感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第152話(シーズン7 第3話)「駆け引き」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第152話 駆け引き The Deal (シーズン7 第3話)

 

あらすじ

500万ドルを収めた貸金庫の鍵を求めて、フェルプス(ピーター・グレイブス)とバーニー(グレッグ・モリス)は敵の船内を隈なく捜索する。一方最初に船に潜入したウイリー(ピーター・ルーパス)は、見つかり逃げる途中で肩を撃たれ負傷し海をさまよっていた…。


500万ドルを収めた貸金庫の鍵を求めて、フェルプス(ピーター・グレイブス)とバーニー(グレッグ・モリス)は敵の船内を、くまなく捜索する。一方、最初に船に潜入したウィリー(ピーター・ルーパス)は無線連絡しているところを見つかり、逃げる途中で肩を撃たれ負傷し海上をさまよっていた…。

※DVD版のタイトルは「国境を突破せよ!」。
 
 
【今回の指令】
 カマグワ共和国(Republic of Camagua)のオリバー・ハモンド将軍(General Oliver Hammond)は政権乗っ取りを計画しており、そのためアメリカのシンジケートから資金提供を受ける予定である。シンジケートのボス・ラーソン(John Larson)と、その部下ローガン(Charles Rogan)は、資金提供の見返りに、同国のギャンブルと売春を仕切るつもりである。現在ローガンは、資金500万ドルを収めた私設金庫の鍵を持ってカマグワに向かっている。IMFはこの鍵を奪い、将軍とシンジケートの計画を粉砕しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ウィリー、ミミ
 ゲスト:兵士役多数


【作戦の舞台】
 カマグワ共和国


【作戦】
 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ウィリーはラーソンの部下に化けてローガンの乗るボートに同行し、船内を捜索するものの鍵を見つけられない。さらに無線で連絡しているところを見つかってしまい、殺されそうになって海に飛び込むが撃たれてしまう。

 ウィリーの危機を知ったIMFは、まずバーニーが兵士に扮してローガンたちの船を拿捕し、用意していた基地へと連行する。IMFは船内をくまなく探すものの鍵が見つからないため、ローガンから鍵の在処を聞き出す他は無くなる。

 フェルプスは、ローガンたちにハモンド将軍はクーデターを計画していたことが発覚して既に逮捕されていると言い、お前たちも共犯だと認めろと脅す。そしてローガンの部下たちを次々と銃殺する芝居をして、ローガンを心理的に追いつめる。

 ミミは将軍の愛人という設定で牢に入れられているが、兵士(バーニー)の手引きで脱走するつもりというふりをする。それを知ったローガンはバーニーに話をして、脱走させてくれたら500万ドルから謝礼をすると言い、バーニーはそれを受け入れる。

 一方ハモンド将軍はいつまで経ってもローガンの船が来ないので、アメリカにいるラーソンに連絡し、ラーソンもカマグワにやってくる。ウィリーは海岸でハモンド将軍の部下に捕まり、ラーソンに対面させられて、正体不明の男という事がばれてしまう。ハモンド将軍は捜索隊を出し、船が近くの海岸に停泊していることを見つけて部下たちと出発する。

 バーニーはミミと一緒にローガンたちを脱走させた後、船に行き、ローガンに隠していた鍵を出させるが、それはプラスチック製の鍵のため金属探知機で発見できなかったと解る。バーニーはローガンを眠らせて鍵を奪う。最後IMFが脱出してきたウィリーと合流し、船で立ち去るシーンで〆。


監督: レスリー・H・マーティンソン
原案: ジョージ・F・スラビン
脚本: ジョージ・F・スラビン&ステファン・カンデル


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 レギュラーメンバー以外に多数の助っ人を動員した大掛かりな芝居を実行したり、ウィリーの危機が有ったり、と派手な割には淡白な内容で、ぎりぎり合格点というレベルの平凡なエピソードだった。

 今回はIMFの任務は珍しく海外が舞台となっている。かつて(1~5シーズン)のIMFは、海外に出向いてその国の機密を盗み出したり権力者を失脚させたりするのが主任務だったが、第6シーズンに入ってからは国内のシンジケートを相手にする司法のスペシャルチームみたいな存在に変化していたため、別の国が舞台になるというのはちょっと驚かされた。もっとも仕事の内容は、シンジケートの目論みを打ち砕くといういつもの物だったし、相手にしたのはアメリカ人ばかりだったので、今までの対シンジケート話の延長でしか無かったのも事実ではある。

