感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第159話(シーズン7 第10話)「水爆爆破予告」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第159話 水爆爆破予告 Ultimatum (シーズン7 第10話)

 

あらすじ

著名な原子物理学者のクーパー博士が、アメリカ大統領に脅迫状を送り付けた。大統領が2つの要求を叶えない限り国内に仕掛けた水爆を爆発させると言うのだ。IMFの説得でクーパーは水爆解除を指示するが、そこに彼の妻が現れる。

※DVD版のタイトルは「水爆仕掛人」。
 
 
【今回の指令】
 著名な原子物理学者ジェローム・クーパー博士(Dr. Jerome M. Cooper)が、大統領に手紙を送り付け、彼の要求を飲まない場合には、明日正午に国内某所に仕掛けた50メガトン水素爆弾を爆発させると脅迫してきた。その要求とは、リストに挙げた国会議員やFBI長官を解任し彼の望む人物と交代させること、外交政策を180度転換させること、の二つである。IMFは水爆の設置場所を突き止め、爆発を防がなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ウィリー、ミミ
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。クーパー博士が下水道の水爆にタイマーをセットする。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはクーパーが過去二か月太平洋岸しか訪れていないので、太平洋側のどこかの都市に爆弾が設置されていると見当をつける。

 大統領補佐官がクーパーに大統領が会うと言って呼び出し、クーパーの運転する車が荒地の真ん中のガソリンスタンドの側を通りがかったところで、ウィリーがリモコンで車を故障させ店に立ち寄らせる。続いてIMFはラジオで男女二人組の強盗が人を殺して逃亡中だという偽ニュースを流した後、フェルプスとミミがその強盗という設定で店に押し入ってきて、クーパーとウィリーに銃を突きつける。

 一方、クーパーの妻のアデールは、夫がなかなか帰ってこないので、監視の目を逃れて家から抜け出し、荒事専門のモーガンを呼び出して、夫を探すように頼む。

 クーパーはフェルプスたちに、大事な用事で電話させてくれと頼むが、フェルプスたちは笑って相手にしない。しかしその内、クーパーが本当に大物科学者だと知ったふりをして、金儲けできそうだから電話させてやると言う。クーパーは仲間の一人ロジャーに水爆のスイッチを止めるように連絡するが、ロジャーはビルから出た途端、待ち伏せしていたアデールに撃ち殺される。IMFはクーパーの電話先を調べ連絡先がロスアンゼルスのロジャーだと突き止めるが、駆け付けてみると殺されていたため、水爆がロスアンゼルスのどこかに有るとしか解らない。

 IMFはニュースでロジャーが死んだ事を知らせ、それを聞いたクーパーは自分が水爆を止めないと大変なことになるとフェルプスたちに言う。フェルプスは説得された振りをしてヘリを呼び寄せるが、そこにモーガンが現れフェルプスたちをクーパーもろとも殺そうとする。フェルプスたちはモーガンを取り押さえ、ヘリで水爆の設置場所に駆け付ける。

 地下ではアデールが待ち構えていて、フェルプスたちに発砲してくるが、フェルプスに撃たれてひるんだすきに、クーパーが水爆のタイマーを解除する。最後クーパーとアデールが警官たちに連れていかれるシーンで〆。

監督: バリー・クレーン
原案: シャール・ヘンドリックス&ハロルド・リビングストン
脚本: ハロルド・リビングストン


感想

 評価は(なんとか)○。

 単なるアクションドラマとして見ればそこそこの出来ではあったが、「スパイ大作戦」という番組のシナリオとしてはイマイチ番組に合っておらず、最初から最後まで微妙感が漂う内容だった。


 アメリカのどこかに水爆が仕掛けられ、15時間以内に発見して爆発を防がなければならない、という任務自体が、今一つスパイ大作戦のいつもの任務とはノリが違っていて、何か居心地が悪かった。フェルプス・ミミ・ウィリーの三人がグルになってクーパーに芝居を仕掛け、爆弾の場所を突き止めようとする、というあたりはまあいつものIMFの作戦と同じではあったが、爆発予定時刻が刻々と迫っている、というサスペンス要素は何か違う感が満載だった。

 また博士の妻アデールや、アデールに雇われたモーガンIMFのミッションを邪魔する、という展開も、視聴者に手に汗握らせるアクシデント要素ではあったが、やはりいつものスパイ大作戦らしさを失わせているように感じられた。大体フェルプスたちが謎の相手(モーガンやアデール)と派手に銃の撃ち合いをする、というのは、スパイ大作戦ファンが望んでいる展開とはかけ離れているのではなかろうか。
 
 やはりファンが望むのは、変装やら小道具やらで相手を巧みにだまして、スマートに任務を達成するIMFの活躍ぶりであり、今回の様な派手さは満載だが中身は薄い作戦は、見ていて歯ごたえが無くて不満が募った。

 そもそも、今回のシナリオは博士の妻アデールは何がしたかったのか全く説明が無いのが大いに問題である。アデールは雇ったモーガンにクーパーを殺させようとするし、自らは水爆を止めようとしたロジャーを射殺したうえ、クライマックスでは夫のクーパーすら撃ち殺そうとしている。

 まあ、シナリオライターの視点で考えれば、アデールはIMFの任務を邪魔してピンチを招くために用意されたキャラだと理解できるが、そうするとアデールは水爆が爆発して自分が死んでも構わなかったということになり、そんな行動に走った理由が全く分からない。シナリオライター氏は、そのあたりをもう少し考えて話を書いてほしかったところである。

 ということで、アクションドラマとしてはまあ退屈はしなかったが、スパイ大作戦的な要素はあまり無い、微妙なエピソードであった。

 今回のサブタイトルの原題「Ultimatum」は「最後通牒」という意味。クーパー博士が大統領に送り付けた要求の手紙の事であろう。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で海辺の廃墟の様な建物に乗り付けて中に入り、中に停めてあった幌馬車の後ろから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。そしてその後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。著名な原子物理学者ジェローム・クーパー博士が、このほど合衆国大統領宛に親書を送り、次の二つの要求を容れぬ場合には、すでに国内某所にセットしてある50メガトン水素爆弾を、明日正午に爆発させると言ってきた。要求の第一は、別表に掲げた国会議員11名・FBI長官らを退け、それぞれクーパーの指名する人物に替えること。第二は、わが国の外交政策を180度逆方向に転換させること。以上二つである。

 そこで君の使命だが、セットされた水爆の所在を突き止め、爆発を未然に防ぐことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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