【深読み読書会】感想:NHK番組「シリーズ深読み読書会」『横溝正史の集大成! 『悪魔の手毬唄』』

金田一耕助セレクション「悪魔の手毬唄」 (ミッシィコミックス)

シリーズ 深読み読書会 http://www4.nhk.or.jp/P4207/
放送 NHK BSプレミアム

【※以下ネタバレ】
 

7月21日土曜
NHKBSプレミアム 午後10時30分~ 午後11時30分
シリーズ深読み読書会「横溝正史の集大成!“悪魔の手毬唄”」


悪魔の手毬唄」はトリックの鬼・横溝正史の総決算!顔のない死体、一人二役、童謡に見立てた連続殺人…。“文学探偵”たちが“秘密の読書会”を開催、徹底的に読み解く。


これまで、漱石「こころ」や宮部みゆき「孤宿の人」、小松左京日本沈没」などの名作を、テキストにこだわって深く読み込んできた文学エンターテインメント。今回は横溝正史悪魔の手毬唄」。“トリックの鬼”横溝が十数年をかけた集大成作品だ。顔のない死体、一人二役、童謡に見立てた連続殺人…それは海外の名作への挑戦でもあった。ミステリー・ファンの“文学探偵”たちが“秘密の読書会”を開催、徹底的に読み解く。


【出演】安藤裕子,綾辻行人,道尾秀介,中野信子,関川夏央,【語り】石澤典夫

 

内容

 お題となった一冊の本を、集まった「文学探偵」たちが色々と読み解いていくという趣旨の番組。今回は第14回。

参加者は
綾辻行人 … 推理作家
道尾秀介 … 作家
関川夏央 … 作家
中野信子脳科学
安藤裕子 … シンガーソングライター

 作品の内容を、イラストをふんだんに使いながら完全ネタバレで紹介しつつ、その内容に「文学探偵」たちが色々と考察したり意見を述べていく、という構成。


(※以下、小説のオチまで完全ネタバレ)


・雑誌「宝石」に昭和32~34年に連載された作品。それだけにもう「獄門島」などで見られた、戦後直後の様な復員兵だの没落貴族だのといった設定は消えている。

・横溝はこの作品が一番出来が良くて満足していると語った。

・登場人物が30人以上で、血縁関係もやたら複雑。これは作者の横溝が自分の一族をモデルにしたのではないか。実は横溝の両親は、互いに不倫関係で、配偶者を捨てて一緒になった間柄で、横溝には両親の前の配偶者の子供、つまり半分しか血のつながらないきょうだいが沢山いた。つまり横溝はこの作品で自分の一族の物語を描いたのではないか。だから作品の出来に満足したのでは。

・また江戸川乱歩の存在も重要。横溝は専業作家になる前は編集者で、乱歩の担当だった。その後、横溝は専業作家になり、逆に小説が書けなくなった乱歩は「宝石」誌の編集長に、と立場が逆転した。横溝は乱歩を意識して力を入れて書いたのではないか。


・小説のオチ

 犯人は青池リカ。最後に毒を飲んでから沼に飛び込んで自殺する。そのあと金田一が関係者を集めて討論会を開き、動機を推測する。リカの犯行の動機は
1 夫が他所の女に産ませた娘が憎かった説
2 息子が異母妹と近親結婚するのを防ごうとした説
3 人気スターのゆかりに嫉妬した説
の三つが上がるが、当人は死んでいるので、真相はやぶの中で終わる。
 
 

感想

 NHKが定期的に放送している「深読み読書会」の新作。今回のお題は、このシリーズで何度も登場している横溝正史の「悪魔の手毬唄」。

 今回も、いつものごとく「文学探偵」たちが、小説を朗読しては、この部分はああだこうだと、適当に(?)思いついたことをしゃべり倒しているだけの内容でしたが、まあ「原作の内容を、豪華なイラスト付きで、オチまで完全に紹介してくれる番組に、ついでとしてゲストたちのよく解らんトークが付いてきた」程度に捉えればそこそこ楽しめました。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ深読み読書会」内容まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
金田一耕助・悪魔の手毬唄 (ソノラマコミック文庫―名探偵登場)