感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第167話(シーズン7 第18話)「ボクシング界の闇」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第167話 ボクシング界の闇 The Fighter (シーズン7 第18話)

 

あらすじ

今回のIMFへの指令は、ボクシング界を金儲けの手段として牛耳り、殺人も厭わない黒幕2人を排除すること。バーニー(グレッグ・モリス)が新興のプロモーターとなり、将来性の高いボクサーを引き抜きにかかる。仕掛けられた黒幕らは最終手段としてある行動に出るのだが…。

※DVD版のタイトルは「殺人請負業」。
 
 
【今回の指令】
 シンジケートの資金源のボクシングを牛耳るジェイ・ブラドック(Jay Braddock)は、プロモーターのポール・ミッチェル(Paul Mitchell)を抱き込み、ボクサーたちを支配して不当な利益を上げている。先日二人に反抗したボクサーのルーミス(James Loomis)は、事故に見せかけて殺害されてしまった。IMFはブラドックたちの内情を暴き、シンジケートのボクシングへの影響を一掃しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:名前不明(声帯模写の達人)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。ボクサーのルーミスは、もうブラドックたちとは縁を切りたいと言い出し、ブラドックたちはその場では承諾するふりをするが、すぐに殺し屋を呼び込みルーミスを殺させてしまう。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ミッチェルの娘スーザンはピートという有望なボクサーと付き合っているが、父親のミッチェルは交際に猛反対している。IMFはこの二人を利用する作戦を立てる。

 フェルプスとバーニーは強盗を装ってブラドックたちの売上金を奪ってすぐに逃走する。直後バーニーはブラドックたちのオフィスを訪問し、新しい会社を作ったのでピートを引き抜きに来たと挨拶する。そして自分には有力なバックが付いていると言い、先の強盗は自分たちの組織の仕業だとも仄めかして去る。ブラドックたちは正体不明の競争相手の出現に驚く。

 一方ケイシーは記者という設定でピートに接近し、取材だといって車で連れ出した後、薬を盛って意識を失わせる。さらに翌朝ピートを訪ね、昨晩ピートが車でバイクをひき逃げし相手は死亡した、と言って偽の証拠写真を見せ、さらに自分はバーニーの手の者だと説明する。バーニーはピートを呼びつけ、自分の会社に移籍しなければひき逃げを警察に通報すると脅す。話を聞いたミッチェルはバーニーと話し合いを持つが、バーニーは全く譲歩しない。

 ウィリーは検事局の捜査官という設定でブラドックたちに会い、バーニーの所属する強力な新興組織を叩き潰すため協力しろと提案するが、ブラドックはにべも無く拒否する。そして事態を解決するためピートを殺す事を決め、シンジケートに殺し屋の派遣を要求するが、その電話にIMFが割り込み、フェルプスが殺し屋という設定でやってくる。

 夜、フェルプスはブラドックとミッチェルが監視する中ピートの家に乗り込み、さらにケイシーもスーザンに変装してピートの家を訪問する。ミッチェルは慌てて駆け付けようとするが、ブラドックに止められる。フェルプスとケイシーは眠らせたピートを連れて裏口から出ていき、ピートの家は爆弾で破壊する。

 ミッチェルはスーザンが死んだと思い込み、すっかり打ちのめされて仕事を辞めたいというが、ブラドックが許さない。そこにフェルプスがギャラをもらいに来て、大声でもう一人はいつ殺すのかと聞いたあと、勘違いだったと言って消える。そのあとフェルプスはミッチェルを殺すといって連れて行こうとするが、そこにウィリーが駆け付けてミッチェルを助ける。ミッチェルはブラドックに裏切られたと信じ込み、何でも証言すると言う。

 最後、IMFメンバーがピートとスーザンに事情を説明している。フェルプスたちは、ミッチェルの証言でボクシング界からシンジケートの影響は一掃されたものの、ミッチェルは刑務所に入るのも仕方ないと言う。ピートとスーザンは刑務所のミッチェルに会いに行こうと言う。


