感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第164話(シーズン7 第15話)「美しき妻の犯罪とその報酬」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第164話 美しき妻の犯罪とその報酬 Boomerang (シーズン7 第15話)

 

あらすじ

暗黒街の強大な犯罪組織のメンバーである夫を殺した妻が組織の台帳を奪い、組織の長ルチェックを脅迫する。フェルプス(ピーター・グレイブス)はその台帳を手に入れるため、死んだはずの夫がまだ生きていると妻に信じ込ませるという作戦に出る。

※DVD版のタイトルは「空中大爆発」。
 
 
【今回の指令】
 2日前、スタンレー・ルチェック(Stanley Luchek)をボスとするファミリーのメンバー・ジョニー・ベール(John Vayle)が、自家用機の爆発事故で死亡した。実はこれはジョニーの妻イブ(Eve)による殺人であり、ベールが持っていたファミリーにとって重要な台帳を奪うために実行したと思われる。IMFはその台帳を探し出し、当局に渡さなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:男性メンバー(氏名不詳)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。人里離れた飛行場にジョニーの自家用機が着陸し、イブが出迎える。イブはルチェックの命令で台帳を受け取りに来たというが、ジョニーは大事な物なので渡せないという。次の瞬間忍び寄った男がジョニーの頭を殴りつけ、イブは台帳の入ったカバンを奪う。男はジョニーを飛行機に乗せて飛び立つと、自分はパラシュートで脱出し、直後飛行機が爆発する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ジョニーの葬式会場の外で、バーニーは警部だと名乗って色々調べるふりをしてイブを苛立たせる。イブはルチェックに自分が台帳を持っていると言い、まず10万ドル、さらに今後は毎月2万ドル、を要求する。イブは自分の父親殺しを命じたルチェックを憎んでいる。

 ウィリーはイブの屋敷に忍び込み、隠し金庫から金を少し盗み、またジョニーの指紋を残していく。

 フェルプスは殺し屋という設定でわざとイブを殺しそこない、バーニーに捕まる。バーニーはイブにフェルプスを引き合わせるが、イブは見たことも無いという。その後イブはフェルプスを探させると、フェルプスは既に自由の身で、バーニーに賄賂を掴ませて即座に釈放してもらったという。

 イブはフェルプスに自分を狙った相手を殺してくれたら倍額支払うと約束するが、フェルプスは女の代理人に会っただけで本当の依頼人は知らないという。イブはフェルプスに金を払おうと隠し金庫を開けるが、金が少し消えており、またジョニーの真新しい指紋が残っていたことに驚く。直後IMFクリーニング屋のふりをしてジョニーの服をイブの家に届け、すぐに届け先を間違っていたと訂正する。

 イブとフェルプスが新しい届け先に乗りこむと、ケイシーがいて、ここはジョニーの部屋だが今は留守だと説明する。フェルプスはケイシーが自分にイブ殺しを依頼した相手だと言い、イブはジョニーが実は生きていたと信じ込む。

 夜。IMFメンバー(名前不明)がジョニーの変装マスクをしてイブの寝室に忍び込み、注射をした後、目覚めたイブにもう物はもらったと言って立ち去る。翌日バーニーがイブを連れ出してジョニーの死体を見せ、自分はジョニーの仲間だったが殺したという。バーニーは、ジョニーは昨日寝ていたイブに自白薬を注射して台帳の在処を聞き出し手に入れたが、今は自分が持っていると言う。そしてイブが毎月手に入れる2万ドルのうち1万5000ドルは自分がもらうと通告する。

 イブは本当にバーニーが台帳を手に入れたのか確かめるため、フェルプスと砂漠の真ん中の町に行き、イブは隠し場所を探して台帳が有ることを確認する。次の瞬間、イブはフェルプスにもう用は無いと銃を突きつけるが、そこにルチェックたちが現れる。しかし結局全員バーニー・ウィリーたちに取り押さえられる。イブは自分がフェルプスたちに騙されていたと気が付き呆然となるシーンで〆。


監督: レスリー・H・マーティンソン
脚本: ハワード・ブラウン


感想

 評価は○。

 今回は細かな伏線を積み上げて話を組み立てていく良質なシナリオで、全盛期を思わせるクオリティが有り、かなり満足度は高かった。

 今回のIMFの作戦は、死んだジョニーの死体が見つかっていないことを利用し、イブに実はジョニーは生きていたと思わせて心理的に追い込んでいくというもの。その際、空想的な心霊トリックではなく、謎の相手が命を狙っていると思わせたり、隠し金庫に指紋を残して行ったり、クリーニングの服を間違いを装って届けさせたり、と、状況証拠を積み上げてイブにジョニー生存を信じ込ませていく過程がなかなか面白い。

 終盤の展開は結構ややこしく、ジョニー役のメンバーがイブの相手をして騙すのではなく、バーニーがジョニーを殺したという設定で早々にジョニー役を退場させ、代わってバーニーが、自分が台帳を手に入れたのでイブを強請る、という方向に話が進んでいく。

 これはジョニーに変装したのは名前すらないゲストキャラなので、ジョニー(に変装したメンバー)が話を引っ張っていくわけにはいかないからだろう。かつてのように、レギュラーにローランやパリスの様な男性の変装名人キャラがいれば話は簡単で、最後にマスクを脱いでイブを唖然とさせる、という痛快シーンも演出できただろうが、そのようなキャラが不在のため、話が不要に複雑になってしまった感は否めない。とは言えこの展開はそれはそれで納得がいくものなので、特に悪いイメージは無かった。

 最終的にフェルプスがイブに、台帳が本当に盗まれたのかどうかを確認させるように持っていき、イブ自らに隠し場所に案内させるという流れはなかなかに自然な展開で、上手い作戦だと感心させられた。クライマックスはイブがフェルプスを殺そうとするものの、そこにルチェックたちが現れて二人をまとめて殺そうとし、最終的に悪党たちは全員IMFに捕まる、という展開が痛快である。イブが騙されたことに気が付いて呆然となるところに、メインテーマソングが流れる、という結末は実にノリが良かった。全盛期の第2~4シーズンを連想させるものが有り、懐かしい物があった。

 今回はケイシーの出番が妙に限定されており、冒頭の打ち合わせシーン・電話をするシーンなど、、殆どで座っている場面しかなく、唯一立っているシーンも一歩も動かずに話しているだけだった。産休明けという事でスタッフが配慮したのだろうか。

 今回のサブタイトルの原題「Boomerang」は「ブーメラン」のこと。解釈が難しいが、イブが台帳をネタにルチェックを強請ったものの、やがて自分が同様にバーニーに強請られることになる、という「人にやったことが自分に戻ってくる」という意味だろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園の芝生の上で座り込んで作業をしている男に合言葉を言うと、相手は鍵を差し出す。フェルプスは鍵を受け取り、そばに止まっている作業トラックの横の扉を開き、中からオープンリール式テープレコーダーと大きめの封筒を取り出す。そしてその後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。二日前、ロサンゼルスへ向かう自家用機が空中爆発を起こし、操縦していたジョニー・ベールが死亡した。ベールはスタンレー・ルチェックを長とする暗黒街の強力なファミリーのメンバーで、犯人はベールの妻イブ。ルチェック・ファミリーにとって致命傷となりうる台帳を手に入れんがために企んだものと思われる。

 そこで君の使命だが、その台帳を捜し出し当局に手渡すことにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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