感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第154話(シーズン7 第5話)「細菌兵器漏出」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第154話 細菌兵器漏出 TOD-5 (シーズン7 第5話)

 

あらすじ

世界制覇を目論み細菌兵器を作っている科学者テロ組織の本拠地を付き止めるために、IMFはある小さな町が汚染されていると偽装。大勢の死者が発生したと見せかけて、科学者を追い込む。

※DVD版のタイトルは「細菌兵器TOD-5」。
 
 
【今回の指令】
 国立細菌研究所の研究員ポール・モース(Paul Morse)は、TOD-5(ティー・オー・ディー・ファイブ)という極秘細菌兵器を盗み出しており、それをアルファグループ(Alpha Group)なるテロリストたちに売りつけようとしている。アルファグループは、フローリー博士(Dr. Victor Flory)をリーダーとして、毒ガス・細菌兵器を使ってアメリカ、さらに世界制覇を目論んでいるらしい。しかし、アルファグループの本拠への手掛かりは、モースに接触してきた元諜報員ゴードン・ホルト(Gordon Holt)のみである。IMFアルファグループの野望を粉砕しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ウィリー、ミミ
 ゲスト:町の住民役多数


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。モースにホルトが接触し、翌日TOD-5を30万ドルで買い取るということで合意する。その後、ホルトがその事を本拠のフローリー博士に報告するが、一味のメンバーのデイビスが話を盗み聞きしている。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはモースを捕まえ、TOD-5を押収する。翌日ホルトがモースを訪ねてくるが、ホテルのフロントはモースなど知らないと言い、ホルトが調べても何の痕跡も残っていない。さらにホルトの車は突然故障して動かなくなり、町の外への電話も故障で出来なくなったと言われる。続いてホルトの目の前で全身がただれた男が倒れ、兵士(バーニー)たちが救急車で男を連れていく。

 ホルトは隠してあったモースの車を見つけ、車内にTOD-5のボンベを発見したので、車を盗んで町からを出ようとするが、唯一の街の出入り口の橋で保安官役のフェルプスが待ち構えており、道路工事で町から出られないと追い返される。ホルトはホテルのウェイトレス(ミミ)に、この町では伝染病が流行っていて軍隊が封鎖しているだろうと問い詰めると、ミミは肯定して病気で人がどんどん倒れていると答える。

 IMFはホテルに泊まっているホルトをこっそり眠らせ、偽の症状が出る薬を注射する。そのあと偽の基地におびき寄せ、バーニーはこの町に軍が研究していた細菌兵器が漏れてしまったが、治療薬は無いので助かるのは一万人に一人の免疫を持つ人間だけだろう、と脅す。

 ホルトは自分にも病気の症状が出たのでパニックになるが、ミミは何ともないと知り、彼女は免疫を持っていると信じ込む。やがてホルトを探しに来たフェルプスも目の前で病気で倒れて死んだため、フェルプスのパトカーを奪ってミミと二人で町を逃げ出し本拠に向かう。

 フェルプスたちはミミの持つ発信器の電波を追って尾行していたが、やがてTOD-5を横取りしようとするデイビスがホルトたちを襲い、ホルトはなんとか切り抜けるもののミミの発振器は壊れた上に流れ弾で負傷してしまう。フェルプスたちはデイビスを尋問して本拠地の場所を突き止める。

 ホルトは本拠地に帰り着き、フローリーたちにミミを調べて治療薬を作ってくれと頼む。そこにフェルプスたちが踏み込み、アルファグループを一網打尽にしてミミを救出する。最後は病院でミミとフェルプスたちが談笑しているシーンで〆。


監督: ルイス・アレン
脚本: ジェームズ・J・ブキャナン&ロナルド・オースチン


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 途中まではIMFが細菌兵器による伝染病パニックを演出して楽しませてくれるが、終盤は尻すぼみになってしまう、竜頭蛇尾となってしまった残念回。評価としては、最低ラインでのぎりぎりの合格点、というところだった。

