感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第170話(シーズン7 第21話)「予兆」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第170話 予兆 The Western (シーズン7 第21話)

 

あらすじ

博物館から国宝を盗んだ男に、隠し場所を吐かせるためフェルプス(ピーター・グレイブス)と仲間たちは巧妙な手口で、近い将来に大地震が起こることを男に予知させるように仕向ける。

※DVD版のタイトルは「恐怖!人工大地震」。
 
 
【今回の指令】
 バン・クリーブ(Van Cleve)とマシュー・ロイス(Matthew Royce)の二人は、アズテカ博物館(The Azteca Museum)から500万ドルの価値を持つ国宝美術品を盗み、合衆国に持ち込んだと推測される。しかしその後二人は仲間割れし、クリープはロイスを殺したあと証拠を隠滅した。IMFは美術品の隠し場所を突き止め、クリープの有罪を立証しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:名前不明の協力者たち数人


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。クリープとロイスは盗品の処分方法で意見が対立し、クリープはロイスが洞窟に入ったところで爆弾を爆発させロイスを吹き飛ばす。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFはクリープがフロリダの街を歩いているところに骸骨マスクをつけた男を登場させた後、男が車に跳ね飛ばされる事故を見せる。はねられた方は骸骨マスクをすぐに取り外す。

 続いて、ケイシーが飛行機でクリープの隣席となり、ギャンブルを研究している大学院生だと名乗る。そしてケイシーは負け続けで金が無いと説明しながらバッグの中の札束を見せておき、すぐにトリックで札束を隠す。クリープは見たはずの札束が無いことに驚くが、ケイシーはクリープが未来を予知したのかもとからかう。

 フェルプスとバーニーはクリープの牧場を訪問し、政府の仕事で測量をしているという。クリープは政府が急に測量を始めたことを不審に思い、フェルプスに仕事内容を話してくれたら金を払うと持ち掛け、フェルプスは考えてみるという。

 クリープはカジノでケイシーと再会し、ケイシーはギャンブルで大勝ちしたと言ってバッグの中の札束を見せる。クリープはそれが飛行機の中で見たシーンの再現なので動揺するが、さらに事故で死んだ男が骸骨に見えたことも話す。するとケイシーは、クリープは様々な出来事から未来に起きることを無意識に予測しているのだと説明する。その間にフェルプスたちはクリープの屋敷に細工をする。

 クリープが屋敷にいるところを何者かが狙撃したため、フェルプスたちは犯人を追いかけ、ゴーストタウンで撃ち合いとなるが取り逃がす。しかし残された指紋から、死んだはずのロイスが生きていたと判明する。フェルプスはロイスがクリープを殺すと国宝の在処が解らなくなると焦り、クリープの屋敷に乗り込む。

 フェルプスは、近くのダムに欠陥が見つかって崩壊する可能性が有り、しかも最近地震が頻発していてどんどん強くなってきているので調べに来たのだと説明する。そしてもしダムが決壊すれば、クリープの屋敷や牧場は水に襲われて死ぬだろうと脅す。

 IMFは夜中にクリープのベッドや家具に取り付けたジャッキで振動を起こして大地震を演出する。さらに飛び起きたクリープが外に出ると、プールの水を揺らしてからクリープそっくりの人形が水没するところを見せる。クリープはそれが自分が水死する予兆だと信じ込み、慌てて国宝の隠し場所に駆け込み、国宝を持ちだそうとする。そこにロイスが現れ、銃で脅したら財宝の隠し場所に行くと思っていたと得意げに言うが、クリープは地震が有ったからだと否定する。ロイスが地震とは何のことかわからず首をひねっているところにIMFが踏み込み、二人に銃を突き付けて〆。


監督: レスリー・H・マーティンソン
脚本: アーノルド&ロイス・ペイサー


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 今回はIMFが偽の超常現象や地震を演出してターゲットを騙すという話だったが、シナリオの内容が雑で、面白みに欠けた退屈なエピソードだった。

 IMFはターゲットのクリープに自分に予知能力が発現したと信じ込ませるため、骸骨マスクを被った男をクリープの目の前に登場させた後、その男が車に轢かれるシーンを見せる。これは要するに「骸骨マスク(デスマスク)=死相」で、クリープは交通事故で死ぬ運命の男の顔に死相を見てしまった、と思い込ませるという作戦なのだが、これはいくらなんでも無理が有りすぎである。マスクはどう見てもマスクでしかなく、これで予知能力云々と信じ込む、という展開は荒唐無稽すぎて苦笑するしかなかった。

 そのあとはさらにケイシーがお芝居でクリープに、ケイシーのギャンブルでの勝ちを予知したと思い込ませたりする展開はそこそこ面白かったので、余計にデスマスク云々の展開は必要なかった気がする。


 またクリープに地震が発生したと思い込ませるため、IMFが用意した仕掛けが「水圧ジャッキ」なのだが、これで地面を揺らして偽装地震を起こすとかいう豪快な話ではなく、「家具の方を揺らして地震を偽装する」という作戦だったので、スケールの小ささに失望してしまった。

 IMFは過去にもシーズン2・第3話(通算第31話)「地下室からの脱出」で大地震発生をターゲットに信じ込ませる作戦を行ったことが有るが、その時はバーニーの開発した疑似的な地震発生装置を使い、ビルの壁を高周波で振動させて実際に揺らして地震の発生を演出して見せる、という面白い展開だった。

 ところが今回と来たら、ベッドや家具の下に小型の水圧ジャッキを噛ませておき、クリープが寝ているところにジャッキを上下させて揺らすことで、寝ぼけているクリープに地震だと思い込ませる、というもので、かつてと比較してあまりにスケールが小さくなってしまったことにもう目がくらみそうだった。まあ相手一人を騙すだけのために無駄な予算を使うこともないかもしれないが、これはちょっとあんまりである。

 また死んだはずのロイスが生きていて、ゴーストタウンを舞台にフェルプスやバーニーと撃ち合いを演じるシーンも全く面白くなく、退屈で仕方なかった。そもそもスパイ大作戦にこのような銃撃シーンというのは似合わず、シナリオライター二人は番組の何たるかをあまり理解できていなかったのではなかろうか。

 と、今回は不満点がやたら多いエピソードで、どうにも物足りなかった。


 今回のサブタイトルの原題「The Western」は「西部」の意味。クリープの牧場が西部に有る、という意味だと推測されるが、殆ど内容に無関係のぼんやりしたタイトルである。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で噴水の側に乗り付け、噴水を掃除している男に合言葉を言うと、男は自分の工具箱を示す。フェルプスは工具箱を持って近くに座り、箱から大きめの封筒を取り出し、続いてオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。そしてその後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。アズテカ博物館から500万ドルに値する貴重な国宝美術品が盗まれ、合衆国に持ち込まれたものと思われる。犯人はバン・クリーブとマシュー・ロイスと判明しているが、二人は仲間割れして、クリーブがロイスを殺し、証拠を隠滅、当局の手を逃れている。

 そこで君の使命だが、その美術品の隠し場所を突き止め、バン・クリーブの有罪を証明することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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