感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第163話(シーズン7 第14話)「ブードゥー教の怪」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第163話 ブードゥー教の怪 Incarnate (シーズン7 第14話)

 

あらすじ

銀行から金塊を盗み出し、カリブ海のジャマダ島に逃亡したハンナとその息子をアメリカに連れ戻す指令を受けたIMF。ハンナのブードゥー教に対する強い信仰を利用して、悪霊を取り除く儀式を見せる作戦を行う。

 
 
【今回の指令】
 某犯罪組織のリーダー・ハンナ・オコンネル(Hannah O'Connel)は、銀行から100万ドルの金の延べ棒を盗み出した。ハンナの二人息子で懐刀のトーマス(Thomas)とロバート(Robert)のうち、ロバートは母親を裏切り当局にハンナの脱税を密告した。しかしハンナはそれを察知し、ロバートを殺害した後、トーマスと共にカリブ海のジャマダ島(Caribbean island of Jamada)に向けて逃亡したと思われる。IMFはハンナをアメリカに連れ戻し、金の延べ棒を奪回しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 ジャマダ島


【作戦】
 冒頭。ハンナは息子のロバートに対し、自分の脱税を当局に密告したとと糾弾し、銃を向けてきたロバートを隙を見て射殺する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはジャマダ島に先回りして準備し、ケイシーは屋敷の使用人としてハンナたちを出迎えるが、他の使用人はブードゥーの太鼓を恐れて逃げてしまったと説明する。直後、フェルプスはハンナに面会し、自分はパイロットでアメリカに自由に密入国できるとアピールし、一緒に商売しようと持ち掛けるが、ハンナは興味を示さない。夜、IMFは映写機でハンナの寝室にロバートに扮した俳優の映像を心霊現象的に映写する。

 翌日、バーニーは雑貨店の店主役でハンナと会い、ハンナの中に悪い物がいて、水に関連して人が死ぬと予言する。夜中にIMFはハンナの二人の子分のうちの一人を攫い、屋敷の池に浮かべておく。翌朝になってハンナは手下が水で死んだのを知り、バーニーの所に行くと、バーニーはハンナの中の物は「水・空気・炎」による三つの死を望んでいると告げる。さらにブードゥーのお祓いの儀式をすることは出来るが、邪悪な物を取り除けるかはわからないとも言う。

 バーニーがハンナの相手をしている間に、IMFはハンナのもう一人の手下を首つり自殺に見せかけて屋敷の部屋に吊るしておく。帰宅してそれを見たハンナは、たまりかねてバーニーに儀式を依頼し一緒に出掛ける。

 ハンナの留守の間に、ケイシーはハンナの息子トーマスといちゃつくが、そこにケイシーの友人役のウィリーが現れ、嫉妬したふりをしてトーマスに襲い掛かる。ケイシーはトーマスに空砲の拳銃を渡し、ウィリーは撃たれて死んだふりをする。ケイシーはトーマスと一緒に逃げようと提案し、ケイシーは睡眠薬で眠らそうとするが、その前にトーマスに殴られて失神してしまう。

 一方バーニーはブードゥーの儀式でそれっぽい演技をしてみせてから、炎の中にロバートの映像を写し、「ロバート」はハンナに自分は金に縛られているので在処を教えてくれと訴える。バーニーは儀式中にハンナを眠らせてから拳銃の弾を空砲に入れ替える。

 目覚めたハンナはケイシーからトーマスが一人でアメリカに帰ったと嘘の説明を受ける。ハンナはバーニーに銃を向けて、全てはインチキだろうと追及すると、バーニーはトーマスに頼まれて一芝居打ったと告白し、ハンナはうわ言で隠した金の在処を喋ったのでトーマスが取りに行ったと信じ込ませる。ハンナはバーニーを銃で撃ち(実際は空砲)、フェルプスに頼んでアメリカに連れて行くように頼む。フェルプスは利益の25パーセントをよこせと要求し、ハンナは承諾する。

 バーニーは屋敷の外でうろついていたトーマスを捕まえ、フェルプスとハンナはアメリカに戻り、ハンナは金がまだ隠し場所に有ることを確認する。そして隙を見てフェルプスに銃を向けようとするが、奪い取られ、必死に仲間に加えようと説得を始めるが、そこに警察が踏み込んできて逮捕されるのだった。