監督: ポール・クラズニー
原案: オーヴィル・H・ハンプトン
脚本: ステファン・カンデル&ニコラス・E・ベイアー


感想

 評価は○。

 今回はIMFがボクシング業界を食い物にする悪党を退治するため、緻密な計略を遂行するというエピソードで、特に破綻や粗も無く、まずまず面白い話だった。

 IMFがボクシング業界を舞台に作戦を展開するというのは、シーズン3・第2話(通算第55話)「奇跡のカムバック 前編」・第3話(通算第56話)「同 後編」以来となり、実に懐かしい思いがした。「奇跡のカムバック」は、バーニーがボクサーとなって実際に試合をするというかなり無理の有るエピソードだったが、今回の話はそういう事も無くスマートに作戦を展開していたので、実にすんなりと視聴できた。

 今回のIMFは、直接退治すべき相手では無いピートを作戦に巻き込み、「ひき逃げをした」と信じ込ませて精神的に追い込んでいくので、最初は無関係な人間にこの仕打ちはどうなのか、とちょっと引っかかっていた。しかしよくよく考えてみれば、ピートは純粋真っ白な人間というわけではなく、ブラドックたちの悪行を知りつつその下で働いているという設定だったので、まあ自業自得というか、それなりに痛い目に合うのも致し方なかったのかもしれないと考え直した。

 IMFは、ケイシーがピートを偽のひき逃げ事故で嵌める一方、バーニーは架空の新興組織のメンバーとしてブラドックたちを揺さぶる、という両面作戦を展開し、滑らかに話を進めていく。しかしIMFの最終的な狙いはなかなか見えてこなくて、どこに着地するつもりなのかが解らず、ちょっともどかしい思いがした。それだけに、終盤ミッチェルが娘が死んだと思い込まされて、精神的に焦燥状態に陥ったあたりで、ようやくゴールが見えてきて、そういうつもりだったのかとちょっと感心させられた。

 しかしながら、IMFが最後のダメ押しで、ミッチェルに自分がブラドックに殺されると思い込ませるための手段が、殺し屋役のフェルプスが大声で「もう一人はいつ殺すんだ? どうせならのっているうちにやった方がいいと思ってね」云々と大声で叫んで、それをミッチェルに聞かせる、という素朴かつひねりも無い方法だったのにはちょっと笑ってしまった。

 さて、今回はブラドックがシンジケートに殺し屋の派遣を要請すると、電話を盗聴していたIMFが割り込み、声帯模写の達人(名前不明)が話をつないで、ブラドック・シンジケート側の両方を騙す、という展開が有る。。しかし、やはりこういう工作は(ローランやパリスの様な)レギュラーキャラがやらないと、いささか面白みに欠ける気がする。やはり馴染みのキャラが全く別人のふりをして悪党たちを騙す、という展開が面白いのであって、知らないゲストキャラが色々やっても満足感が感じられない。6・7シーズンはレギュラーに男性の変装名人がいないのが返す返すも残念である。


 本エピソードのゲストのミッチェルを演じたのはウィリアム・ウィンダム。「宇宙大作戦 スタートレック」のエピソード「宇宙の巨大怪獣」でデッカー司令官を演じたことで有名、かもしれない。

 今回のサブタイトルの原題「The Fighter」は、「戦闘機、戦士」といった日本人におなじみの意味の他に、ズバリ「(プロの)ボクサー」という意味合いもあり、まさにエピソードの内容をそのまま現したものだったわけである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で建物に乗り付け、精巧な置時計が置いてある部屋に入り、鍵のかかった引き出しから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出すと、デスクの上に腰掛ける。そしてその後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。シンジケートの資金源であるボクシングを牛耳っているジェイ・ブラドックは、プロモーターのポール・ミッチェルを抱き込み、今では二人グルになって将来性のあるボクサーを抱え、彼らを操っては思うがままに不当な利益を上げている。ところがこのほど、ミドル級のボクサー・ルーミスが二人に反抗したため、事故を装って消されてしまった。

 そこで君の使命だが、彼らの内幕を暴き、ボクシング界の暗雲を一掃することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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