変装した男たちが基地に入り込み、給与が入ったトラックを奪い逃走する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 スタフォード一家は家長のジョーの元で、息子の兄アートと弟ダグが幹部を務めているが、アートとダグは不仲で、IMFはそれを利用することを決める。

 ケイシーはダグが昔付き合っていた恋人に似た格好をして、ダグの行きつけのクラブにピアノの弾き語りとして雇われる。フェルプスとバーニーは、スタフォードの屋敷に乗りこみ、強引に自分たちの組織を密輸の仕事に噛ませろと要求してから立ち去る。

 その後フェルプスはダグだけをクラブに呼び出し、ダグが父と兄を排除してファミリーのボスになるのを支援するので、手を組もうと持ち掛けるが、ダグは拒否する。フェルプスはクラブを出たところで、アートの部下に襲撃され、命は助かるものの頭を強打して記憶喪失になる。

 ケイシーはクラブでダグを誘って自宅に連れていき、そこでダグに自分がアートの女であるように思い込ませる。怒ったアートは兄を殺す事を決め、バーニーのところに行き手を組もうというが、バーニーは兵隊を集めるには200万ドル必要だと要求する。ダグはバーニーと共に空港のコインロッカーに行き、運び屋が持ち込んだ800万ドル分のエメラルドを手に入れるが、待ち伏せていた政府の人間に逮捕される。さらにそこに来ていたアートも同様にIMFに捕まる。

 フェルプスは記憶喪失のままクラブのホステスのアパートに保護されていたが、そこにアートの差し向けた殺し屋が迫っていた。事情を知ったバーニーはフェルプスに電話をかけ、思い出すように言うと、フェルプスは記憶を取り戻し、入ってきた殺し屋二人を殴り倒す。最後アートとダグが連行されるシーンで〆。


監督: レスリー・H・マーティンソン
原案: リック・ハスキー
脚本: サム・ローカ&ジェームズ・ヘンダーソン


感想

 評価は△。

 今回はシーズン6の最終回だったが、有終の美を飾るどころか、極めて雑な内容で、失望甚だしいエピソードだった。さすがにシーズンの最後になるともう話を作るネタが切れてしまった、という感じが否めない。

 不満点は数多いが、まず冒頭に東南アジアのアメリカの陸軍基地から800万ドルが盗まれるものの、この「陸軍基地」も「800万ドル」も「東南アジア」もその後のストーリーに何の関係も無い、というのが最初の問題である。また密輸を仕事にしているギャング一家がわざわざ軍隊の基地に押し入って金を盗む必然性も感じられない。このように、スタート時点の設定とその後の展開が全く結びついていないのは困りものである。

 またIMFの作戦もかなり浅く、単に相手方の仲間割れを誘い、その勢いで金まで案内させるだけで、複雑な騙しというものは無く、あっさりしたものだった。一応話の筋は通ってはいるが、あまりにも作戦が簡単すぎて拍子抜けししてしまった。

 そして、その分尺が余ったのを補うためか、途中にフェルプスが襲撃されて記憶喪失になり、状況が解らないまま街をさまよう、というサスペンス展開が差し込まれるが、正直言ってスパイ大作戦にこういう展開は不要という気がする。内容を増やすなら、もっと巧妙で複雑な騙しの作戦の方に力を入れてほしかった。今回の様なエピソードを見ると、1時間かけて相手を引っ掛けて見事に指令内容を達成する、というシナリオを書くのがいかに難しいか伝わってきてしまう。

 あと、冒頭にIMFはスタフォード一家と接触するために、一家の義理の兄弟エド・フェントンが載っていたトラックを襲撃し、エドと運転手を拉致するのだが、以後この二人は二度と出てこない。こういうところも雑に過ぎるという感じである。

 ただ、記憶を失ったフェルプスが、見覚えのあるクラブにたどり着くと、ホステスにもうここから動きたくないと無理を言うシーンはちょっと感心した。実際の記憶喪失になった場合、あちこち動き回って記憶を取り戻そうとする、ということは無く、現実には部屋に引きこもって誰にも会わずひたすら情報収集を行う、というのが本当らしい。ということは、記憶を失って不安なフェルプスが、唯一記憶に残るクラブという手掛かりにしがみつくという展開は、偶然にせよそれなりにリアルっぽいという事になる。とは言え、電話でバーニーに呼び掛けられると、すぐさま記憶が戻ってしまうのはあまりにも都合がよすぎると言えよう。

 このように、今回は全体のクオリティが低めという評価に尽き、次の第7シーズンの作品の出来栄えに不安しか残らない最終回だった。


 今回のサブタイトルの原題「Trapped」は「わな」という意味だと推測されるが、IMFは毎回ターゲットにわなを仕掛けているので、今更という気がするサブタイトルである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが海辺の閉鎖された救命士詰め所に入り、鍵のかかったロッカーを開けて、大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。その後、フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。
(※第116話(シーズン5の第12話)「知りすぎた娘」のシーンの使いまわし、のはず)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。800万ドルにのぼる陸軍の給与が、東南アジアの某陸軍基地から盗まれ、現在合衆国への輸送途上にある。首謀者は、世界的規模の密輸組織を支配しているスタフォード一家、ジョー、アート、ダグの三名と判明しているが、その入手の時と方法が定かではない。

 そこで君の使命だが、その800万ドルを奪回することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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