【ゲーム】感想「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者」(1988年:任天堂)

ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 前編【ファミコン ディスクシステム】
 

ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者(前後編) | ニンテンドー3DS | 任天堂
https://www.nintendo.co.jp/titles/50010000013890
記憶を失った探偵助手が、遺産を巡る事件に挑む。
調査の先に待つ真実とは?


このソフトは、1988年に発売されたファミリーコンピュータディスクシステム用のアドベンチャーゲームです。 崖から滑り落ちて記憶を失ってしまった主人公。自分が探偵の助手で、財閥当主の不審死について調査中だったことをつきとめ、失われた記憶と事件の真相を知るために調査を再開します。コマンドを使い分け、さまざまな情報を集め、事件を解決に導きます。

【以下ネタバレ】
 
 

概要

 1988年に任天堂から発売されたファミコンアドベンチャーゲーム。主人公の少年が探偵役となり、資産家一家の連続怪死事件の謎を追うミステリー系のゲーム。当時の先端メディアだった「ディスクシステム」で前後編に分けて発売された。


あらすじ

 主人公の少年は崖下で意識を失っているところを発見され、目覚めるとそれまでの記憶を失っていることに気が付く。しかし、すぐに自分が「うつぎ探偵事務所」に所属する探偵助手で、ある依頼を受けて調査に携わっていた事を思い出す。

 その依頼とは、「りゅうじん村」の資産家「あやしろ家」の家長・キクが、遺言状を公開したその夜に心不全で死亡したことについてだった。キクの急死に事件性を感じたあやしろ家の執事が、真相解明のためうつぎ探偵事務所に調査を求めてきたのだった。主人公は関係者を調査してしていくが、やがてあやしろ家の一族が次々と死に見舞われていく……、という物。

 推理ミステリー要素に加え、村で語り継がれている「あやしろ家の当主が無念の死を遂げた場合、墓から蘇って恨みをはらす」という伝説がソフトなホラー風味を加味している。


ゲームジャンル/システムなど

 ゲームジャンルは「コマンド選択式AVG」で、移動先を指定した後、移動先で「聞く」「調べる」「取る」といったコマンドを選択することでストーリーを進めていく、ごくオーソドックスなシステム。セーブデータは一個しか保持できないが、アイテムの取り忘れで行き詰ってしまうような「詰み・ハマり」要素は無いため、特に問題はない。

 ただし、機械的にコマンドを選択していれば先に進めるわけではなく、頭を使う様にいくつかの工夫が凝らされている。まず第一が「取る」「調べる」コマンドで、オプションとして十字キーでカーソルを動かして画面上を指定する機能が有る。これは基本的には使うことは無いが、特定の場面では、キーとなるアイテムを正しく指定しない限り先に進めなくなる。また、場合によってはキーアイテムどころか、ストーリーの展開と全く関係の無さそうなアイテムがフラグに繋がっていたりすることも有るので、やや注意が必要である。

 第二がキーワード入力で、ストーリーの節目となる場面で、キーワードを日本語で入力させるようになっている。キーワードは頭をひねる必要は無く、ストーリーの中に出てきた単語をそのまま入力すれば良いだけだが、漫然とプレイしていると引っかかる可能性はある。

 第三が終盤の3Dダンジョンで、かなり前に手に入れた手掛かりを覚えていないと突破できない。手掛かりの内容をメモしていれば簡単だが、横着をしていたプレイヤーにとっては終盤で冷水を浴びせられたような気持になることだろう。

 メッセージの表示速度が遅くて瞬間表示できないため、繰り返してメッセージを確認するときにはかなりつらいが、当時はパソコンゲームでも似たような仕様だったことを思えば、問題と指摘するのはフェアではないかもしれない。


感想

 評価は○(並)。プレイ時間は10時間45分。

 1988年発売であることと、ファミコンというハードのゲームであることを考慮すれば、まあ悪くは無い内容ではあった。


 シナリオは、ファミコン用ゲーム、即ち小学生向けで有るにも拘わらず、意外と重目の、大人の雰囲気を漂わせた設定で、「探偵倶楽部」というタイトルから「少年探偵団」的な明朗快活な内容を想像していたので意表をつかれた。

 例えば、先代当主(キクの夫)が屋敷に愛人をかこっていて本妻のキクと一緒に住ませていて、キクが夫が死んだ途端愛人とその息子を屋敷から追い出したくだりなど、こんな話を小学生向けゲームで扱って良いのかと思わせられた。また駆け落ちしたユリとその夫に降りかかった悲劇もまた、小学生向けにしてはかなり暗い内容で、任天堂自身が作ったゲームでこんなシナリオを通していた事には驚かされる。


 シナリオ内容はそこそこには面白いが、ゲームのペース配分はあまり巧みではなく、面白い所とそうでない箇所の落差が非常に激しい。ストーリーを「序盤・中盤・終盤」の三段階に分けて考えた場合、「序盤」の展開はとにかく退屈の一言に尽きる。この時期は特にめぼしいイベントも発生しないまま、主人公が関係者の間をたらい回しにされるだけのため、時間稼ぎのための作業をやらされているという徒労感が強い。

 「中盤」に入ると、人死にも含めてイベントがテンポ良く発生するようになるが、発生する個々のイベントがぶつ切りでいつまで経っても話の全体像が見えてこないため、やがてこのゲームはどこを目指しているのか解らなくなってくる。

 「終盤」に入り、連続怪死事件が毒入りタバコによる殺人ではないかと推測したあたりから、ようやく面白さが出てきて、アキラの死体がキクの墓から見つかる仰天展開を皮切りに一気に加速し、主人公が実はユリの息子だと判明するあたりで頂点を迎える。そこまでは単なる少年探偵物で、主人公は探偵として事件を調べる第三者の立ち位置だと思い込ませておいて、実は主人公自身が探し求めていたユリの息子だったと明かして構図を一転させる展開にはゾクゾクさせられた。

 もっとも、シナリオはそこが頂点で、以後はやや探偵物という内容にそぐわない3Dダンジョン探索が出て来るし、ラストもそれまで出番の無かったあやしろかずとがいきなり登場して犯人を取り押さえてしまう。まあ少年探偵がナイフを持った大人に勝つのも無理が有るが、今まで姿を見せなかったかずとが犯人逮捕の手柄を持って行ってしまう展開もどうかという感じである。

 またラストで、主人公がかずとに後継者の証を渡すラストもあっさりしたもので、拍子抜けにも程があったし、さらに言えば、りゅうじん村の村人が噂していた「死んだキクが蘇って、復讐のため徘徊している」という怪談話も投げっぱなしのまま、何も説明されずに終わってしまうのも、無責任極まりないと言えよう。


 ということで、正直言って絶賛するには厳しい内容だったが、とりあえずコマンド選択式AVGとしてはそつのない作りだったこと、また主人公の意外な正体が明かされるどんでん返しの部分はそれなりに驚かされたこと、から、評価は「並」としたい。まあAVGに馴染みの無かった1988年の小学生にとっては衝撃的な内容だったろう作品ではあった。
 
 
ファミコン探偵倶楽部消えた後継者 後編 (わんぱっくコミック完ペキ本)