監督: バリー・クレーン
原案: バック・ホウトン
脚本: バック・ホウトン&ステファン・カンデル


感想

 評価は(なんとか)○。

 今回は、スタッフが大好きなのか、毎シーズン一回は必ず出てくる「インチキ心霊現象」モノで、シナリオの内容はいささか粗かったものの、テーマが面白いので、そこそこは楽しめた。

 本エピソードでのIMFの作戦は、ハンナがブードゥー教を信じていることを利用し、偽の心霊映像や祈祷師役のバーニーの思わせぶりな予言により、ハンナに自分が悪霊に憑りつかれたと信じ込ませていく、というおなじみの物。ただし、最後までオカルトで押し通すのではなく、終盤わざとハンナに「全てはインチキだった」と見破らせておいて、別の「真相」を信じ込ませる、という二段構えになっていたのが面白かった。

 とは言え、今回の話はシナリオが粗く、色々と気になる点が散見された。第一に基本設定が説明不足で、終盤にならないと「ハンナたちは金延べ棒をジャマダ島には持って来ておらず、アメリカのどこかに隠したままである」「金の隠し場所はハンナしか知らない」という重要な事実が明かされない。中盤頃は「息子のトーマスから金の延べ棒の在処を聞き出せば簡単なのでは?」と疑問に思っていて、話の展開についていきかねたので、終盤にようやくその事実が明かされた時に、最初から言っておいてくれよと愚痴りたくなってしまった。

 そもそも国外逃亡した身なのに、肝心の金の延べ棒をアメリカに置いたままだとしたら、今後どうやってその金を使う気なのか全く不明で、冷静に考えると全く意味が解らない。

 また、IMFは特に人命尊重というわけでは無かろうが、作戦では基本的に死人を出さないように行動するのが普通である。ところが今回はハンナに悪霊の存在を信じ込ませるため、彼女の二人の手下を簡単に犠牲にしてしまう(一人は池での溺死、一人は首つり、にそれぞれ偽装)。IMFが作戦のため躊躇なく人を殺してしまった、という展開は過去に例が無く、ちょっと衝撃を覚えてしまった。この辺り、シナリオライタースパイ大作戦の基本的な約束事を把握していなかったのかもしれない。

 さらに、この「死人」についても妙な扱いになっており、溺死した一人は、終盤ブードゥーの儀式の翌朝にトラックの後部に乗せられているのがハンナに目撃され、ハンナはそれを見て全てはインチキだったと確信し、バーニーに「部下は生きていた」とまくし立てる、という展開になる。

 結局、この溺死したと言われていた一人は実は生きていたのか、それとも本当に死んでいたのか? IMFがトラックに乗せてハンナに見せたのは何故だったのか? ハンナはその状態を見て何故部下は生きていると思ったのか? 等々、つじつまが合わないというより意味が不明の展開となり、視聴していてひたすら首をひねりまくってしまった。この辺りはどうにも意味が解らないのだが、筋が通る説明はあるのだろうか?

 とまあ色々変なところはあったものの、最終的にはハンナに自らアメリカに戻るように仕向け、隠した金の在処まで案内させて警察に引き渡す、という作戦は上手く成功したので、それなりには満足できた。

 本エピソードのゲスト・ハンナ役を演じたのはキム・ハンター。聞いたことが有る名前だと思っていたが、映画「猿の惑星」シリーズでジーラを演じた女優だった。


 今回のサブタイトルの原題「Incarnate」は「具体化した」といった意味。ややわかり辛いが、IMFのインチキ心霊現象映像の「トーマスの霊が実体化した映像」といった意味だろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがドアから部屋の中に入ってきて、室内にある木の机の前面のシャッターを引き上げると、中にオープンリール式テープレコーダーと大きめの封筒が入っている。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。某犯罪組織のリーダー・ハンナ・オコンネルは、銀行から100万ドルにのぼる金の延べ棒を盗み出した。ハンナの二人の息子トーマスとロバートは、懐刀として護衛の任に就いていたが、最近ロバートが寝返り、ハンナの脱税事実を当局に通報するに至った。しかし、ハンナはいち早くロバートの裏切行為を察知、ロバートを殺害して、トーマスとともにカリブ海のジャマダ島に逃亡したと思われる。

 そこで君の使命だが、ハンナを合衆国に連れ戻し、その金の延べ棒を奪回することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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