 IMFの今回の作戦は、たった一人を騙すために、小さな町の住民を丸ごと入れ替えて細菌兵器による伝染病が蔓延していると信じ込ませる、というとてつもなく大掛かりな物。今までにもIMFは大規模な作戦を実施しているが、作戦に参加した人数では最高記録だと思われる。

 このエピソードは、作戦途中までは、IMF側の工作(車へ細工するところ、他)のシーンは描写せず、騙される側のホルトの視点のみで進むため、ホルトが町で様々な奇妙な体験をした挙句、伝染病の蔓延という『真実』にたどり着くさまが上手く描かれている。

 特に序盤に、ホルトがホテルのフロントに、モースなる人物は今まで宿泊したことが無い、と言われ困惑するシーンは、都市伝説で語られる「ホテルに体調の悪い母親とその娘が宿泊し、娘が医者を呼んでホテルに戻ってくると、母親など見たこともないと言われる」という話を連想させ、作戦の絶妙な幕開けとなっている。

 そのあとも、ホルトが突然自分の車が使えなくなったり、長距離電話が通じなくなったり、信頼できるはずの保安官の振る舞いがあからさまにおかしかったり、ウェイトレスが「軍隊に口止めされているけど……」とこっそり秘密を教えてくれたり、など、あたかもパニック物の一場面の様な展開が続き、この辺りは見ていて非常に楽しかった。

 そしてIMFがホルトに「ミミは免疫の持ち主なので基地に連れていくしかない」と信じ込ませる辺りまでは面白いのだが、そのあと町を出てからが突然話が雑になってしまうのはいただけない。アルファグループの中の裏切り者がホルトを襲撃してTOD-5のボンベを奪おうとして、ホルトとミミが危機に陥るだの、さらにミミが流れ弾で負傷した上に発信器が壊れてしまうだの、この辺りの展開は、正直危機感をあおるというより蛇足に思えて仕方が無かった。

 希望としては、IMFはラスト直前までホルトを町から出さず細菌兵器ネタで追い込んだ後、ホルトがまっすぐ基地に帰ったところでIMFと警官隊が踏み込んできて、テロリストは一網打尽になり、ホルトが呆然とした顔のまま捕まって〆、という展開の方がスパイ大作戦らしくて良かったと思う。作戦の発想が面白かっただけに、話を上手く畳めなかったのがとても残念である。


 本エピソードでもケイシー役のリンダ・デイ・ジョージは産休で不在だが、今回もメンバーがその辺りをフォローするシーンが有り、ウィリーが「ヨーロッパでもケイシーがアルファグループの動きを掴んだそうだけど」というと、フェルプスが「向こうにもグループの組織があるそうだよ。こっちで本部を叩き潰したら、それに呼応して向こうではケイシーが海外組織を一網打尽だ」と、ケイシー不在を自然に(?)説明している。


 今回のサブタイトルの原題「TOD-5」とは劇中に登場する細菌兵器の名前で、間違えようのない直球タイトルである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが鍵のかかった家に入り、レコードプレイヤーの蓋を開け、中から大きめの封筒を取り出す。その後、フェルプスはレコードを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このレコードは自動的に消滅する」と言い、レコードから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。国立細菌研究所の研究員ポール・モースは、TOD-5(ティー・オー・ディー・ファイブ)という極秘細菌兵器を、アルファグループと称するテロリストの一味に売り渡そうとしている。アルファグループは、フローリー博士を首領と仰ぎ、毒ガス及び細菌兵器の威力を背景にテロをもってアメリカを、そしてやがては世界制覇を、企んでいるものと思われる。しかし今のところ、モースに接触してきた元諜報員ゴードン・ホルト以外に、アルファグループの本拠への手がかりは全く無い。

 そこで君の使命だが、このアルファグループの野望を粉砕することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このレコードは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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