 IMFの今回の作戦は、軍隊のふりをしてターゲットを捕まえて監禁し、軍事裁判にかけたという設定で相手を精神的に追い込み目的を達成する、という物。今までにも同工異曲のシチュエーションで何度もやって来たような作戦なのだが、今回はいくら上手く騙しても痛快さというものが感じられず、どうにも盛り上がらないシナリオだった。

 おかげで、最後にローガンから鍵を取り上げ、将軍やラーソンを海岸に置き去りにしたままIMFが悠々と立ち去る、という定番のシーンでもさっぱり満足感が無かった。過去の作品のシナリオと比較すると、視聴者を喜ばすツボとでもいうべきものを押さえ切れていなかったようである。

 今回面白いのは、助っ人メンバーのミミがフェルプスに「(不在の)ケイシーはいつヨーロッパから帰るの?」と質問し、フェルプスが「何時になるかな。かなり難しい任務だから相当かかるよ」云々と説明する会話が有る事である。実はケイシー役のリンダ・デイ・ジョージは、この話の撮影の頃は産休を取っていたのだが、「単身ヨーロッパで仕事中」という設定で不在を理由付けしている訳である。

 スパイ大作戦は、新メンバーの加入、作戦への参加・不参加、チームからの離脱、という「人事」については一切説明しないのが恒例だったのだが(例:IMFリーダーがブリッグスからフェルプスに変更した際ですら説明なし)、ケイシーに限ってはこのようにフォローが有るのは不思議である。

 今回の作戦で、矛盾という程でも無かったが、気になったのは、ローガンの部下二人を偽装銃殺する際、一人目はそっくりに変装した別人が引っ立てられて銃殺された演技をするが、二人目はそのまま問答無用で麻酔弾を撃ちこんでしまう、という様に扱いが違ったことである。

 IMFは偽装銃殺のためにわざわざ「麻酔と血のりをミックスした特殊弾」を用意しており、弾を撃ち込んだ瞬間本人はぐっすり眠ってしまい、はた目には血が噴き出たように見える、という仕掛けとなっている。だとすれば一人目も別に変装などしなくても、特殊弾を撃ち込めばそれで済んだと思うのだが……、単に制作側が変装マスクを使うシーンを見せたかった、という、身も蓋もない理由かもしれない…… ちなみに変装していたのは全く無名のキャラで、おかげでマスクを取って素顔を見せても何一つ面白さも無かった。

 今回は、IMFが貸金庫の鍵を探し回るものの見つからず、結局ローガンから種明かしをしてもらうことになるのだが、その答えが「プラスチックの鍵だから、金属探知機でも見つからなかった」というのは結構面白い。現実的に考えて貸金庫の鍵がプラスチック製などということが有りうるのかは解らないが、引っ張った末の謎解きがこれというのはちょっとひねっていて感心させられた。

 今回、ローガンたちが脱獄で出てくる脱出口は、シーズン6・第16話(第143話)「脱獄の果て」で脱獄シーンに使ったのとそっくり同じ場所である。脱獄ネタ繋がりで流用したのかもしれないが、いささか安直であろう。また、序盤にウィリーがローガンのボートから脱出して海を泳いでいるシーンで、一瞬画面の左端に物が写り込むのだが、これは明らかにこのシーンを撮影している船の一部である。こういうのは醒めるので、上手くカットしてほしかったところではある。

 今回のサブタイトルの原題「The Deal」とは「取引」といった意味。まあ、内容に沿っていなくもない単語ではある。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で駐車場の料金係(?)の前まで乗り付け、合言葉を言って紙袋を受け取ると、離れた場所まで車を移動させてから駐車する。そして紙袋の中からオープンリール式テープレコーダーと写真を取り出す。その後、フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。カマグワ共和国の高官オリバー・ハモンド将軍は、その地位を利用し、アメリカのシンジケートから資金を仰いで政権乗っ取りを企んでいる。一方シンジケートのボス・ラーソンとその腹心ローガンは、資金調達の見返りとして、カマグワにおけるギャンブルと売春を一手に仕切る腹である。目下ローガンが調達資金500万ドルを収めてある私設金庫の鍵を持って、ハモンド将軍の所へ向かおうとしているが、この鍵を奪えば、将軍とシンジケートの取引の証拠を掴み、彼らのカマグワ共和国乗っ取りの意図を粉砕することができる。

 そこで君の使命だが、その鍵を入手することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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